スタッツから分析した錦織-シュットラー戦

本日は北京オリンピックの公式スタッツ(試合の統計データ)を元に、錦織圭 vs R.シュットラーの試合を分析してみます。

数字は左からシュットラー、錦織の順です。

(1)1stサーブの確率:56% vs 55%

2人とも良くないです。シュットラーのセカンドセットは50%と3セットの中で最も低く、これが錦織の0-5からの怒涛の5ゲーム連取に貢献したと思われます。

錦織は1stセットが43%と非常に低い数字。第3セットは62%と持ち直しましたが、シュットラーのサーブも63%入っていました。

(2)サービスエース:4本 vs 5本

どちらもガンガンサービスエースを取るタイプではないので、このくらいで普通だと思います。
錦織は5本のうち3本のエースを第3セットに集めましたが、それでも2ブレイクを許してしまいました。

(3)ダブルフォルト:3本 vs 6本

錦織の場合、ダブルフォルトの数は相手を上回ってしまうことが多い気がします。
またダブルフォルトを連発、という場面はそれほどないように思えますが、大事なところでやってしまうという印象もあります。
しかしサーブは今のところ、映像を見るたびに成長が見えるのでこれから良くなってくると思われます。
今回、6本のうち4本は第2セットでした。
これが0-5と苦しい展開になった一因なのか??

(4)1stサーブでのポイント獲得率: 74% vs 66%
(5)2ndサーブでのポイント獲得率: 50% vs 40%

どちらもシュットラーを下回り、キープに苦労した様子が伺えます。
特に第3セットは2ndサーブで10ポイントのうち3ポイントを取れなかったのが痛かったと思われます。

(6)ブレイクポイントでのポイント率 38% vs 25%

ブレイクポイントでのパフォーマンスは、ポイント率も重要ですがブレイク数が結局は重要。
何回もブレイクポイントを逃しても、最終的に取ればOKです。

そういう意味ではブレイクポイントでのポイント率よりは、

ブレイク率=ブレイクしたゲーム数/リターンゲーム数

が重要だと思うのですが、いつもスタッツには特に出てきませんね。まあ、割り算すればいいだけですが。

で、今回の錦織は各セット2回ずつブレイクされてしまいました。ちょっと多すぎですね。

その代わりシュットラーのサーブも3回ブレイクしています。

錦織のブレイク力は結構すごいと思います。どの試合でもブレイクは結構しているように思います。
その分、自分のキープにも苦しむことが多く、サーブが好調ならクイーンズ・アルトワ選手権のときのように比較的磐石の態勢で勝利することができます。

今回はどうしたんでしょうかね?腹筋肉離れの影響でサーブはあまり練習できなかったでしょうから、それが利いたのでしょうか。

(7)ネットプレーでのポイント:13 vs 6

シュットラーの方が積極的にネットに出ていたようです。
シュットラーの攻撃が強くて前に出れなかったのか、ディフェンシブにプレーしてしまったのか分かりませんが、この数字は常に逆になるようにしたいですね。

(8)トータルのポイント数: 117 vs 100

結構な差が付きました。終始苦戦していたということがポイント数にも表れています。
試合全体では3ブレイク差ですから、内容が競っていたら6ポイント~10ポイントくらいの差で落ち着くことが多いと思います。
それが17ポイント差ですから、取られるときは比較的あっさり、自分が取るときは粘られたという展開が想像できます。

(9)ウィナーの数: 31 vs 26
(10)凡ミスの数: 62 vs 71

ウィナーの数が少なく、凡ミス(Unforced Error)が多かったのですからやっぱり苦しい試合だったことが分かります。

それにしても凡ミスの数71とは?普段はミスの少ないシュットラーも62ポイントも?

これは北京オリンピックのスコアのつけ方がそうなのだ、ということでしょう。

通常のATPの大会だと、

(1)サービスエース
(2)ダブルフォルト
(3)ウィナー
(4)凡ミス

の4つでスタッツは構成されていると私は認識しています。

つまり、総ポイント数>(1)+(2)+(3)+(4)となるはずです。

つまり凡ミスでないミス(Forced Error=ミスらされたミス)と、ノータッチではないけどナイスサービスで取ったポイントの数は記録に残さないはずです。

しかし今回の北京のスタッツは、

(1)サービスエース(Ace)
(2)サービスウィナー(Service Winner)・・・ノータッチではないサーブポイント
(3)ダブルフォルト
(4)ウィナー
(5)凡ミス

のように分類し、Forced Errorもすべて凡ミスUnforced Errorに含めているようです。

その証拠に錦織/シュットラー戦のスタッツでは、

エース 4+5=9
サービスウィナー 5+4=9
ダブルフォルト 3+6=9
ウィナー 31+26=57
凡ミス 62+71=133

合計 117+100=217

と、ぴったりと合っています。

これが「凡ミスが異常に多い原因」だと思います。

従いまして「錦織は71本もミスしたのか・・・ミスしすぎだな!!」と結論するのは早計です。

本人はインタビューで「いいプレーをした」と言っておりましたのでそういう風に想像しましょう!


(11)フォアハンドウィナー: 17本 vs 21本
(12)バックハンドウィナー: 14本 vs 5本

爆裂フォアは健在だったようで、シュットラーを上回る21本のウィナー。
しかしバックハンドウィナーの数では大きく水をあけられてしまいました。

錦織の5本というのもやや少ない感じがしますし、シュットラーの14本というのも「積極的に打っていったんだな」という想像をすることができます。

特に第3セットのバックウィナーはシュットラー4本に対して錦織が0本。
バックハンドの調子も勝負に左右したのではないかと想像します。

なにやら「想像」という言葉を多用してしまいましたが、スコアのみの観戦だとこうやって想像して楽しむしかないですね。

実は1ゲームごとにスタッツのページをキャプチャしておいたので、もっと詳細な分析もできなくはないのですが、かなり時間がかかるのでやめておきます。

それに怒涛の挽回をしていたときはかなり興奮してしまっていたので、1,2ゲームほどキャプチャするのを忘れてしまったと思いますので、正確な分析ができません(笑)。

3 件のコメント

  • 詳細な分析、ありがとうございます。
    読んだら、また実際の試合が見たくなってしまいました。
    ちょっと忘れてたのに…。
    ということで、
    WOWOWとGAORAに録画放送を期待したいと思います
    (←相変わらず、全然わかっていない人)。

      引用  返信

  • リターンゲームでブレークする率は高い方だと思いますね。
    しかもサーバーが40-0という所から粘って40-40にして
    苦しめたり、リターンゲームの巧さが光ってます。
    あとはサービスキープ率をいかに高めていけるかが課題でしょう。
    だんちょの分析さすがです!

      引用  返信

  • そうそう、さすが団長。素晴らしい分析。
    全米では画像も見れるでしょうからもっと鋭い分析をお願いしますね。予選ドローがなかなか発表されませんね。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。