様々な思いが交錯する2015全米オープン決勝戦

いよいよ今年最後のグランドスラムの試合となりました。
2015年全米オープン決勝 第1シードのジョコビッチと第2シードのフェデラーの対戦です。

1人のテニスファンとしてこの決勝戦を前にしたとき、ロマンチックワクワクが止まりません。
世界1位と2位の対決であり、ジョコビッチは勝てば準グランドスラム(3つの優勝と1つの準優勝)を達成する大一番、片やフェデラーに取っては3年ぶりのグランドスラム優勝、そして優勝最多記録の更新が賭かっています。34歳にして世界No.1を破っての優勝となるととんでもない騒ぎになるでしょう。

しかし錦鯉としてこの決勝を見た時、やはり一抹の寂しさは拭えません。
昨年の決勝前は日本中がワクワク、ソワソワしていました。結果は残念でしたが、1億人が夢を見た瞬間でした。

今年はご存知の通り1回戦敗退。決勝進出とまではいかなずとも、上位を賑わせてくれるはずと期待した方が多かっただけに、未だにショックを引きずってる方もいるかもしれませんね。

しかし、ペールは見事ベスト16まで進出しましたし、やはり弱い選手ではなかった。内容も本人が「悪くなかった」と言っていたようにそんなに悲観的になるものではなかったと思っています。結果は最悪ですがね。
「故障があったわけでもないのに惨敗」という結果であればさすがの私も心配になったかもしれませんが、あの試合も最後の締め以外は上手く試合を運んでいたんですよ。

マッチポイントのフォアにしても、決まっていれば「苦戦したけど、さすが世界4位だね。」の一言で済んでいたかもしれません。その差、わずか1ポイントです。

あの試合に限って言えば反省点も課題もあったと思いますが、私が今後に対する不安は持っていないのは既にレビュー記事で述べた通りです。期待のプレミアム分が剥げたとでも言いましょうか、ちょうど世間の期待が錦織の実力に対してイーブンになったか、少々過小評価くらいに振れたくらいでちょうどいいと思っています。

錦織が活躍する度に我々は驚かされますが、それは錦織がすごいだけではなくて知らず知らずのうちに我々の期待が大きく上下に振れているからだと思います。
期待しないと勝つように感じるのは、当の錦織の実力はそんなに上下にブレてないのに、我々の期待の方が大きく上下にブレているからだと思います。

去年の全米のような活躍を見てしまうと、その延長で「さあ次は優勝だ、世界一だ」となってしまいます。
トントン拍子に偉業を達成できればそれに越したことはないですが、それができることの方が稀です。
去年の決勝は「稀」同士の対決をチリッチが制したという理解でいます。
今年の成績が示しているように、安定感があるのは錦織の方です。対戦成績も勝ち越しています。10回試合すれば、6回は錦織が勝つと思います。
それでも負けてしまった・・・悔しいですが、それが現実です。悔やんでも仕方なく、もっと大事なのは確かな実力を付けること。
実力さえあればまたチャンスは来ます。それには、段階が必要です。

過去の偉大なチャンピオンだって段階を踏んで強くなってきました。

マレーはグランドスラム決勝で幾度となく負けながらも見事乗り越えました。
ワウリンカは伏兵的に全豪、全仏を優勝したように思われがちですが、優勝する前に幾度と無くBIG4とすごい試合を演じています。
負けたとしてもそういう試合を経験することが選手を強くします。

錦織はまずは勝負に関係なくグランドスラムでBIG4+ワウリンカと死闘を演じないといけません。
その経験がまだ非常に少ない。昨年全米のQF、SFだけではないでしょうか。

負けてもいいので、ジョコビッチやフェデラーと5セットマッチを戦いぬくとか、逆転されてもいいのでリスクを取ったテニスでマレーを追い詰めるとか、そういう試合を毎回のようにすることがまずは大事だと思います。
錦織は強い選手と当たる場合にあっさり負けることが多いのが気になります。
(2014全豪のナダル戦は、競ったし内容も素晴らしかったけど、セットを取れていないので本当の意味でナダルを追い込めていなかった。)

ここをクリアして初めて少しずつ世界No.1を意識するのではないかなと思います。多分、もう少しの経験で行けると私は見ています。先日の公式ブログで負けたあとの正直な気持ちを吐露してくれましたが、あれは気持ちの整理のためでしょう。4位や5位のプレッシャー、優勝に対する気負いなど今年は色々な気持ちが錦織の中で交錯したと思いますが、最終的に行き着くべきところは「いいテニスをすること」しかありません。

1位になるためにはまず目の前の大会でいい成績を残す必要がありますし、いい成績を残すためにはどんな形でも勝たなければならない。勝つためにはセットを取り、セットを取るためにはゲームを取らなければならない。
ゲームを取るためにはまず目の前の1ポイントを取らなければならない。

ジョコビッチの強さの秘密は目の前の1ポイントに集中できることだと聞いたことがあります。今、錦織に必要なことはまさにこれで、結果よりもまずはいい内容のテニスをすることだと思います。

2009年のつらい時期を思い出してくれたので、原点の気持ちを取り戻してデ杯から素晴らしい再スタートを切ってくれると信じています。

だいぶ話が逸れてしまいましたが・・・。

決勝戦に話を戻しますと、世界No.1とNo.2の対戦はテニスファン的には大変興味をそそるものの、錦織だけではなく他の選手がまだまだこの2人に対抗できてないことは、結構問題な気がします。
準決勝はちょっと記憶に無いくらいの「2試合ともに圧勝劇」でしたしね(チリッチは足を痛めていたようですが)。

グランドスラムで実力を発揮することがプロテニス選手にとっても最も重要な事です。
その思想はランキングのポイントシステムに反映されており、ほぼ同じメンバーで戦うのに、マスターズ1000と比べて2倍のポイントがグランドスラムに与えられているということは、グランドスラムで活躍する選手がランキング上位に行くということです。

ベスト4が全て錦織より年上の選手だったということも含めて、そろそろ若手の奮起を期待せずにはおれません。

55 件のコメント

  • 団長、ありがとうございます。
    仰々しい事は省きます。
    皆様の興味度の高そうな話題から行きます。
    チケットからです。
    自分はコートサイドと呼ばれる1階席は高すぎて手が届きませんでした。
    それでも自分は2階席の最前列を取りました。
    価格はチケットマスターのリセールで1300ドルぐらいでした。リセールは権利を持っている人が自由に価格設定して公式の再販サイトで売っています。
    多くがペアでしか買えません。
    奇数の販売を見つけられれば、1枚から購入出来る可能性が大きいです。
    圭くんが負けたとき、再販しようと試みました。
    アメリカに銀行口座を持っていない限り諦めた方が良さそうです。
    ここで切ります。

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  • セキュリティです。
    何処もかしこも”これから飛行機でも乗りますか?”という感じでスゴイです。
    持ち込める荷物(バックパックは完全に不可)に制限があります。
    セルカ棒は没収なのに、タイムワーナーのイベントコーナーで配っているという笑
    手ぶらの人にはエクスプレスのレーンが設けられています。
    Gパンにはリベットが付いているので避けましょう。

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  • Kazu@JPNさん
    おかえりなさい。お疲れのところ、ありがとうございますm(__)m
    あの凄い決勝戦の観戦レポ楽しみです。ワクワク(^^)
    早く続きが読みたいなー

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  • Kazu@JPNさん

    おかえりなさい!!
    楽しみにしてた、北野ホテルの情報ありがとうございます。
    HPでも思いましたがやはり、”The Japan”なホテルでしたか。
    ホテルに帰って緊張をほぐし、翌日戦士のようにNY Cityを闊歩してたのでは…

    決勝戦の様子も楽しみにしています。
    まずは疲れを癒してくださいませ。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。