1回戦詳細レビュー(2008USオープン)

【告知】錦織圭 vs R. カラヌーシッチ戦の情報は前の記事をご覧ください。

US Open 2008
男子シングルス1回戦
錦織圭 def. J. Monaco, 6-2,6-2,5-7,6-2


白にしこり(写真提供:としさん)

第1セットは錦織ペースで始まりました。モナコは北京オリンピックが肺炎明けで、7kgも体重が減ったとの情報がありました。
確かに本調子な感じではありませんでしたが、ストローク戦は錦織がきっちりとしのぐところはしのぎ、攻めるところは攻めてコントロールしていました。
最終的にはモナコにミスが出ることが多かったですが、モナコのストロークが良くないという感じでもありませんでした。

あっという間に4-0まで行き、スロースターターの錦織にとっては理想的な展開となりました。
その後、モナコも徐々に調子を取り戻しましたが、きっちりとキープして6-2で1セット目を取りました。

第2セットもすぐに2ブレイクして3-0とリード。あまりの楽勝ムードに、実況解説の河路・坂本コンビもモナコのことをモナカと呼ぶ始末(注:そう聞こえたのは事実ですが、さすがに空耳でしょう。)

しかし続く第4ゲーム、錦織のサーブは0-40の大ピンチ。

1本返して15-40。ここでセカンドサーブからの「例の」無謀とも思えるサーブアンドボレー!

デルレイビーチのブレイク戦でも見せたあの戦法です。

正直、心臓が止まるかと思いましたがこのポイントを取り、次のポイントは明らかに立ち位置を外に変えてのバック狙いのスピンサーブ。

立ち位置からコースはバレバレだったと思いますが、いろいろと仕掛けることによってこのゲームを挽回して取ってしまいました。

このあたり、非凡なゲームセンスを感じます。

しかし、あの「無謀サーブアンドボレー」にはやっぱり100%は賛成できません・・・。

その後も相手の体勢を見てからネットに出てのボレーなどが鮮やかに決まり、第2セットも取りました。ここまでわずか1時間強。

歴史的勝利まであと1セットとなりながら、実況掲示板は意外に冷静な感じです。
劣勢のほうが燃えるんでしょうか?


白にしこり2(写真提供:としさん)

第3セットの第1ゲーム、例のジャッジでもめたポイントを境に流れが変わったように見えました。

第2ゲームは簡単にブレイクされ、この試合初めてゲームカウントでリードを奪われます。
第3ゲームもキープされて0-3。わずか1ブレイク差とはいえ、いやな感じです。

1-3で迎えた第5ゲームをブレイクバックし、次もキープして3-3に追いついたときはホッとしましたが、どうも錦織の動きに切れがなくなってきたように思えました。

逆にモナコの方は徐々に調子を上げ、ポジションが前2セットより前になってきました。
錦織は次第に防戦一方となり、4-5で迎えたサービスゲームに2本のブレイクポイントがありました。

なんとかしのいだものの、5-6で迎えたサービスゲームをブレイクされ、第3セットを落とします。

このあたり、シード選手の意地というか、さすが14位まで行った選手というか、モナコの底力を感じました。

そして第2セットまでは完全な楽勝ムードだったのにも関わらず、この時点ですでに嫌な雰囲気に包まれていました。錦織のフィジカルが落ち気味でモナコが上がり調子。
それに何より、錦織のファーストサービスが入らなくなってきていたのが気がかりでした。

リードはしているが、次のセットでしとめないと、ヤバい。そんな雰囲気でした。


第3セットからは緑にしこり。
モナコとウェアが入れ替わって紛らわしかった。
(写真提供:としさん)

しかし第4セットの錦織は素晴らしかった。体はきつかったでしょうがボールに食らい付く。
迎えたブレイクポイントで畳み掛けるモナコの攻撃をしのぎまくり、最後はラインギリギリのショットでチャンスをものにしました。

しかし錦織の疲労は明らかです。続く第2ゲームも長いラリーをさせられます。
1stサーブも3本に1本くらいしか入らない状況になってきました。

しかしそのような厳しい状況ながら、デュースでバックのダウンザラインがギリギリに決まります。

しかし次のポイントを落とす。デュースアゲイン。

今度はあまり使っていないワイドへのスライスサーブが決まります。
デルレイのころから要所でのこのサーブは効果的です。

しかしまた次のポイントを落とす。さらに次のポイントも落としてピンチ。

もう体力的にもあまり余裕がない。ここは取っておかないと・・・。

ここから脅威の粘り。相手リターンミスにも助けられて2-0にします。

勝利がちらつきます。

第3ゲームはモナコがあっさりキープ。まだ死んでません。

第4ゲーム、またピンチを迎えます。ダブルフォルトでブレイクポイント。しかしブレイクポイントではきっちりプレイする錦織。粘り腰で3-1とします。

この前半のがんばりは本当に大きく、モナコにダメージを与えるのに十分でした。
このあたりからモナコにも疲れが見え始めます。

キープされて迎えた3-2での第6ゲーム。錦織は調子よく40-0とします。粘りで流れを引き寄せ、勝利まであと1歩です。

ここでアクシデントが起きました!

両足を引きずり、ベンチに座る錦織。インジャリータイムを取ります。

ウィンブルドンの悪夢が蘇ります。今回はどうやら足のよう。

肉離れか?痙攣か?太ももを押さえているぞ!また棄権なのか・・・?
痙攣ならなんとかなるかも?腰はどうだ?

など掲示板も一時騒然となります。

トレーナーが到着するまでかなり時間がかかって、治療が始まりました。
どうやら両足の痙攣のようです。

「頼む、無事であってくれ・・・」

祈るような気持ちで待った3分間、その間モナコもベンチに座ったまま、ふくらはぎをマッサージしていました。

この土壇場で、相手も足に来ているのに棄権はもったいない。でも無理はしてほしくないし・・・。

そう思っているとプレーが再開。掲示板では

「おじいさん!見て!圭が立った!圭が立った!」

、(`Д´)ノ、(`Д´ )_ハイジか!!

再開するやいなや炸裂する錦織のフォアハンド・エース!!

工エエェェ(´ロ`ノ)ノェェエエ工 足つったのでは・・・

痙攣の影響を感じさせず攻めまくる錦織。後に

「相手が入れに来ているのが分かったので、逆にチャンスだと思った」

と語ったそうです。なんという勝負師・・・。

終わってみれば、痙攣後に1ゲームも落とさずセットカウント3-1で勝利。

病み上がりとは言え32位の選手にこの勝ち方。どうですか皆さん。

万全じゃないのは錦織も同じですよ。「腹筋はだいぶ良くなった」とか言ってるし・・・(まだ完治じゃない?)

普通はこのパターンだと負けると思います。

18歳、経験不足、GS未勝利。
相手はしぶといクレーコーターでシード選手。

内容的にはミスもあり、サーブも入りませんでしたがそれでも勝ちきるところが只者ではない。

なんというか勝負どころをわきまえているというか、チャンスを見逃さないというか、たくましさを感じます。

課題は散々言われているように、フィジカルでありサーブでしょう。

フィジカルについてはスタミナを付けるための特別な練習をするよりは、筋力の余裕が出てくれば(少ない力で同等の球が打てれば)解消しそうな気がします。

すでに敏捷性、ボールの威力と精度は相当なものですから、あとはそれが持続できるかどうかですね。

サーブは、とにかくうまくまとめる術を身につけてほしいですね。試合の中での波が少し大きいでしょうか。

190km~200kmのサーブを結構打っていましたが確率が悪く、今の段階ではプレイスメント重視でもいいのでは、と思いました。

サイドラインギリギリを狙うのが難しい場合は、深さを狙うという方法もあると思います。

ポイントを取るパターンとしては、ワイドに打つサーブからの方が多彩だと思いました。
ワイドに出しておいてセンターに返ってきたリターンを早いタイミングでオープンに流すパターンは効果抜群でした。

ボレーのタッチは以前からいいと思っていましたが、今回特にバックハンドのボレーの切れ味が抜群でした。

第3セット以降、ネットに出る回数が減ったのが残念でした。

2回戦は、モナコと比べたら楽な試合だと思われていますが、100位はなめてはいけないと思いますし、最近の調子も悪くなさそうなのでここも全力で。

できればストレートで勝ち、万全な状態でフェレールの胸を借りてほしいと思います。

緑にしこり2。サーブで大きくステップイン。

写真を送ってくださったとしさん、本当にありがとうございました!!

7 件のコメント

  • 団長のこういうレビューを待ってました!!!
    どこかで「制限や制約のあるところに工夫がうまれ、独自性がうまれる」と読んだことがあります。
    サーブとフィジカルの強化の一方で、高い技術、発想力をさらに高めて、誰も真似のできない錦織ワールドを追求して欲しい。
    生まれ持ったものもありますしね。
    としさん、写真をありがとうございました!

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  • 実況掲示板でインジュリータイムとった時

    「またかよ」

    って発言したの誰でしたっけ?

    本人は頑張ってるのに愛情無い発言でガッカリしました。

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  • TRKさんの気持ちも分かりますが、錦織選手のリタイアが多く、悪く言えば「ファンを裏切ってきた」のは事実だから

    「またかよ…」

    と、本気で応援してるからこそ、愛情があるからこそ言いたくなる気持ちもすごくわかります。錦織選手の勝敗で私生活のテンションまで左右されちゃうんですよね~…。

    このブログだったと思いますが「錦織選手の才能に体がついてきていない」ことは、どうやら事実っぽいですねー。
    しかし、それが今後の彼の活躍に期待が持てる根拠になるし、実際にUSオープンのスタッツからも、錦織選手が世界のトップ選手に引けを取らないことは証明されてるように思えますね。
    2回戦も3回戦も勝ち上がり、四大大会常連に早くなって欲しいですね。

    ナダルと準決勝であたらないかな…。まぢ見たい。

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  • オリンピック出場は
    錦織選手に
    モチベーション的に
    良い影響を与えたみたいですね。

    良かったです。

    今日は何にしこりで来るのかなぁ。

      引用  返信

  • TRK様

    「またかよ・・・」と発言したのは私ですが、文字だけの掲示板で、この発言から愛情のなさを読み取ることができるんでしょうか?

    「またかよ・・・」で手の平を上に、手を横にして首を傾げたら愛情のない表現かもしれませんが、「またかよ・・・」で頭を抱えてもそうだと言えるでしょうか?

      引用  返信

  • Nosaさん

    試合が終わってちょっとずつ書きためてきたものですが、
    毎回この量のレビューはきついですね・・・。

    マックウィンさん

    カラムーチョですから赤にしこりでくるのではw

    osconさん

    あなたもそう聞こえましたかw!

    tomさん

    やさしいフォローありがとうございます。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。