錦織圭の本戦ダイレクトインの可能性は?

昨日に引き続き、USオープンで本戦からになるか?予選からになるか?についての話題です。

修造さんは全仏のとき、「予選でも別にいい。強ければ勝つのだから」とおっしゃっていましたが、やはり本戦からの方がいいと思います。

(ちなみに修造さんは現役時代、「King of qualifier(予選通過王)」と呼ばれていました。怪我でランキングを大きく落とした翌年、予選からの出場となった11大会のうち10大会で予選通過を果たしたそうです。)

グランドスラムの予選はランキング100位を少し下回る選手から250位くらいの選手128人の間で争われ、3回勝った16人が本戦入りできます。

つまり8人のブロックが16個あります。

シードは上位32人、つまり1ブロック2人に付けられ、1ブロックの上と下に別れて配置されます。

予選からの場合、錦織にはシードが付けられると思います。

ランキング100位以下の選手で争われるとは言え、ランキング100以内の選手が出たとしても通過できるとは断言できないのがグランドスラムの予選です。

簡単にシミュレートしてみます。

予選1回戦 勝率90%
予選2回戦 勝率80%
予選決勝 勝率70%

単純に、こんな確率だと仮定します。この場合、予選を通過できる確率は90%×80%×70%=50.4%

2回に1回は予選通過できないのです。

勝率90%とか80%になる組み合わせは相当な実力差です。それでもこの確率なのですから、いかに予選が厳しいものか分かっていただけると思います。

錦織圭も昨年のUSオープン、今年の全仏オープンと2回、予選に挑戦しながらもいずれも2回戦で敗退していますが、これは確率的にもあり得ることなのです。

しかし逆に言えば、十分な実力(例えば上記のシミュレーションくらいの)さえあれば、挑戦を続けていれば確率的にはいつかは予選を通過できそうなので、それほど神経質になることはないと言えます。

先ほどの修造さんの「実力があれば勝つ」というのは、予選からの出場になってしまった場合に選手が持つべき「正しい心構え」だと解釈するのが良いのではないでしょうか。

また、1回くらいは予選からグランドスラムに出場する経験をしておくのも有意義ですし、サーフェスや会場の雰囲気に慣れることができるというメリットもあります。

しかしもし3回戦、4回戦と勝ち上がったら余計に試合をしている分、体力的には厳しくなるでしょう。

弱気なわけではなく、やっぱり本戦からの方がいいと思います。

錦織圭は現在、「3番OUT」の状態であると昨日お伝えしました。

出所はMen’s Tennis Forumsです。

というか、ここ以外のソース(一次情報)があるはずなんですが、ITFでもATPでも見たことがありません。彼らはどこから情報を仕入れているのでしょうか・・・?ひょっとしてUSオープンに直電とか?

これを見るともともと錦織圭はエントリー締め切り時にランキング109位で6番OUTの状態でしたが、そのごアンチッチ、チェラ、Haaseの3人が欠場したため、3番OUTまで繰り上がっています。

クーベック、リュビチッチ、バグダティスの3人が欠場するという噂(TVで報じられた、とか)があり、この時点で本戦インの期待が膨らみますが、ここで疑問が湧きます。

いつまでにあと3人、欠場者が出ればよいのか?

予選を戦った後では遅すぎるでしょう。予選決勝での敗退ならラッキールーザーで本戦入りできると思いますが、今からそんなことを考えていたら怒られてしまいそうです。

じゃあ予選が始まって、錦織の試合前だったらどうなのか?なんかATPの普通の大会では、予選ドローが発表になってから「この人繰り上がりましたー」てな感じでドローからいなくなったのを見たことがあります。

予選ドロー発表前だったらさすがにOKなはずですが、正確にはどの時点までならOKなのか、軽く検索してみただけでは結局わからなかったので、原典を当たるしかあるまい!とのことで以下の資料を読んでみました。

2008 Official Grand Slam Rule Book

「1人の選手が受け取るワイルドカードの数には制限がない(何回でも貰ってよい)」など初めて知る興味深いルールなどがあって、思わず読みふけってしまいました。

おかげで目的の箇所にたどりつくのに時間がかかってしまいましたが、ありました。エントリー基準が(21ページ以降)。

これによるとどうやら、一旦予選が始まってしまえば、メインドローに空きがでてもそこに入れるのは予選通過者あるいはラッキールーザーだけのようです(29ページの3.Singles Qualifying Competitionのj)。

一方でMain Drawの項目には、

「メインドローが作成され、かつ予選が始まる前にノーシード選手(WC含む)の辞退により空きができた場合は、エントリーリストのランキング上位選手からその場所に入る。予選が始まったあとであればその場所は適格なラッキールーザーによってのみ埋められる。」

とありますが、今回のUSオープンの場合は予選スタートが19日でメインドロー発表が21日ですから、関係ないですね。

結局は

予選が始まる19日までに欠場者が3人出ない限り、予選からの出場

ということになりそうです。

明らかにプレーできない状態でない限り普通はギリギリまで出場の判断を延ばすでしょうから、予選からになると思っておいた方がよさそうですね。

ちなみにワイルドカードをもらえる可能性も低いと思います。少なくとも過去2年、8つあるワイルドカード枠のうち7つはすべてアメリカ人選手の手に渡ってきたと記憶しています。

残り1つはフランステニス協会枠で、USオープンWCをフランス人1人に与える代わりに、全仏のWC枠1つをアメリカ人に渡す約束になっているようです。

・・・しかし、この解釈でよいのか自信がありません。
どなかたご存知の方がいれば、教えてください。

8 件のコメント

  • すごく興味深いことを書いているように思えるのですが、ただいま、頭がまわりません。
    明日、またコメントしなおします。

    欠場者、19日までに3人カモーん!!!!!

    予選を勝ち抜いている間に腹筋痛や腰痛が出ても困りますもんね。

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  • おはようございます!

    私の記憶間違いかもしれませんが、かなり前の(確か)全英で、予選1番シードだったギモスタッブが予選決勝を負けたもののすでに本選入りが決まっていたので「本選に入れるのを知っていたので勝敗は関係なかった」のような発言をした記憶があります。でもそれからルールが変更されたかも知れませんね。間違っていたらごめんなさい!

    本選に直接入れれば体力がかなり温存できますが、どっちに転んでもやるっきゃありません。特に予選では1試合1試合生活がかかっているため皆必死です。スポットライトの当たらない外のコートで観客も多くはいませんが、一人一人の戦う姿を見るだけで感激します。日ごろの努力とハングリー精神、モチベーションを持った選手に勝利の女神が微笑んでくれる幸運さがなければ中々前には進めません。とにかく結果がどうあれ日々進歩している「錦織圭」のテニスをぜひ見せて欲しいと願っています!

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  • 40LOVEさん、またもや現地マル秘情報ありがとうございます!!

    ギメルストブの場合は(日本ではこう呼ばれています。ギモスタッブが正しい発音に近いですね)、すでに予選決勝に進出していたから少なくともラッキールーザーとして本戦インできるということが確定していたということなのではないでしょうか?
    予選第1シードだったら、プライオリティもNo.1ですし。

    予選からでも素晴らしい試合が多いことと想像します。

    テニスは素晴らしい試合が多くの人に見られないことが多くて残念です。全試合をオンラインで数ドルくらいで購入できるサービスが欲しいものです。

    すでにJTAが似たようなシステムを始めていますが(JTAオンライン)、ATP全体を対象にしてネットで配信すればかなりロングテールの需要を捉えることができると思うのですが(Amazon.comも意識しているビジネスモデル)。

    おそらくアイデアくらいはあるのでしょうが、採算がまだ合わないのでしょうね。でもいつか出てくるサービスだと思っています。

    そしたら錦織圭の全試合買います^^

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  • あらためて、GS優勝ってすごいことだな、と。
    年間グランドスラムとかゴールデンスラムに至っては、超人的。

    亀の子iwaさんの紹介のブログ、何だか面白そうです。。。
    USオープンのワイルドカード、イギリスからは選ばれる枠がないんですね。

    GSルールブック、全62ページって…。

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  • 亀の子iwaさん、このおもしろそうなブログは知りませんでした。
    ありがとうございました。
    WCについてはもう少し調べる余地がありそうです。

    Nosaさん、GS優勝はおろか、GS出場でも神。
    ATP100位なんてそれ何て界王神って領域です。

    すべては相対的に語られるので、ロディックがふがいないとか言われることもあるけど、あの辺になるとスーパーサイヤ人同士の戦いですからね…。

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  • 団長、おはです。さすがに良く調べられましたね。僕も同じ疑問を持っていましたが、ルールブックまでは調べませんでした。でま、予選が始まればLLしかないとは思っていました。
    バグがアウトしました。が時すでに遅しって感じかな。あと2人。
    どう考えたって本戦ストレートインの方が良いですよね。ましてや錦織は故障がちだし。そろそろ予選ドローが発表になってもいい時間ですがまだ見当たりません。どきどき。

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  • takolinさん

    ルールブックはなかなか見つかりませんでした。
    ATPでもITFでもUSオープンのサイトでも。
    結局はITFの中にあったのですが、ITFのルールブックの中に
    Official Grand Slam Rule Book という記述があったので、
    それをキーワードにGoogleで検索してみました。
    もっと分かりやすいところにおいてほしいです。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。