錦織圭のペース配分(テニスの物理:数学編)

GAORAのデルレイビーチの放送の中で丸山薫さんが、

「錦織と話していたら、USオープンフェレール戦の話題になって、第4セットはわざと落としたと言っていました。大物だ。」

と言っていました。

いわゆるWSOですね。

W わざと
S セット
O 落とす

いや、いわゆらないか・・・。このブログ専門用語ですね。

もちろんセットは取れた方がいい、というかセットを取っていかないと勝てないわけですが、すでに劣勢になった第4セットを頑張って取るよりも、体力を温存してファイナルセットに賭ける方が勝算が高いと考えたのでしょう。

と、書けば簡単なのですが、コトはもっと複雑です。

例えば0-4になると、そのセット(仮に第4セットとします)を取れる確率は最早高くありません。仮に5%としましょう。

ここから頑張って食らいついてこのセットを取ろうとしたら、それが10%に上がるかもしれません。

しかしWSOしたら、1%になるかもしれません。

全力で取りに行くと、セットを取れる確率は多少上がるでしょうが、その代わり疲れてしまうので、

このセットを落とした場合に次のセットを取れる確率が例えば30%に落ちてしまうかもしれません。

この場合、WSOするか、取りに行くかでどっちが有利でしょうか?セットカウント2-1の0-4の場面を想定します。

考えタイム

考えタイム

考えタイム

(1)WSOする場合

第4セットを取れる確率 1%
ファイナルセットを取れる確率 50%

とします。

勝利できる確率 1%+(100%-1%)×50%=50.5%

(2)第4セットを全力で取りに行く場合

第4セットを取れる確率 10%
ファイナルセットを取れる確率 30%

とします。

勝利できる確率 10%+(100%-10%)×30%=37%

と、WSOした方が勝てる見込みが高くなりました。

もちろん、こんなのは数字のお遊びです。

ここでは確率として適当な値を想定しましたが、こんな値になるとは限りませんし、そもそもセットを取れる確率を測ることが不可能です。

そこにはプレーする選手の感覚があるだけです。

WSOしたら、ファイナルセットの獲得率が上がると目論んでいても、第4セットを献上してしまったばっかりに相手が調子付くかもしれません。

相手があるスポーツですから、不確定要素が大きいです。

しかしそれでも錦織はWSOを選びました。そこには緻密な計算があった!・・・とは思えませんが、タイプとして、切り替えがうまい選手なのでしょう。

私は、一般プレーヤーはあまり真似できない、しない方がいいと思いますw

キープ力の高いプロの試合で逆転してセットを取ることはかなり難しいですが(だから、北京での0-5からの逆転セットはすごく話題になった)、一般プレーヤーの場合は流れひとつでなんとかなることも多いものです。

WSO(わざと セット 落とす)のつもりがWSO(私から 試合 落とす)にならないよう気をつけたいものです。

2 件のコメント

  • WSO、面白いですね(笑)

    集中力の抜きかげんを考えたり、練習しておきたいショットをきっちり打つポイントをつくって落とすセットなら良いということでしょうか…

    俺は実際の3セットマッチとかではファーストセットを競って落としてセカンドに入るパターンが多いので、そんな余裕がないです…

    わざとでも、くれるものはもらって、そのうえで気持ちを切り替えてファイナルに入りたいですね。

    錦織は捨てて、若干ペース落として流したとしても、次きっちりギアを入れなおしてペースあげられる選手ですよねぇ。日本人はそういうギアの入れ替えは不得手な民族と思ってたのですが…

    彼はそういった部分でもやはり、世界で戦っていける選ばれた選手なのだな~という印象がありますね~(丸山薫さんの真似(笑))

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  • rymonさん、楽しんでいただけたようで良かったです。
    丸山薫さん、言いそうw

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。