バグダティスの高い壁!全豪に向けて良い調整を(2012ブリスベン2回戦)

最強のノーシード選手、バグダティスの好プレーに準々決勝進出を阻まれてしまいました。

2012 Brisbane ATP250
2nd Round
Marcos Baghdatis def. Kei Nishikori[5], 6-3,6-4

本日のキーポイントはブレイクした後のサービスゲーム。そしてバグダティスのピンチにおけるサーブ力でした。

またもや最初にサービスゲームをブレイクされてしまう立ち上がりでしたが、どちらかというとバグダティスが最初から積極的なプレーをしてきた印象でした。

これは私の推測ですが、錦織がスロースターターであることはもうかなり知られているはずですので、対戦相手の多くは最初から序盤にリスクを取って攻めてくるつもりで試合に入ってきているのではないでしょうか。錦織としては最初から全開とはいかないまでも、そのような攻撃をかわして「なんとかキープする」術を身につけないといけません。そのためにはやはり、欲しいときの1stサーブの確率を上げることが第一だと思われます。

1stセットはこの1ブレイクがモノを言ってバグダティスに取られてしまいます。ラリーは互角だっただけに残念でした。

2ndセット以降に強い錦織、徐々に調子を上げて2ndセット最初のリターンゲーム(第2ゲーム)をブレイクしますが、その後がどうしても波に乗れませんでした。即座にブレイクバックを許します。

続く第4ゲームで再びブレイクしますが、またもや第5ゲームでブレイクバックされイーブン。今度は第7ゲームでブレイクを許し、そのまま各セット1ブレイクずつの差で敗退となりました。

バグダティスは自分のサービスゲームのピンチでは、再三にわたりエースやエース級のサーブで切り抜けました。サービスエースは実に10本。錦織は0本でした。

実は1stサービスの確率は錦織60%に対してバグダティスはわずか52%。それにも関わらずバグダティスのサービスが好調に見えたのは、欲しいときに入ったからに他なりません。また、錦織は1stサーブからのポイント率が53%(30本中16本)と低く、確率こそ維持したものの、ポイントに結びつくような効果的なサーブが打てなかったようです。ここが勝負の分かれ目でした。

これでバグダティスに対しては0勝3敗となり、ティプサレビッチと並んで錦織にとっては「壁」となりつつあります。どちらもあまり弱点のない選手で、崩れることが少ないという共通点があります。私は、球質やプレースタイル的にはバグダティスの方が苦手なのではないかと想像していますが、いずれにせよ2人とも強い選手ですので、負けたからといってそれほど悲観的になる必要はないと思います。

バグダティスは44位ですが、全豪準優勝そしてトップ10の経験があり、錦織より格上と見ていいと思いますし、ランキング以上の実力を持っています。私見では20位以内の実力があると思っています。3連敗は悔しいですが、あくまで全豪が目標ですのでこの敗戦はあまり気にしなくて良いと思います。

いい機会ですので、ここで錦織のツアーでの勝ち負けについて、今後どういう見方をすればよいか私見を述べさせていただきます。

  • ごく一部のトップ選手を除いて年間20敗前後するのが普通です。優勝しない限り負けます。
  • 統計的には勝率6割(2勝1敗未満のペース)でトップ30に入れます。
  • 1回戦、2回戦負けが多くても、ときどき「爆発」することでランキング上位に入れます。むしろ「爆発」できることが重要です。
  • 当然ながら、大きな大会で勝つことが最も重要です。
  • どんな選手にも調子の波があります。自分の調子と相手の調子の兼ね合いによって勝敗はどちらにも転びます。
  • 長期的・平均的にはランキング上位が勝つことが多いですが、1試合だけ取ればランキング下位がランキング上位に勝つことは日常茶飯事です。
  • 昨年終盤の大活躍のイメージが強いかと思いますが、あのペースでいつも勝てるようならあっというまにトップ10に入れます。いつもそのようには行かないと思っておくのが良いでしょう。
  • 現在の錦織圭のランキング(25位)は、かなり実力を正確に反映しているように思います。たまには取りこぼしもあるでしょうが、故障さえなければ心配しなくても2,3大会に1回は上位進出できると思います。
つまり、今回の敗戦はそれほど心配いらない、全豪に向けてきっちり調整してくれれば良いということになります。
もし全豪で勝つべき相手にふがいない負けをしてしまったら、そのとき初めて「ダメ出し」すれば良いと思いますw

スコア推移(スコアリング by Namicchiroさん)

Set1

G1 バ ××○×× 0-1
G2 圭 ×××× 0-2 (1212)
G3 バ ××○×○○×× 0-3
G4 圭 ○×○○○ 1-3 (11122)
G5 バ ××○×○× 1-4
G6 圭 ×○○○○ 2-4 (22211)
G7 バ ○××○×○○×× 2-5
G8 圭 ○×○×○×○○ 3-5 (21121112)
G9 バ ×○○○×××× 3-6

Set2

G1 圭 ××○○○○ 1-0 (121112)
G2 バ ○○××○○ 2-0
G3 圭 ×××○× 2-1 (22121)
G4 バ ○×○○○ 3-1
G5 圭 ○×××○× 3-2 (121112)
G6 バ ×○××× 3-3
G7 圭 ×××○× 3-4 (2??12?)
G8 バ ××○○○××× 3-5
G9 圭 ××○○○○ 4-5 (?2211)
G10バ ×××× 4-6

19 件のコメント

  •  団長さん、早々のアップ、ありがとうございます。

     バグダティスは、圭に対して終始自信をもってプレーしていま
    したね。
     勿論、今まで以上に警戒はしていたのでしょうが、間違っても
    自分が格下だとは思ってはいなかったと思います。

     本当に第2のティプになってしまうことが懸念されます。

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  • 夕方は、用事があって、全然見ることができず、負けたことを知って気落ちしてました。実況掲示板と、団長の記事で、ストロークなどは、互角だったし、ブレイクもしていた、ということなので気を取り直してます。ブレイクしたあとにキープができないのは、自分のリズムにのれませんよね… それとサーブ力かぁ。なかなか一筋縄ではいかないと思いますが、全豪へむけて、調整していってほしいですね。がんばれ、圭‼
    ところで、添田くんが、1セットめ、タイブレークでとり、がんばってます‼

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  • 連続ですみません(^_^;) 添田くん、2セットめも取りきり、勝利です。すごいなぁ。

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  • 皆さんお疲れ様でした

    今日は全然見られなかったので何が起こっていたのかわかりませんでしたが、実況板と団長の記事で把握できました。

    いつも思うこと
    私のような素人は、ランキングより下の人には勝ってあたりまえ、昨年後半のように常に大会のベスト4以上にいってあたりまえ
    のように思ってしまいがち。
    でもそこまで勝ち続ける必要がないよ、という団長のお言葉は確かな裏づけがあるもので、納得しました。
    暗い気持ちになりましたが、前を見ていけそう。

    全豪にむけてがんばれ圭

    そして添田くんの勝利
    チームジャパンは確実に進化しています。
    デ杯が楽しみです~~

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  • このブリスベーンの試合は見ること出来ませんでしたが、この記事を読んで様子・結果が垣間見れました。ありがとうございます。
    圭くんも全豪に照準を合わせてきてると思いますので、全豪の大きな大会で、爆発してくれればと思います。

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  • 団長、皆様明けましておめでとうございます。
    昨年に続き早速のコメント有難うございます。
    私も今日は試合を見ることができず、ライスコで経過を追っていました。あまりににも出入りが激しかったので圭君の調子が実際のところどうだったのか、知りたいところでした。
    団長の分析で納得しました。圭君もランク25位、研究されていて当たり前ですね。
    ただ団長の仰るとおり、立ち上がりのゲームメイク、サーブはこれからの課題ですね。
    私もバクダティス戦は勝っても、接戦だと思っていたので負けても仕方ないというおもいです。
    早く切り替えて、全豪に備えてほしいです。
    今年もよろしくお願いします。

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  • 圭、残念でしたね。
    私も映像を見てないので断言はできないけど、過去の2試合よりずっと競った内容だったように思います。
    皆さんはあまりバグちゃんを知らないから仕方ないけど、ものすごく頭の良いテニスをする足の速い選手です。
    ランキングを落としているのは度重なるケガのせいで、団長も書いているとおり実力的には10台だと思います。
    今後圭が乗り越えなければいけない、でも良いお手本ではないでしょうか?
    てぃぷ同様、圭をしっかり育ててくれているんです(=゜ω゜)ノ
    圭、早く勝てるようになってね〜(‘-^*)ok

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  • 昨日は残念でした。錦織が目指す守ってから攻めるテニス、をやっていく上では、相手より先にミスする展開が多かったような感じがありました。ただ、ほとんどサーブの差ともいえましたし、全豪に向けて何を調整すればいいのか本人が一番わかったのではないでしょうか。見ていて全然勝てない相手とは思えませんが、今度当たるときはもう一段上の質の高いラリー合戦が見てみたいです。がんばれ圭!!

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  • 団長さん、早速の記事アップありがとうございます。
    昨日の試合、ライスコカクカクながらも、楽しませてもらいました。
    私が見る限り、圭くんの調子はサーブ以外は悪くなく、いい試合をしていました。
    バグダディスは、安定した無理をしないストロークを駆使して試合の駆け引きで相手を崩す選手ですが、圭くんも我慢してストローク戦に応じ、ファーストセット後半からセカンドセット中盤までは深いボールを使って、見事に打ち勝っていました。
    ただ、予想以上に相手のサーブがよく、ここぞと言う所でとんでもないサーブがはいっていたのと、圭くんのサーブがいいところで入らないことで、2nd後半で気持ち的に落ちてしまうところがあって、他のショットにも影響し、あっさりブレークを許してしまったところに、敗因があったと思います。
    正直バグダディス側からみてみれば、最後のブレークは圭くんのミスでもらえたので内心ラッキーだとほくそ笑んでいたのではないでしょうか。
    あそこでもし、圭くんが気を持ち直してサービスホールドをしていたら、試合はどうなったか分からなかったと思います。
    バグダディスはトップ20のテニスをしていましたが、圭くんもサーブ以外はそれ以上のテニスをしていました。
    全豪に向けて、いい準備が出来ていると感じた試合でした。

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  • 昨日は元気が出ませんした。
    錦織の魅力の一つの早さをバグに持っていかれていて、ついていけてなくてミスショットが多かったように見えたのが残念でした。カメラアングルが低かったので早く感じたのかも。(しろうとなのですみません。)掲示板で鼻血さんが、バグのバウンドしない球が苦手かもと書いていらっしゃったけど、本当に打ちづらそうでした。スタコフスキーのスライスを思い出してしまいました。
    今年は苦手な人に勝ってほしいです。

    記事と皆様のコメントで元気が出てきました。ありがとうございます。

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  • 映像は見られなかったのですが、スコアや団長と皆さんのコメントから、試合の一つのカナメ的なことを感じました。
    それはヂュースになったときの勝敗です。
    ヂュースは第1セットに4回、第2セットに1回の計5回ありました。
    内容は映像を見ていないので分かりませんが、その5回のうちバグダディスのサーブが4回、圭君のサーブが1回で結果としては全てキープされています。

    私が思うのは、4回もあったバグのサーブのときのヂュースを圭君が一度もブレークできなかったのが残念だった、ということです。
    ただこれは、4回もヂュースに持ち込む力があり、ブレークする前提が作れたという証明でもあります。
    ティブともそうですが、彼らの壁を越えるには是非ともこの辺の競り合いで一皮むけて欲しいと願っています。

    ところで余談ですが、私はバグダディスの顔を見ると、どうしても屋台のおでん屋のオッサンを思い浮かべてしまうのですよw
    ・・ところがこの、頭にハチマキを巻いて口にタコの足をくわえたオッサンがコートを跳び回ってボールを打つと強いのなんのって・・・
    彼の試合を見るときは、いつも、あの風貌から受けるイメージを押さえ込みながら見ていますw

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  • あいかわらずのスロースターターで、一ゲーム目からサービスゲームを落とした段階でなんか気持ちが沈んでしまいました。何しろ相手は試合巧者、それに明るい性格だし、楽天のときも圭君を破った後、マレーといい試合してました。大半はアンディーとさけんでましたけど、わたしはおもわず、「カモン、マルコス」と何度も叫んでしまいました。そのくらい魅力がありました。そんな相手っですから、最初から思いっきり行かないとどうにもならない気がして、
    これ今年の課題にしてほしい、念念。

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  • 団長、皆様、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願い致します。

    昨日は帰宅途中の電車の中で、2セット目2-0からツイッターで情報を得ていました。これは3セット目に持ち込めるかなと思いきや、三度遠足から帰れず・・・かなり気落ちしましたが、団長の記事や皆様のコメントで元気が出てきました。
    全豪に期待しましょう!!

    >頭にハチマキを巻いて口にタコの足をくわえたオッサン
    島さん、そうそう、バグちゃんはまさにそんな風貌ですねw

      引用  返信

  • 島さん、そうなんですよ~。
    デュースまでいったり15-40というチャンスもあったんです。
    が、団長のおっしゃるようにそういう時こそバグダティスはすっごいサーブ決めてくるんですよ~><
    強いなあと感じました。しかし、笑顔がかわいくて憎めない。。

    錦織君は、サーブの打ち出すまでの時間を去年の終わりよりさらに早くしているような気がしたんですが、気のせいでしょうか?まだそのタイミングが完全にフィットしてない感じもしましたが、いい感じで入った時はサービスでのポイントもできましたし、これで確率があがってくれば、楽にキープできるようになるんじゃないかなと思いました。
    サーブのことは私の見た目なので本当に変えてるかどうかわかりませんが、上をめざすには、現状維持ということはないと思いますので、進化のための種まきをいろいろ始めていると思います。
    ツアーの中である程度の勝ちをおさめランキングを維持しながら、変わっていくのは大変なことだと思いますが、彼ならやってくれると信じてます。
    今までもいつも期待以上にやってのけちゃってますし^^
    なので、目先の勝ちにこだわらず成長を見守りたいと思います。
    う~(勝ちへのこだわりに耐える声)

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  • すみません、この場を借りて質問が・・・
    ブラッドギルバートは、今年も圭君のコーチなんでしょうか?

      引用  返信

  • Reikoさん、私もギルバートコーチの件はすごーく気になってます。何もアナウンスがないのは、“変わってない”ということなんだと勝手に思ってるんですが・・・。

    そのギルバートもtwitterでサービスエースの数(バグ10本、対する圭0本)が大きな差だってつぶやいてますね。

    AOまでに調整して欲しいです。

      引用  返信

  •  最新(1/6付)の全豪エントリーリストによれば、当初のソダー
    リングに続き、チリッチもOUTしたことがオフィシャルにアナ
    ウンスされました。

    http://www.menstennisforums.com/showthread.php?t=193642

     また、現時点で1/9付RKで圭を抜く可能性があるのラオニッチ
    1人だけですので、これをもって、圭が全豪で#17~#24シード
    (第3集団)をもらえることが確定しました。

     これは、順当な場合の3回戦の相手が、#1~#8シードではなく、
    #9~#16シードの選手になることを意味しており、ベスト16以上
    を狙う圭にとっては非常に大きなことです。(要は、#24と#25では
    全然違うということ)

     個人的には昨年末よりこれを狙ってきたので、かなり嬉しい
    です。

      引用  返信

  • 遅れ馳せながら、書きたかったことを
    書きたかった時期のトピコメント欄に、(こそっと)書きます。

    お正月にNHKでやっていた澤選手と北島選手の対談番組を見ました。
    その中で、澤選手は、あのWC、アメリカ戦の同点ゴールの時、
    “サッカーの神様が降りてきた”と言っていました。
    北島選手は、北京Olympic、予選、準決勝と余り良いタイムが出ず、
    ダーレオーエンの後塵を拝す状況になっていました。
    北島選手、ホテルへ戻り(いつものように昼寝をして?か一晩寝て?起きると)
    “やべ!俺勝っちゃう。”
    と思ったそうです。

    話は突然変わりますが、
    私は若かりしころ、当時まだ全然売れていなかったあるグループを熱心に応援していました。
    私と友達は、この、全然売れていなかったグループに対し、“近い将来必ず売れる”という確信めいたものを感じていました。
    そしてその確信はついに実現しました。

    錦織がNo. 1になる。
    錦織選手を愛するファンたちがこの言葉通りのイメージを誰しもが感じ、
    そして自分自身でも何故か解らぬ予感めいた確信を持ち始めたら、
    それは必ずそうなると思います。

    今は、ファンとしてー。
    応援のとき必ずポジティブシンキングであることが何より大切。
    前向きな応援(=念)が大事だと思っています。

    団長の、理知的、科学的な分析とかけ離れてしまいますが、
    私は今、強くそう思っています。

    こんな極上のワクワクした気持ち、
    また味わえるのかと思うとこの上ない喜びです。

    公式読んでいると、
    かなりやってくれそうですね!!
    自信あるっぷりとリラックスぶりが
    それを強くそう感じさせてくれます。

      引用  返信

  • 私も、この世の中は
    目に見えるもの(理知的な分析、データなど)と
    目に見えないもの(信じる、応援で念を送る、祈り、みんなでイメージなど)の
    両方で成り立ったいる、と強く信じる物の1人です。
    どちらに偏りすぎても問題なんだと思います。
    彼の勝敗に一喜一憂するのもまたフアンならでは、ですが
    やっぱり常に変わらず、彼を信じて、前向きに
    応援し続けること、こそ、フアンにできる一番ことですよね。
    私も、彼ならきっとやってくれる、と信じ続けて
    どんな局面でも「前向きに」応援しますよ!!

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。