弱者でもデュースに持ち込めばチャンスあり(テニスの物理:数学編)

大好評(笑)の「テニスの物理」シリーズです(笑)(笑)(笑)。物理を記述するのは数学ですので、数学もまあ物理の一部を構成すると考えてよいでしょう(そうすることにします!)。

そこで本日は、数字のマジックというか、意外な事実をお教えします。

A選手vsB選手の対戦を想定します。A選手はB選手より実力があり、ポイントを取る確率をp=60%とします。

するとB選手がポイントを取る確率はq=40%となります。ここまでは問題ありませんね。

このような場合、「テニスは波乱の起こりにくいスポーツである」という記事で紹介したとおり、A選手が試合に勝利する確率は非常に高くなります。

計算の過程は当該記事を見ていただくとして、結果だけ再掲しますと、A選手が勝つ確率は、

1セットマッチ 96.2%
3セットマッチ 99.7%
5セットマッチ 99.96%

となります。フェデラーすら到達できない勝率です。

つまり、60%のポイントが取れるくらいの実力差というものは、「絶望的に大きい」ということが分かります。

しかし、いったんデュースに持ち込むことができれば、弱者(例では選手B)にもチャンスが生まれます。

というのも、いったんデュースに持ち込みさえできれば、デュースアゲインになる確率は50%近くになるからです。

上の例で計算してみましょう。

デュースからデュースアゲインになる確率は

(1) 選手A、選手Bの順でポイントを取る場合:確率 0.6×0.4=0.24
(2) 選手B 、選手Aの順でポイントを取る場合:確率 0.4×0.6=0.24

(1)(2)の合計:0.48=48%

となります。

これは、0-0からデュースになる確率27.7%(計算過程は省略)と比べると、かなり大きい値です。

なんとか粘ってデュースを繰り返すうちに、試合の雰囲気が変わってA選手のポイント確率p=60%に変化が生じ、55%とか50%になることもあるかもしれません。

これが本記事の主張。これを狙います。相手がそうならない強者ならあきらめてwww

そもそもデュースになる確率が27.7%なのできついことはきついのですが、実力差がある場合はとにかくスコアを離されないように、デュースに持ち込めるように粘ることが大事です。
(「どうやって?」と言われても本記事の範囲から外れるので今日は勘弁www)

「粘りが大事」というのは一般的にもよく言われることですが、数字の面からも裏付けられましたね。

ちなみに、粘った結果でも相手のpを下げることができないとしても、デュースに持ち込めば、「そこから」ゲームを取れる確率は30.6%で(これも計算過程は省略)、これも0-0からゲームが取れる確率全体の26.4%よりも大きいので、まずは「デュースに持ち込め!」を合言葉に粘りましょう!

2 件のコメント

  • グランドスラム決勝などの大勝負もデュースアゲン を繰り返して、ゲームを取った方に流れが変わるなんてことが多々ありますもんね。納得。
    素人の場合はゲーム序盤、格下は緊張感を持って格上はなめてかかることもあるでしょうから。さらにデュースに持ち込まれた焦りなんかも作用して面白くなりそうです。
    デュースに持ち込め!!

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  • はじめまして

    私もいくつかのテニスブログを見てきましたが
    楽しい記事や参考、勉強になる記事も多くて
    良いブログですね。

    今後ともちょこちょこと訪れようと思いますので
    これかも頑張って下さい。

    後、錦織がフェデラーとグランドスラムで戦う場面を
    見てみたいですね、フェデラーは年々実力が落ちていく年齢だけに
    できれば来年中に見れればいいなとか思っています。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。