「ワウリンカに負けて決勝を逃した大会」ではなく「マレーに勝って準決勝に進んだ大会」(2016全米準決勝)

2016 US Open Tennis Championships
Semifinal
Stan Wawrinka[3] def. Kei Nishikori[6], 4-6,7-5,6-4,6-2

力負けしてしまいました。マレー戦の疲れがあったと思います。
しかしワウリンカを褒めるしかありません。酷暑の中、最後までスタミナが尽きなかったし、勝負を大きく左右するポイントでのギアアップが驚異的でした。
錦織にも勝機があった試合でしたが、徐々に体力を削られ、先行されては追いつく粘りを随所に見せてくれましたが、最後は届きませんでした。

つくづくグランドスラムを優勝するのは難しいことだと思います。
今でも優勝は可能な実力は持っていると思いますが、準々決勝から3連続でラスボスを倒していくためには、体力を残した勝利が必要になってきます。
今回、マレーを破るために体力の犠牲を払ってしまったことは避けようがありませんでしたので、仕方ない部分はあります。
今のランキングで優勝するためには、相手の調子が悪いとか、錦織が絶好調になるとか少々の条件が必要です。

ランキングを4位以内に上げて、準決勝までジョコ、マレー、ワウリンカと当たらないようにすることが近道でしょう。

勝ち上がり方含めての勝負ですから、「疲れていなければ勝てた」などとは言いません。
1stセットのプレーは完璧で、脱力しながらもプレースメントの良いボールがコーナーに飛んでいき、楽な形でネットプレーに繋げていました。
このプレーが続けば、確かに勝てていたでしょうが、体力があったとしても最後まで続いた保証はありませんし、ワウリンカも2ndセットには調子を上げていました。

ワウリンカのプレーは、さすがグランドスラムウィナーと言えるものでした。
3rdセット4−4 30−40の錦織のブレイクポイントからの3ポイントをもぎ取った精神力とタフネスは勝者に値するものでした。

錦織も、2ndセット中盤から疲れが出始め、セットカウント1−1に追いつかれた時点では相当辛そうでしたが、3rdセット、ヘロヘロになりながらも決して諦めず、自分をプッシュして追いついた場面は、以前より心身共に強くなったことを示していると思います。
以前なら6-4,2-6,2-6,1-6くらいのスコアで、内容的にももっとあっさり負けていたと思います。

ネットプレーにちょっと頼りすぎてしまった点、ドロップショットの選択ミスなどもありましたが、それはストローク戦で思うようにポイントが取れなかったから。
本人にしか分からない感覚、ワウリンカの球から伝わってくるプレッシャーがあったのだと推測します。
ストロークでポイントが取れなかったのはとにかくフットワーク、すなわち疲れからです。
1stセットはフットワークが良かったので、無理をしなくてもストロークでポイントが取れていました。

打点に余裕を持って追いつけないので強い球、深い球が打てないのでワウリンカに先に攻撃を許してしまいました。
戦術を取ろうにも取れない状態でしたが、むしろよく粘ってポイントを取っていたと思います。
この状態ではサーブアンドボレーに頼りたくなる気持ちも分かりますが、途中からワウリンカはもう予測していましたね。

4thセットはもうワウリンカがサーブ、ストロークともに全開で手が付けられない状態になってしまいました。

私はそんなに落胆していません。
2ndセットの第4ゲームをキープしていたら、3rdセット 4-4の30-40を取っていたら、という「たられば」はあるものの、逆にワウリンカも1stセットはバックのミスが多かったし、「それがなければワウリンカがストレートで勝っていた」とも考えられるわけです。

一つ言えるのは、トロントで見せたような精神的もろさを、ワウリンカはまったく見せなかった。
心身共にタフだった、ととにかくワウリンカを賞賛したい気持ちです。

悔しいですが、マレーに勝った充実感の方が強いです。
今大会は、「ワウリンカに負けて決勝進出を逃した大会」ではなく、「マレーに勝って準決勝に進出した大会」だと思います。

私が今年の目標に掲げた「GS,Masters1000でのベスト4常連化」、これは達成したと考えます。

全豪 ベスト8 (lost to Djokovic)
IW ベスト8 (lost to Nadal)
マイアミ 決勝 (lost to Djokovic)
マドリッド ベスト4 (lost to Djokovic)
ローマ ベスト4 (lost to Djokovic)
全仏 4回戦 (lost to Gasquet)
ウィンブルドン 4回戦 (lost to Cilic, retired)
トロント 決勝 (lost to Djokovic) ※ワウリンカに勝利
リオ 銅メダル (lost to Murray) ※ナダルに勝利
シンシナティ 3回戦 (lost to Tomic)
全米 ベスト4 (lost to Wawrinka) ※マレーに勝利

オリンピック含め、これまで11大会中6大会でベスト4以上。ベスト8が2回。
完全に「ベスト4常連」です。
この中で「もったいなかった」と思えるのは全仏ガスケ戦のみ。
しかもマスターズはあと2大会あります。

そしてまもなく、デ杯、楽天オープンと錦織の勇姿を日本で見られます!
錦織がこれからも元気でプレーできることが第一です。
充実感と悔しさの両方が入り交じる中、しばし体を休めてまた、戦いの場に勇姿を見せて欲しいです。

619 件のコメント

  • いやあタローちゃんよく頑張りましたー。蓋を開けてみればストレート勝利\(^o^)/
    ダニエル太郎選手、そしてチームジャパンの皆さま、大きな大きな1勝おめでとうございます\(^o^)/

    第1&第2セットはスタコさんのさすがの老練プレー、ワイドに逃げるサーブ、サーブ&ボレー、低く滑るスライス、ドロップのスクランブル攻撃に悩まされました。特にBHスライスは低くて低くて、タローちゃん毎回ヒンズー・スクワットでよいしょって持ち上げないといけなくて(>_<) こりゃ体力消耗激しいわと思っていたら、そこを何とか若さで乗り越えてタイブレ勝負2連チャンで制し、第3セットは圧巻のダニエル劇場。
    アナウンサーは「ダニエル太郎が止まらない」と。まるでロマンティックが止まらない♪

    やっぱり会場は蒸し蒸し暑いんですね。現地応援の皆さま、熱中症等にお気を付けくださいませ。西岡選手の応援も宜しくお願い致します!
    下団さまのレロレロレーッが出たところで、私もにっしー選手応援に集中いたします!

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  • ちょっとだけオンデマンドで見れました♪(スマホちっちゃくてボールの行方よくわかんなかったけど)
    太郎選手やりましたね!

    それにしても大阪は天気よさそうですね。私のところは今にも降りだしそうな曇天です。

    選手も応援の皆さんも暑さに負けないように!
    十分に気を付けてくださいね。

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  • やっと昼休憩になって、こちらで結果を知りました。
    太郎ちゃん、やってくれましたね!
    スコアも良い感じ♪帰って録画見るのが楽しみです。
    現地応援、テレビ観戦の皆さま、お疲れさまでした(*^^*)
    まだまだ、西岡くんの試合もありますから引き続き応援よろしくお願いいたします。
    デ杯初のシングルス。燃えてると思います。
    肘の具合も問題なさそうなので、勝ちきってほしいなぁ♪
    頑張れ~ニッシーヨッシー(^-^)/💕

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  • 好調マーチェンコ選手と西岡選手、いよいよ入場です!
    鍋島アナウンサーの軽快な口調が快く。
    会場も気温もヒートアップしてます、そうです。

    前コメで名前誤記🙇🏻

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  • 海外のデ杯情報です。
    準決勝イギリスvsアルゼンチン戦に出場するマレー兄弟のお祖父さまが15日亡くなり、16日が葬儀だそうですが、アンディはその葬儀を欠席してデルポトロ戦に出場するそうです。マレー兄は出番が17日以降なので葬儀に参列するそう。
    いや、身内の不幸事でさえも振り切って、デ杯デルポトロ戦に懸けるアンディの意気込みたるや…。彼を動かす原動力は何なのでしょう。

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  • 現地は始めこそ曇りでしたが、晴れて日差しが強いです。湿度は低そうなのがまだ救いでしょうか。

    今から西岡選手の試合が始まります。
    太郎選手に続いての勝利を!

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  • コートサイド解説の坂本正秀さんのお話では、
    デ杯シングル初出場の西岡選手ですが、あがることなく、落ち着いた様子。
    マーチェンコも重いゆったりとしたストロークだそうです。

    間も無く、夜まで外出です。
    夜、こちらのコメントを拝見するのを楽しみにしています。

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  • 西岡が先に、
    マーチェンコから1ゲームブレイク‼️
    是非、ご帰宅下さ〜い🙇🏻
    3-2です。

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  • よっしゃ〜〜
    無事、帰宅〜〜

    マーチェンコ、暑さで苦しそう。

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  • 4-3、マルチェンコのブレークポイントを何度もしのいでいます!

    しかし靭暑すぎて熱中症になりそう(ㅇㅁㅇ川
    現地のみなさま、水分補給にお気をつけを…!

    よし!ないすキープ5-3!!

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  • Davis cupのウェブサイトからのライブストリームで観戦してます。日本語の解説も入っているんですが、西岡ーマルチェンコ戦の解説をしている方はどなたか教えていただけないでしょうか。アメリカ在住で日本語の解説など聞く機会が普段は全くないのでかじりついてます。

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  • 浦島太郎さん、
    解説は村上武資さんだと思います!(車中より)

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  • @あじゃこ さん

    お忙しいところお返事ありがとうございます。このブログでも解説者談義がよく出てきますがいつも話がさっぱりわからないので、この機会にどういう解説者の方ががいるのか自分の耳で聞いて少し勉強させてもらってます。

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  • あじゃこの事ですから、見まつがえ、も無いとは言えない💦
    もし、違っていたら、浦島さんに申し訳ないので、WOWOW視聴されている方、ご指摘を。
    放送中に鍋島アナウンサーが、村上さん、と話しかけたら、ビンゴ!
    最後には、実況は鍋島、解説は〜〜さんでした!とコメントあるはずです。
    頼りなくて、スイマセンm(_ _)m
    もう、この先、こちらは19時過ぎまでは見られません。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。