中の人何回入れ替わった?な試合を最後の集中力でなんとか振り切り勝利!(2021全仏1回戦 vs. ジャネッシー レビュー)

2021 Roland Garros (Grand Slam)
1st Round
Kei Nishikori def. Alessandro Giannessi, 6-4,6-7(4),6-3,4-6,6-4

159位の31歳(本日誕生日)、キャリアハイ84位でツアー通算12勝19敗という成績の選手に、錦織がここまで苦しめられるとは想定していませんでしたが、たしかにそれだけの素晴らしいプレーをしたジャネッシーに、試合の中で調子がコロコロと変わってしまう錦織の不安定さがあいまって、このような大接戦となりました。

ただ、締めるところは締めたと思います。ファイナルセット2−4からの4ゲーム連取は見事な集中力でした。

やはり攻め球のミスが気になります。
難しい球は返せるけど簡単な球をミスしてしまう感じです。
あるいはそれほど有利な場面をまだ作れていないタイミングでの攻めが多すぎたかもしれません。

ミスをゼロにすることはできず、ウィナーとミスの比率を有利な状態に保つプレーバランスを心がけなければなりません。
かなり下がって、高い弾道も使ってくるジャネッシーのプレースタイルは錦織にとってリズムが作れず、やりにくそうに見えました。

最初から全力でプレーしてきたジャネッシーは、3rdセットを錦織の完璧なサービスゲームで奪われたところで体力的にも気力的にも限界を迎えるかと予想したのですが、4thセットで錦織が最初のサービスを40−15からキープできず、次のリターンゲームでは0−40からブレイクできなかったことで息を吹き返してしまいました。

長引く試合はしたくないし、本来のプレースタイルは攻めということで早めの仕掛けがミスを誘発してしまった感じがします。
クレーコートではやはり、もうすこしじっくり行くプレーも必要かもしれません。
ドロップも、もっと有利な場面で使ってほしく、ギャンブル的に使うことが多いのには賛成できないのですが、天才的なひらめきで決めてしまうことも多く、なかなか評価が難しいところです。
たた、少なくとも普通に打っても決まるところはやっぱり普通に打ったほうがいいと思います。

あとは、サーブもリターンももっと上げて行ってほしいなと。
1stセットのサーブは良かったのですが、途中から威力がなくなりサービスポイントがなかなか取れなくなりました。
2ndセットでは3回ブレイクされて3回ブレイクバックするという目まぐるしい展開でしたが、そうなった一因でしょう。
結局、1stの速度は平均166km/hと低調でした。

リターンはアドサイドのワイドサーブに最後まで手を焼きました。
全体的にリターン返球率がもう少し高ければよかったと思いますし、左利きアドワイドサーブは難しくてもほぼ、そっちにしかこないことは分かっていたと思いますので、早めのアジャストが欲しかったところ。

とは言え、最後にはリターンをほとんど返してブレイクできましたので、集中力の問題もあるかもしれません。

錦織のアップダウン激しいテニスがあったとしてもジャネッシーは持てる力を存分に発揮して素晴らしいテニスをしたと思います。ファイターでした。
ピンチでサーブアンドボレーを決めたり、カウンターの素晴らしいフォアのストレートがあったり、最後まで勝負してきました。
錦織が試合後に「やりにくかった」と言ったように、クレーコータらしい粘りも見せ、錦織はほんとうにヒヤヒヤしたと思います(私達も)。
本当に勝ててよかったです。

1回戦は3日かけて行うので、次の2回戦は3日後の水曜日になります。
体力的にきつかったようですので、3日後といえども体力が心配です。練習はしっかり休んでもらいましょう。
相手はマドリードで勝利したハチャノフです。
1stセットはタイブレークで取られたものの、その後は完全に錦織が上回っていました。
タフドローが続いていたので、今回のドローはかなり良く見えます。

ティームがクレー巧者アンデュハル(ジュネーブでフェデラーに勝った)にフルセットで敗れ、今ズベレフも2セットダウンしています。
クレーコートはアップセットがよく出るサーフェス。見た感じとしてもサーフェスが遅く見え、番狂わせが生じやすそうです。そんな中、なんとか勝ち上がった錦織。
まずいプレーをしてしまったというより、今日の試合を勝ち抜いたおかげで、また次のチャンスが来ると思って、前向きに行きたいですね。

52 件のコメント

  • HIPPO, さん
    そうでした。配慮が足りませんでした。ご助言ありがとうございます😊
    おっしゃる通り、この引用は井蛙堂さんのものです。確かに現地での言葉を訳す井蛙堂さんの労力があるにも関わらず、無償で利用させていただいていることに対して感謝する気持ちを忘れていたように思います。反省…。他の方のものも同様に配慮しながら、活用させていただくようにします。ありがとうございました。

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  • フェデラーの試合をみるとテニスがいかに簡単なスポーツかが分かり、錦織君の試合をみるとテニスがいかに難しいスポーツであるかが分かる

    けだし名言なのだ これでいいのだ

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。