暑さに勝った!集中を保ち、最後に底力を発揮しベスト8!(2018全米オープン4回戦 vs. コールシュライバー)

2018 US Open (Grand Slam)
4th Round
Kei Nishikori[21] def. Philipp Kohlschreiber, 6-2,6-3,7-5

ストレートでしたが、最後は暑さにやられてものすごくきつかったと思いますし、セットを取られたら体調次第では敗戦も十分ありえた際どい試合だったと思います。
3rdセット5−4でサーブが入らず、動きも落ちた中でコールシュライバーはまだまだ元気一杯。
鋭いボールを次々に入れてきて、錦織も粘りを見せましたがブレイクされてしまったことは仕方ないと思います。

かなりハラハラしましたが、次のゲームでゲームポイントを握られながらも伝家の宝刀、バックDTLが炸裂しまくり・・・。
信じられない底力でブレイク、そして勝ちきってしまいました。
ブレイクしたときは私は夜空に向かって吠えました。

またそれまでのプレーぶりも、感動しました。
近年の課題であった試合運び上の問題が全てクリアされていました。
ショットの威力やプレースメントはまだまだ完璧ではありませんが、とにかく無駄なミスが少ない。
そして攻め球を返されてもムキなって打たず、落ち着いてもう一度ラリーを構築する。
深く返す意識が高い。コーナーを狙う余裕はなくとも、確実にコートに入れる。
打たれても慌てない。相手にプレーされた上で自分のコートカバーも同時に考える。
2回やられたコースは覚えて対処する。コーリーのバックDTLのリターンは後半、全て読んでいました。

そして何より集中をとぎらせない。リードしても気を抜いたプレーがない。小さいポイントでもガッツポーズ。
コールシュライバーがあっさりキープし、「さあここでブレイクだ」と意気込む場面でサービスによるフリーポイント。

随所にジョコビッチ的といいますが、クレバーでいて丁寧、安定しつつ要所ではクオリティを上げる。
褒めまくりですが、こういうテニスが見たかった!!!

鮮やかなウィナーや目の覚めるようなカウンターショット、意表を突いたドロップなどの派手なプレーはありませんでしたが、それで良い、思わず、

netdash
ほー いいじゃないか こういうのでいいんだよ こういうので

と、「孤独のグルメ」の井の頭五郎風に言いたくなってしまうような試合内容でした。

今日はミスが多いコールシュライバーのプレーもあり、錦織は「確実に勝つ」方法を選択していたと思います。
本当ならもっとガンガン攻撃したかったと思うのですが、厳しい暑さの中無駄な体力消耗は避けねばならず、またフラットに打っていけるほどの精度がない中、もてるショットで工夫して安定したプレーを心がけていたと思います。
コールシュライバーのスライスにも上手く対応していましたし、フォアは回転をかけて上手くアングルを使ってオープンコートを作っていました。
ガンガン打つ理想のフォアではなかったですが、ミスは少なかったですしオープンコートにはきっちり飛んでいましたので、これはこれで良いプレーだったのではないでしょうか。痛いと感じるミスはあまり記憶にありませんでした。

サーブの確率とドロップの精度は要改善です。
予測を外すことを重視するあまり、高い打点からのドロップを打ってしまうことがあります。そうするとバウンドが高くなってしまいます。意表を突いてもトータルでは時間の余裕を与えてしまいます。
スライス系サーブが確率と速度、プレースメントのバランスが良いように思うので、確率が落ちたとき、1stが欲しいときにはもう少し使ってみてもよいのではないでしょうか。ガスケのように、サーブで決めるのではなくラリーを有利に進めるための1stサーブ。回転系サーブが主体ながらも、当たりの厚さを調節すればフラットサーブ的に使うことは可能です。

いやーーーー・・・・それにしても3rdセット第11ゲームのブレイクは痺れました。(繰り返しになりますが)
どこにあれだけの力が残っていたのでしょうか。その前のゲームから相当、やられていました。熱中症手前だったと思います。
あのセットで取らなければかなり大変になることは、錦織自身がよく分かっていたと思いますが、あの状態であれだけ思い切った攻めができるとは。
暑さにやられると、頑張ろうにも頑張れない、どうしようもない状態になってしまいます。体に力は入らないし、意識は朦朧とするし、反応は遅れます。
ボールがどこを飛んでいるか分からず、ラケットの真ん中にあたりません。足も動きません。
錦織もかなり動きに影響がでていました。5−4からブレイクされたことで、ファイナルインくらいまでは覚悟してしまいました。

並の選手ならあそこからずるずると落ちていくと思いますし、そうなっても一概に責められないタフなコンディションだったと思います。
その状況でもまだまだ戦えそうだったコールシュライバーは凄いですし、5−4からどんどんプレーのレベルが上がって、コールシュライバーの底力も感じました。

熱中症は、治ったと思っても1週間くらいは続くこともあるそうです。
数日経って治ったはずなのに頭痛がしたり、吐き気がしたり。
錦織にそういうダメージが残らないことを祈ります。
3回戦も辛そうでしたが、足に痙攣が来ていたそうです。
フロリダを拠点としていますがおそらく、錦織は暑さに強いタイプではないと思います。
純粋な体力としてはこれまでゲーム数も少なく、涼し目の時間帯だったのですが、ここでデイセッションになったことで暑さに慣れていなかったのと、とにかく暑さが異常であることが効いたのかもしれません。
となると暑さはQF以降も天候と時間帯次第では大きな不安要素となりそうです。
期待通りにここまで来ただけに、少しでも涼しくなることを祈ります。

それにしてもQFですよQF。
復帰後は全仏4R、WB QFと来てまた全米でQFです。
前哨戦の成績は良くありませんでしたが、さすがトップ選手は違う。
GSで活躍できているのでランキングも高くなります。
今はボーナスステージ(昨年の失効がない)ので再来週には現時点でも15位前後になりそうです。

GSのQFはこれで9回目ですが、全米では過去2回とも勝っています。
それ以外のGSのQFは全て負けています(6敗)。
錦織がGSを勝つなら全豪派、全仏派、全米派がいると思いますが(WB派はどのくらいいるのだろう)、私は全仏と僅差の全米派です。
全仏も行けると思いますがほら、あそこでは土魔神様がまだまだ君臨しそうですから・・・。

ショットの調子は水物ですが、試合運びを見るに、錦織に試合勘、勝負勘が戻ってきているように思います。
今日のプレーはジョコビッチを思い起こさせました。無理せず取るポイントが多かったこと、相手の調子を上げさせなかったこと、ギアを上げた相手を押さえ込んで最後は自らのギアを上げるところなど。
私は、GSの4Rというこの大舞台でこのプレーをしてくれたことが本当に嬉しい。

「上位ラウンドでどういうプレーをするかが重要だ」とプレビューで申し上げました。
その期待に応えてくれたことが嬉しいです。
ショットの調子は試合によって変わりますが、戦略、勝ちへの意欲、自信などは維持できると思います。暑さは心配ですが、力を出し切る雰囲気と条件が整いあるように思います。

試合後インタビュー

最後の5−4のサーブのゲームだけ反省点はあるがその他はほぼ完璧に近かった。熱かったので集中力や判断力を保つのが難しい中
集中力を取り戻すことだけを考えた.ショックはショックだったが振り返らずポイントだけに集中してやり切ることだけを考えた。

(今日はこの後大坂選手だが。)
がんばってほしいです。
…ちょっともう疲れて気力がなくなりました。

(ファンへ)
嬉しいです。この勝利を自信にして次を頑張ります。

103 件のコメント

  • キリ丼さま
    wowow開設当初からなんて、さすがです!
    確かに、思っていたより簡単に加入できました。
    今日はチリッチ戦が楽しみで、仕事に集中できません…💦
    勝ったら儲けもの、錦織選手には悔いの無いよう、思い切りプレーして欲しいです。

      引用  返信

  • 今日が現地観戦4日目ですが、昨日のこの錦織vsコールシュライバー戦は終始炎天下での観戦。
    体力も消耗気味で今日は、デルポトロvsイズナーを観戦後、ホテルに戻って休み、ナダルvsティエム戦はテレビで観戦でした(観終わって、この激戦、ナイトも買えばよかったと後悔…)。
    だいあんさんが何度か書かれた日陰になる観戦席の話は非常に重要だと今更ながら実感してます。
    もっとも私の今日の疲れは、昨日、勝利の喜びで飲みすぎたせいもありますけど。
    それにしても、連日の現観観戦を楽しむには体調管理を侮ってはいけません。

    アッシュのあの蒸し暑さは、観客の体温と汗が作り出す部分がかなりあると考えていますが、日照時間などの気象条件と相まって、デイかナイト、先の試合か後の試合のどこがプレーしやすいかは一概に言えないかも。

    アームストロングはアッシュ以上に騒々しいんですが、あれは、2階の売店等があるフロアにドアがなく、そのフロアを行き交う人達のおしゃべりがコート内まで伝わってしまうからです。ただ、吹き抜けになっている分、空気が抜けやすいのか、日陰が増え始める14以降の観戦は比較的快適でした(おそらく少なくともアッシュよりも)。

    グランドスタンドは開放的なつくりで、空気が篭ることはないですが、その分、日が当たる時間帯は長くなります。

    それから、今日のチリッチ選手の練習は球出しからしっかり目の練習内容で、スタッフとの笑顔での会話も多くコンディションは良さそうに見えました。
    錦織選手の9:30からアッシュでの練習は、アッシュは11時にならないと入場できなかったため見ることができず、その後P1に移って10:00からの練習は、田島選手を相手に15分程度サーブの確認だけして切り上げてました。
    コンディションはわかりません。
    練習を切り上げる際、錦織選手は田島選手にサムアップをしてお礼を述べ、会場外へ。

    明日は奮発してアッシュの1階席前方をゲットです。
    ディセッションということもあって、そこまでびっくりするような価格ではないですが、でも、ある意味SFのチケット購入が怖い。
    チケット情報は大会が終わってからあらためて書かせていただきます。

    錦織選手、がんばれ!

      引用  返信

  • ナダル対ティーム戦、物凄い試合でした。
    もうすぐ5時間という今大会最長試合、最後の最後までどちらに転ぶかわからない試合でした。
    ナダル選手、おめでとう。
    ティーム選手、あと一歩でした。
    二人とも素晴らしいファイターで、最後まで質が落ちることはありませんでした。
    それにしても、鈴木貴男さんの、選手目線のフラットな解説は好きだなぁ。
    技術面を中心に選手ならではの心理面の解説もまじえ、とっても分かりやすい。
    裏方さんなどの色んな小ネタも豊富。
    淡々と解説しながらも、ちゃんとリスペクトも忘れない。
    いつか錦織戦の解説もしてくれないかなぁ。
    伊達さんでもいいなぁ。

    今夜の錦織対チリッチ戦。
    暑くて湿気がある中だとは思うけど、前試合よりは日かげが多そうだし、デイセッションは早く終わって身体を休められるという利点もあるので、いい風に捉えたい。
    強敵チリッチ選手ではあるけれど、何とか勝ってベスト4に進んでほしい。
    チャレンジャーとして、途中から楽しくなっちゃうくらい自分のテニスが出来ればいいな。
    そしたら、結果は自然とついてくる。
    全米の借りは、全米で返そう!
    錦織選手、頑張って!!!

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。