体力の不安が的中するも、驚異の粘りで復帰2戦目にしてトップ10選手からセット取得(2021ATPカップ vs. シュワルツマン レビュー)

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2021 ATP cup
Japan vs. Argentine
Diego Schwartzman def. Kei Nishikori, 6-1,6-7(4),6-0

メドベージェフ戦の出来の良さから今回への期待が大きく膨らんでいましたが、そんなに甘くないということが分かりました。

とは言え、「故障明け、2周間隔離明け」の状態としては今日の方が通常だと思います。
メドベージェフ戦では大丈夫でしたが、体力の低下から回復が遅れたのでしょう。途中から明らかに動きが悪くなってしまいました。

それでもこの状態で、世界9位のシュワルツマンからセットを取ってしまうというのが錦織圭という選手なのでして、あの場面は燃えましたねえ。
1stセットの「やること全てうまく行かない」から2ndセットであそこまで戻してくるのは予想・・・・はい、できていましたよね皆さんも。
「錦織圭によくある風景」の一つで、とにかく修正能力、持ち駒をなんとか使ってなんとかする能力、これは超一流です。

ファイナルセットのガス切れは仕方ないし、想定内です。
それほどまでに「2週間ホテル隔離」の影響は大きいのです。
そもそも2週間、健康なのに部屋から1歩も出ないという経験をしたことがある人はそんなにはいないでしょう。

全豪のドロー抽選が行われ、1回戦の対戦相手がカレーニョブスタに決まりました。2年前の4回戦、5時間超えの劇的な勝利は記憶に新しい。
メドベージェフ戦があの良い出来で、今回のシュワルツマン戦が同様の出来だったとしたら全豪に対しても期待を表明しようと考えていましたが、昨日の試合を見る限り中一日で5セットに耐えうる体力の回復・増強は難しいように思います。無理しすぎての故障の心配をするレベルです。

ただ、「過去2回(2018年、2020年)の復帰時より良い」という評価は不変です。
2試合とも見どころちゃんと作ってますからね。
いきなりメドベージェフとシュワルツマンとというのも、過去2回と比較して段違いに厳しい対戦相手でした。

一つ気がかりなのはサーブの速度です。
フォームは良い方向に改善されていると思いますし、プレースメントもまずまず良いと思うのですが、速度が出ていません。

禮さんのツイートより。通常より5〜10km/h遅くなっています。
昨年も同様のスピードでした。


まあ、5〜10km/hなので痛くて打てないっていうレベルではないと思うのですが、これは気がかりです。
肩が万全でないのか、再発を恐れて思い切って打っていないのか、もしくは確率を高めたくて速度を落としているのか。
要因はまったく分からないのですが、もし確率を高める目的で速度を落としているのだとしたら、それはあまり効果がないことが過去の統計より明らかになっています。
(ハモ理論。錦織の1stサーブ確率と試合の勝利の相関はほとんどない。)

少々確率を落としてでも、「入ったら決まるか、ラリーを確実に有利に進めることができる威力のサーブ」を打つほうがトータルでは勝利に寄与するはずです。
(体力温存にも繋がります)

ただ、サーブアンドボレーをする上では165km/hくらいでコーナーを突いたサーブというのもアリです。
それもまぜつつ、190km/hくらいのサーブも混ぜて的を絞らせないというコンビネーションがあると良いなと思います。
それもこれも、もう少し実戦経験を積んで感覚を取り戻すことが先決ですが。

この2試合で勝利は得ることはできませんでしたが、「トップ10選手からセットを奪った」ということは本人にとっても手応えとなったことでしょう。
体力さえ戻ればある程度やれるという自信があると思います。

ただその体力が本当に心配で、冒頭にも書いたように中一日でカレーニョブスタと5セットマッチというのは本当に厳しい。
厳しいですがやるしかないですし、きっとまた見せ場を作ってくれると思いますので応援し続けたいと思います。

14 件のコメント

  • 久しぶり!かと思いましたが、メドベ戦のレビューも書いてらしたんですね。まとめて読ませて頂きました。
    錦織の動きに喜んだり心配したりの日々がまたやって来て嬉しいです。これからもずっと続きますように。(できれば喜ぶ割合が増えてほしいですが…。)
    まずは全豪オープン。明日の初戦も全力応援したいと思います。

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  • デルレイビーチを回避しましたし、オーストラリア入り後に、そこからサーブも含めて仕上げる予定ではなかったかと思います。
    厳重隔離が決まった後に、フォーラムの何処かに「せめてフットワーク練習と壁打ちでサーブ練習が出来れば・・・」みたいにコメントしましたが、やはり肩を作るのに2週間のブランクは厳しい・・・
    ましてや、怪我で長らく休ませていましたし・・・
    ATP CUPは厳しい結果となりましたが、体力、試合勘不足で長くは保たなかったものの、リズムが合えばトップ10と充分に戦えることも示せれていました。
    試合での体力、試合勘を取り戻すのに少し時間がかかりそうですが、明るい兆しはあったかと思います_(._.)_

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  • 団長さん、レビューをありがとうございます。
    錦織君の超一流の修正能力を私達はこの試合でも見せつけられましたね、本当に!

    サーブについても丁寧に書いてくださってありがたいです。今のサーブはまだ元に戻したばかりだし、団長さんのおっしゃっるように”もう少し実戦経験を積んで感覚を取り戻すことが先決”ですよね。下団さんが”肩を作るのに2週間のブランクは厳しい・・・ましてや、怪我で長らく休ませていましたし・・・”とおっしゃっるのも納得できます。まだ復帰して2戦、もう少し長い目でサーブについても見ていく必要があるってことですね?
    団長さんがおっしゃっているように、今後、緩めのサーブと威力のあるサーブを織り交ぜて、サーブアンドボレーも使いつつ、的を絞らせないという形ができるといいなあ!楽しみに待ちたいと思います。

    心配なのは、全豪までの日にちが少なく、リカバリーが十分にできない、ってことですね。しかも相手はカレニョブスタだし。フルセットマッチにもつれて怪我再発ってことだけは極力避けてほしいのですが…。最悪の場合はリタイアもありと覚悟しておこうと思っています。(応援の意気を削いで盛り下げてしまったでしょうか?申し訳ありません…)
    豪州シリーズはウォーミングアップ、練習試合と私は思っていて、対戦相手が決まってからはそれを言っちゃ失礼だから控えてましたが、心の中ではそう思い続けてます。これは投げやりに無気力に戦うという意味ではなく、復帰して間もなくの時期は丁寧に段階を踏んで調子を上げていってほしいという願いです。でも、コロナのせいもあってそう理想的にはいかない。強敵相手の試合の連続ですが、くれぐれも無茶しないように気をつけて戦ってほしい、そしてできれば一つ一つの試合から何か得るものがあってほしいと祈ってます。(欲張り過ぎ)

    “「過去2回(2018年、2020年)の復帰時より良い」という評価は不変”、と団長さんからお墨付きをいただいたので、この言葉に力を得て、下団さん曰く”明るい兆し” にも励まされて、これからも熱く応援を続けたいと思います。

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  • ウクレリアン さん、サーブ&ボレーを多用していくなら、スピードを落して、プレースメントと回転を重視していくのが良いです。速いフラット気味のサービスですと、当然のことリターンが速く返ってきて、ネットに詰める時間が短くなってしまうからです。
    しっかりとした回転をかけるにも肩やサービスに係る筋肉を作るのは重要かと思います。
    ラオニッチ選手等のビッグサーバーですと、サービスの威力で充分に優位な状況でボレーに入れますが、錦織選手には難しいでしょう。
    錦織選手の本来の持ち味のグランドストローク戦にネットプレーを上手く絡めていきたいですねぇ~(`・ω・´)ゞ

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  • コロナ中断明けの錦織陣営の復帰プランは「試合勘を取り戻す為に1試合でも多く」というコンセプトの元で可能な限り大会をエントリーしまくっていました。(結局は肩痛で途中で頓挫しましたが・・・)

    そう考えるとこの1日おきの3試合しかも強豪ばかりのマッチメイクは今後の事を考えると「身体的に無事に終われば」決して悪くはないと思っていますし、前から「豪州シリーズはある程度割り切っている」と書かせてもらっている立場からするとここで一喜一憂はあまりないかなぁと。

    サーブスピードに関してはどうなんでしょうか。疲れを見せはじめていたタイブレ時でも180㎞超え(184㎞だったかな?)は有りましたし、試合勘を取り戻すにつれスピードも安定するのかなとも思っていますが果たして・・・

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  • 下団さん、詳しく説明してくださってありがとうございます。
    それで団長さんも165km/hくらいのコーナーを突くサーブで、S&Vをやるといいとおっしゃってるんですね。ビッグサーバーのS&Vとは全然違うわけですね。
    サーブ一つにも選手によって様々な戦略があるというのが興味深いです。

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  • 久しぶりに試合が見られてうれしかったです‼️
    全然練習できなかったので、この試合がいわば全豪に向けてのウォーミングアップという位置づけだったでしょうか?
    今上り調子のシュワルツマン相手によく頑張ったと思います👏
    「体力さえ戻ればある程度やれる」に同意ですよ〜

    でもやっぱり5セットやるのに体力が不安ですね。
    早く回復してくれるといいんですけど。
    あとサーブのスピードも心配です。
    肩大丈夫かな。。。と諸々の不安はありますが、
    全豪の相手は因縁のカレーニョブスタ。
    一生懸命応援します👊

    久しぶりの観戦でしたが、コメント聞くのに体力使いました😅
    全豪は願わくば別の方を🙏

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  • 団長のレビューを読むと、脳みそが斜めってモヤがかかったようなあじゃこの頭も、クリアに整理されるような気がします⤴️😊

    今日はNHK『麒麟〜』が最終回。BSでは間も無くです。

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  • ゲーム内容は良くも悪くも彼らしい面がたくさん見られだと思います。あのポイントが取れていたら試合展開は全く違っていただろう、という場面が数多くあったのではないでしょうか? まぁそれはシュワルツマンにも言えることでしょうが…
    自分は復帰後の2試合を見て、錦織選手が12シードを取れなくて、なかなかブレイクスルー出来なかった時の状態に似ているなぁ、と感じています。本当に、あとほんのワンピース揃えばその壁を突き破れる直前だと思います。
    しかし今は彼のフィジカルを良好に保つことが最優先。
    ミルニーコーチというショートポイントを取る術を身に付けるためにチーム入りしたコーチもいる今シーズンは大いに期待できると思っています。
    もちろん勝ち上がることに越した事はありませんが、全豪に照準を合わせるのではなく、12月にすげえ1年だったなあ、と、振り返ることのできる継続的な活躍を望んでいます。

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  • 団長さん、サーブのことも含めたレビュー記事、ありがとうございました😊
    団長さんと、コメントされているみなさんの言葉も合わせて胸にストンと収まる
    感じでした。
    復帰してまだ2試合、ということを肝に銘じます。
    Kazu@JPNさんの最後の言葉!それです!
    「全豪に照準を合わせるのではなく、12月にすげえ1年だったなあと振り返ることの
    できる継続的な活躍を望んでいる」
    私もそれ!それがいいです!このフレーズを読むだけでわくわくしてくる😍
    2021年がそんな年になりますように。応援し続けるぞー💪

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  • シュワルツマン戦での3セット目の1ゲーム目の最初の2ポイントは凄かったですね
    思わず戻ってきたかと思ってしまいましたが一気にしぼみましたね
    錦織圭にはよくあることでいきなりの⛽⤵️
    彼を応援する身にとっては仕方のないこと
    ストロークに関しては心配してませんがサーブがね
    肩を壊してなければいいんですが本人は痛みはないと言ってるんでしょう?
    痛くても本当のところわからんですよね
    庇って打ってるのが気になりますが仕方ないか

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  • 団長、引用ありがとうございます。

    錦織選手の復活のための条件の一つは、ファーストサーブの向上にあるのではないか、と昨秋からみています。2020年は公式戦2勝4敗で、トップ20との対戦はないのでスタッツは高めに出るはずですが、2020年のスタッツを以前と比較してみると(図はツィートをご覧ください)、

    【サービスゲーム】
    ⚫️ サーブ速度は、2020年秋の復帰後、ファーストもセカンドも2019年以前に比較して、−5〜10km/h遅くなっている。今年最初の2試合も速度は昨年と同じく遅い
    ⚫️ ファーストサーブポイント勝率が、キャリア最低の63%
    ⚪️ セカンドサーブポイント勝率は、好調時くらい良く54%
    ⚪️ ファーストサーブイン率は、キャリア最高の65%(サーブは遅いが入っている、がイン率は試合の勝敗と全く関係がない)
    ⚫️ 1試合あたりのエースは平均3個から1個に減少(ATPカップで最速185−188km/h出たが、エースは2試合で1本のみ)
    ⚪️ 1試合あたりのダブルフォールトは平均3個から2個に減少

    【リターンゲーム】
    ⚫️ ファーストサーブリターンポイント勝率が低く28%
    ⚪️ セカンドサーブリターンポイント勝率が、キャリア最高の55%

    【アンダープレッシャー】
    ⚫️ ブレークポイントのセーブ率もコンバージョン率も低かった

    【総合成績】
    ⚫️ 結果として、サービスゲームもリターンゲームもキャリア最低レベル並みにゲーム勝率が低かった(復帰途中なので致し方なし)

    【考察】

    ATPカップ2試合をみても、状況は2020年と同じで、苦戦の一番の原因はファーストサーブにあるとみています。右肘や右肩の故障、フォーム改造で強打してないのかもしれませんが、サーブ速度が遅くフリーポイントが取れません。サーブの平均速度が遅い理由はスライスの多用で、特にデュースで鼻血ワイドをよく使いますが、読まれて強烈なクロスリターンが返ってくることが最近多いです。時短のためサーブ&ボレーも試みていますが、全体ではまだファーストサーブのポイント勝率はとても低いです。

    セカンドサーブのポイント勝率は良く、つまり試合でみたように、フォアもバックも好調(メドヴェデフ戦)です。ですが、ATPプロの場合、セカンドサーブポイント勝率は50±5%程度であり(ポイント勝率が50%なら5割の確率でブレークされます)、サービスゲームの勝負を決めるのは如何にファーストサーブでポイントを稼ぐかです。ファーストサーブで70〜75%は取れないと必然的にブレークされる可能性が高くなります。

    リターンゲームも、ファーストサーブのリターンが悪く、まだ試合に慣れてないのかもしれません。セカンドサーブのリターンは良いです。

    ファーストサーブが悪いと先にブレークされ、リターンゲームで集中してブレークバックするが、試合時間は長くなり体力消耗するという悪循環になります。サーブ&ボレーを含め早いアタックで時短を図りたいと錦織選手は言っていますが、3球目攻撃のためにもファーストサーブの威力と精度が現在の一番の課題ではないかと思います。

    勿論サーブは試合を決める要因の一つに過ぎず、他にラリー、ショットの選択、ネットプレー等沢山の要素がありますが、全豪オープン1回戦の対カレーニョ・ブスタ戦、ファーストサーブの平均速度が(出来れば)175km/h出ているか、ファーストサーブポイント勝率が70%以上あるか(80%あれば一般に楽勝です)、注目してみたいと思います。シュワルツマン戦は、メドヴェデフ戦からの疲労が取れておらず、試合の最初から体が重くフットワークがないようにみえました。中1日で体力がどこまで回復しているかだと思いますが、錦織選手らしいプレーを期待したいと思います。

    長々とスミマセン。

      引用  返信

  • 団長さん、レビュー記事ありがとうございます。

    そんな甘くはなかったですね。でも全然ガッカリなんかしていません。
    絶不調でも全集中で勝つ術を模索して2セット目をもぎ取ったところは錦織選手の意地かな、感動しました。

    私もサーブのことが気になっていたので、解説を興味深く読ませてもらいました。
    強く打たないのか打てないのか謎が残り気になりますが、肩が痛そうなそぶりなは無かったような、テーピングとかも見えなかったような。  何ともないことを祈ります。
    フォームの評価も知りたかったので、いい方向に改善されていると良い評価で良かった。

      引用  返信

  • 今年からネットで “WOWOWテニスワールド” に繋ぐと選手のプラクティスコートの様子を見る👀事が出来ます。
    西岡選手と内山選手の練習は終わったようですが、先ほど、太郎選手がカレーニョブスタ選手と練習したようです。(スペイン繋がりですね♪)
    どんな様子だったのかなぁ?太郎ちゃん圭さんに情報プリーズです。

    もちろん、色々な選手の様子が映りますが、WOWOWの配信ですから基本的に日本人選手の練習が見られると思うので、錦織選手もきっと観られるに違いない。画面付けて待機してます。

    ただ今、ナダル選手に切り替わりました。

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。