改めて見ましたがマチュー強かったわ

GAORAが放映したマチュー戦を昨夜視聴しました。

改めて冷静に見ましたが、マチューのプレーは彼自身としてもかなり良かったのではないでしょうか。
本日はベルダスコに簡単に負けてしまったみたいですが。
(ベルダスコも私の好きな選手。私の中の実力評価かなり高い。)

まず1stセット第2ゲーム、錦織の最初のサービスゲーム。

マチューはストレートのリターンを4本も打ちました。
2ndサーブを狙い撃ち、かなりコートの中に入って踏み込んで打ったリターンは鋭すぎました。
錦織の2ndサーブがそれほど甘かったとは思えませんでした。
あれ以上打ったらダブルフォルトのリスクが出てくるでしょう。

そして実際1回、デュースからDFをしました。まだ2ゲーム目という序盤にも関わらず、解説の丸山薫さんは

「これは痛い」

と言いました。マチューの攻撃態勢を見て、その後リターンから叩かれる場面を想像してそう思ったのでしょう。

マチューのフォアハンドは錦織と同じくかなり厚いグリップなので、スピンがかかって跳ねてくる錦織の2ndサーブに対して高い打点から攻撃することができました。
このあたりは前日のベルディヒ(フォアのグリップが薄め)とは異なった点です。

これを回避するためには

・より深い(サービスライン際に落ちる)スピンサーブを打つ
・とんでもなく跳ねるスピンサーブを打つ
・あるいはスライスサーブで横に曲げ、高い打点で取らせない

ことが必要になります。

2ndサーブなので基本はやはりスピンサーブになるでしょうから、まずは深く打つことでしょうね(そんなの本人分かってると思いますが)。

とんでもなく跳ねるスピンサーブは、ラフターが打っていました。
対戦相手の顔以上に跳ね上がり、跳ねだけでノータッチエース(しかも2nd)を取っている場面すら見たことがあります。
エドバーグの跳ねもすごかった。

これはすぐにどうこうできる技術でもないですから、まずはいろいろと工夫することからでしょう。
ボディーに打ってみるとか、立ち位置を変えてみるとか(これは試みていた)。
スライスサーブは混ぜた方がいいでしょうね。
私、錦織のスライスサーブかなり効果的だと思っています。
多少DFが出てしまうかもしれませんが、このレベルの選手と戦うときはそのくらいのリスクを取る必要があるかもしれません。
いやはや厳しいレベルです。

次にバックハンドの打ち合いでのマチューが素晴らしかった。
錦織もバックハンドの進歩が著しいですが、マチューのバックハンドは天下一品。確率と威力を兼ね備えています。
錦織のショットも悪くないのに、すごいクロスのカウンターなどが飛んできました。

サーブの配球も見事でした。
両サイドとも、ワイドへのサーブのコースが厳しかった。
デュースサイドではスライスで外へ切れていくサーブで、アドサイドからはフラット気味に押し込んでスライスでリターンさせていました。
外を意識させておいてからセンターへサーブを打ってくるパターンで攻めてきたので、錦織はなかなか的を絞れなかった様子。
さらにセカンドセットの最後のサービスゲームではスピードを上げた凄いサーブを入れてきて、きっちりと勝ち切る作業をこなしました。

まったく隙がない。

そして痛かったのが、ネットプレーであまり点が取れなかったことです。
最初のS&Vはすごいリターンが来てボレーをアウトしてしまいました。
その後も2,3本、パスを抜かれたように思います。マチューは錦織が前に来ても決してあわててなかった。
これは前日までのプレーを見てデータをインプットしていた可能性があります。

意表を突くことによってS&Vのポイントの確率を高めるのが錦織の戦略ですが、2ndセットでブレイクされた4-4からのサービスゲームではおそらく腕の痛みから、短期決戦に持ち込もうという意図で読まれてもS&Vをやり続けてしまいました。

サーブにも腕の痛みの影響が出て威力が落ちていましたので、これはマチューのリターンの餌食になってしまいました。
(うーん、残念)

しかし錦織のドロップショットはハッキリ言って、凄いです。
何がすごいって

(1)片手でグリップを変えるテクニック
(2)直前まで打ちこむ態勢でいながらドロップが打てる
(3)相手を見てからコースを決めることができる
(4)ベースラインより後ろからでも決まる

(1)はテイクバックして、左手がラケットから離れてから右手の中でクルっと面を変えるテクニックですが、

そんなことしたら普通、面の向きは微妙にずれる。
すごい面感覚としか言いようがない。

(2)はどの選手もそうしてはいますが、錦織の場合はボールの呼び込み方がハンパじゃない。
だから決まる。

(3)で今回出たのは、バックでクロスへのアプローチをする態勢になったところで、相手がバック側に走ったのを見てからストレート(逆クロス気味)のドロップへ変更。
ガンバ大阪・遠藤保仁の「コロコロPK」に通ずるものがある。

(4)深い球が来た。一歩下がってフォアの強打・・・と思ったらドロップショット。
常識としてはドロップショットはコート内に入って打てる時に出すことが多い。
相手は「打ってくる」と思うし、ネットからの距離が短くやりやすい。そして決まりやすい。
錦織が今回やったように、ベースライン後ろからドロップショットを繰り出すときは絶対に浮いてはいけない。
あの位置からだと、いくらネット際ギリギリに落ちたとしても、フワッとした球だと必ず追いつかれてしまう。

錦織はベースラインから、低空飛行で、ネット際ギリギリにドロップショットを打った。まるでリラックスした練習のように。

これを天才と言わずして何というのか。

これからも強い相手と対戦して負けることも沢山あるだろうが、フォアハンド含めてこれだけの武器を持っている錦織圭、強豪に勝てる要素を十分持っている。

マチューを褒める記事を書くつもりが最後は錦織を褒める記事になっちゃったwww

11 件のコメント

  • 団長さん。さすがに深い解説ですね。
    コロコロPKには笑いました。
    錦鯉なので圭君褒めてしまうの分かりますよー。ええんです。
    丸山さんの名前で思い出したのですが、ベルディヒ戦でバックボレーが決まった瞬間に、「うますぎるっ」って言ってましたね。いつも大絶賛なのですが、思わず笑ってしまいました。
    誰が見ても「すごい」って思ってしまう圭君ってほんとにすごいです。

    少し前までは、海外の試合に日本人がストレートインなんて考えられなかったのに、今ではすごい選手達と同じ試合に出て互角に戦っているなんて!試合を見てる間は、ただただ見る事に集中してるのですが、見終わった後で「いやぁ ホントにすごいですねぇ」と丸山さんのような独り言を言いながら、改めてすごさを実感します。
    何回も見てる試合なのに、いつも同じプレーで驚き、巻き戻してはもう一度見直してしまいます。
    錦鯉ならしょうがないですよね。

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  • 今大会ドロップが決まりまくってましたね。
    GAORAの二カ国後放送の現地解説聞くと「ハハハハハ」って・笑
    ナダル戦のドロップも笑われてましたね。

    ベースラインからのドロップは、相手のポジショニングが下がった瞬間、確実に決めてますよね。
    先に強打を打って相手を下がらせて「よし下がったな」って感じで
    余裕に決めるなんて、惚れ惚れします。

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  • だんちょ!さすがです!
    まさかここまで完璧な考察をしてくださるとゎ。。笑

    たしかに錦織のドロップショットは天才的ですよね。

    それもかなり決定率が高い!
    (普通決まるよりミスする確立の方が大きいきがしますし)汗
    これはフォアハンドに勝るとも劣らない代物ですよ!

    あのマチューにあそこまでドロップショットを決められることの出来る圭は本当ーにすごい!^

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  • ヤスさんの妙技「コロコロPK」を例えにつかうとは(笑)
    あの絶妙ドロップを「コロコロドッロプ」とでも命名しますか?
    ほんとに冷静な状況判断と打てる技術が素晴らしいですね。
    しかも腕が痛かったのに、数々のスーパーショットも見せてくれました。
    今シーズン、益々楽しみになりました!

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  • いやー、私も同感です。
    あの、ドロップショットをしたとき「なんじゃー!!!」って言ってしまった。グリップを片手で変えているところまではわからなかったですよ。

    次の試合ではどんなことをしてくれるのやら、ついつい楽しみにしてしまいます。

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  • 明日のOOP出ましたね。
    センターコート3試合目。

    「錦織劇場」楽しみです。

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  • だんちょ、今回は負けても伝わってくるものが
    あったということですね^^
    それにしても腕と膝、心配です。
    腰は?腹筋は?
    どうか大事にいたりませんように(-人-)

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  • 初めて錦織選手の試合を見たとき、
    自由自在に相手の意表をつくところにボールを落とすことに釘づけになり
    発想がテレビゲーム(?)世代だよなぁ…なんて思っておりましたが、
    コロコロPKにせよ、ドロップショットにせよ、
    優れた動体視力(?)や反射力や…その他諸々のフィジカル能力や才能が
    伴わないとできないことですよね〜
    団長さんの解説で頭が整理された感じです

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  • maruさん
    そうですね

    第1試合が現地時間午前11時からスタート。
    時差は4時間ですので日本では午前7時です。
    そして錦織選手は第3試合なので
    前の2試合がどうなるかによりますが
    10時~チェックしておくといいかと思います。

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  • 連投すいません:
    オークランドに向けての錦織選手のコメントです。
    「ドローは厳しいが、今週はウオームアップというか、メルボルン(全豪オープン)に備えるための調整なので、無理をせずにやっていきたい」とのことです。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。