マレーには完敗も、素晴らしい大会でした(2011上海準決勝)

2010 Shanghai Masters 1000
Semifinals
Andy Murray def. Kei Nishikori, 6-3,6-0

残念ながら一方的なスコアで負けてしまいましたが、仕方ない敗戦だったと思います。
何より、準々決勝のドルゴポロフ戦の終盤で痛めたと思われる右足首の状態が思わしくないようで、明らかにフットワークに影響がありました。
最初の数ゲームは軽快に動き、きれいなストロークエース、リターンエースを奪ったりしていましたが、徐々にスピードが失われていき、最後のゲームはほとんど動けずにボールを見送るシーンもありました。

さすがに今テニス界で最も乗っている男、マレーのテニスは凄まじかったです。ワイドに210km/hのサービスエースとか反則ですw 球も深いし足も速い。2ndサーブは叩いてリターンしてくるし、手負いの錦織に対しても全く手加減なしの気合充実状態。「伸びてきている若手だからここできっちり叩いておこう」とでも思ったんじゃないでしょうか。錦織にとっては、思い切ってプレーはできなかったとしてもトップ選手のレベルを肌で感じることができていい経験になったと思います。

しかし見応えのあるラリーも沢山あり、勝ったとは言えないまでも足がいい状態だったらかなりいい勝負ができたんじゃないだろうか、と思いました。

気になる足首の状態ですが、本人あるいはチームの報告を聞かなければなんとも言えませんが、最後まで試合したところを見ると深刻な状態ではないのではないかと推測しています。
試合して治りが早くなる訳はありませんが決して無理はしていませんでしたし、試合後のインタビューではこう語っています。

Q. At some point in the second set, a trainer came in. What made you decide not to have the medical timeout?
KEI NISHIKORI: I was thinking my ankle, I strain little bit yesterday. It was little bit bothering me today. So I was just talking him. Just want to double check if I’m okay.
I decided to finish the match.

2011 Shanghai Rolex Mastersより

「大丈夫かどうかダブルチェックしたかった」と言っていますので、ドクターやトレーナーの意見にもしっかり耳を傾けて、試合しても大丈夫との判断だったようです。また、「最後まで試合をすることにした」とも言っていますので、リタイアすることも考えていたことが分かります。

次の試合エントリーは24日からのウィーンですので、最低でも1週間は休むことができるのは好材料です。また、大事を取ってこの大会をスキップすることも考えられます。いずれにしてもしっかり治してからのツアー復帰となるでしょう。軽傷であることを祈りましょう。

それにしても素晴らしい大会となりました。50位以内の選手に4連勝したのは初めてではないでしょうか?ベーグル(0-6でセットを落とすこと)で始まった1回戦から考えれば、ここまで来れることはまさに夢のようです。2回戦、真っ向勝負であのツォンガに勝ち、3回戦でも3連続のフルセットを勝ち抜きプロジェクト45を達成、準々決勝では基本プレーの充実で18位のドルゴポロフに完勝。言うことありません。

これで当分はランキングのことをあまりプレッシャーに感じずに試合できることも大きいです。得た360ポイントは1大会として過去最大で、グランドスラムベスト8に匹敵します。4試合で倒した相手、試合内容、得たポイントを考えればあの2008デルレイビーチ、2008全米以上の活躍、キャリア最高の大会だったと思います。
(が、マスコミ的扱いはやっぱり優勝やグランドスラムの方がセンセーショナルですので大きいですね。)
これで32位前後になるとのことですが、ランキングと実力がほぼ一致している状況になったと思います。これからは、このレベルのプレーを続けて行くことが次の課題になります。それができれば、トップ10が見えてくるでしょう。

しかしそう簡単に行くとは限らないでしょう。これより上にいる選手は本当に強い。また、今回の活躍によってさらにマークされるでしょう。トミッチ、ハリソン、ディミトロフなど若い世代の台頭も目につきます。茨の道はこれからもずっと続くでしょう。
今回の活躍で分かったと思いますが、勝ったり負けたりが続いてヤキモキしても、1回爆発するだけで一気にランキングは上がります。
見る側としても、1戦ごとの勝ち負けにはあまり一喜一憂しないで(いや、勝った試合はむちゃくちゃ喜んで、負けた試合は引きずらない)、プレーの内容を見たいですね。私がお勧めするのは、対戦相手の気持ちになって錦織のプレーを見ることですね。
どうしても錦織に肩入れして見てしまうとミスが気になったり、ハラハラしすぎたりします。
対戦相手の気分になれば、錦織のプレーからどうプレッシャーを受けるか分かったり、あるいは錦織の凡ミスに対して「おお、これはイージーなポイントだ。ラッキー。」などの感想が出てきます。私が対戦相手の気分になってよく思うことは、

「こいつ、イヤなところでイヤなプレッシャーかけてくるな。」
「おいおいそこでドロップかよ!やめてくれー」
「そこでそのミスしてくれるとは、でかいw」

などです。結構面白いですよw

でも最後のは今大会、本当に少なかったです。活躍の要因かと思います。

13 件のコメント

  • 団長、マスターズの講評有難うございます。
    私は当日、外出していてライストがみること出来ませんでした。帰宅してPCをひらいたら、すでに試合は終わっていました。しかもスコアは団長の報告のとおりです。疲れの蓄積型で完敗かと思いきや、足の怪我とはしりませんでした。体調さえよければ、ツォンガ戦を見てもおそらくもっとせった試合が出来たと思っています。
    しかし、マスターズ1000の大会でベスト4は、本当に素晴らしいです。ここに書き込みされている多くのファンの方々のも、本当に喜び嬉しく思った一週間だったと思います。
    明日の〈10月17日〉ランキングもはやく確認したいです。足の怪我や疲れをしっかりとメンテナンスして次回の試合また頑張って欲しいものです。ツォンガ戦とドルゴポロフ戦で見せてくれた、あのテニスをまた何回も見たいと思います。
    あのテニスは間違いなくトップ10に値するテニスと個人的には確信しています。
    これからも皆さんといっしょに、圭くんを応援させていただきます。よろしくお願いします。

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  • 一週間のうちに、錦織vsツォンガ、ドルゴポロフ、マレーがテレビで観られるなんて、いくらお金を払っても得られない贅沢でした。

    ナダルも楽天決勝前の練習で足を押さえているところをWOWOWで流していましたが、上海に持ち越していたのかもしれません。でも誰も言い訳なしのプロの世界ですね。
    最初のハーセ戦は、震災からちょうど7か月の時間帯でしたので、逆転勝ちが余計うれしかったです。

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  • 上海の大会は錦織にとって素晴らしい大会になりましたね!!
    もう考えてみれば、(自分で数えたので間違えてるかも知れませんが)、錦織はもう先週のTop 20のち17人と対戦経験がありますね!
    そのなかでは、何人かに勝ってますしね!!
    対戦経験がないのはフェデラー、モンフィス、ワウリンカとなってます。
    もうだいぶトップとの戦いをだいぶ経験しましたね!
    個人的にバーゼルでフェデラーとの対戦を望みます。

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  • 足をひねった瞬間、ひやっとしました。
    試合中は大丈夫そうだったので、良かったと思っていたのですが時間がたってから痛みが出てきたのでしょうか?
    たいしたことなく、フロリダで十分ケアして、次の試合までに回復できると良いですね。

    この時期は疲れもたまってくるでしょう。
    けがをしていない選手を探す方が大変なくらい、1年間ツアーを回るのは大変なことだと思いますが、それに耐えられなければTOP10は見えてきません。
    本当に過酷な世界ですね。

    がんばれ!圭!

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  • すいません早速間違えました!Top 20のうち対戦経験があるのは16人であとはシモンでした!!

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  • 私も今回の敗戦、あまり落ち込んでいません!
    このアジアシーズンで錦織さんの可能性を再確認する事が出来たのですから。
    錦織さんも得た物が多かったのではないでしょうか。
    ベーグルに始まり、ベーグルに終わった今年の上海、去年の上海の敗戦を思えば、1年でここまで来たか~と感動しています。
    本当に素晴らしい大会でしたね!

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  • 今大会の錦織選手、本当に凄かったですよねー。

    元々素質が豊富で、それを周囲に評価され期待された選手が挫折を
    味わいながらも、こうして資質を開花させる瞬間を見るのは、どの
    スポーツであっても楽しくてたまりません。

    管理人さんの場合、それが「御自分のプレイされている競技」であ
    る事が喜びを増大されているのでしょうね。

    私は素質に恵まれず、競技者としてのスポーツは完全に断念してい
    ますが、やはり見るのは楽しいです。私の分まで頑張って欲しいと
    いう思いが応援に力が入る原因になっている気がしています。

    管理人さんが仰る通り、これからも苦しい時期が来るかもしれませ
    ん。しかしそういう時こそ、錦織選手をより一層応援していきたい
    と考えています。『苦しい時に離れないのが真の(戦)友』ですね。

    直近としては錦織選手の怪我の回復を焦らず待ちたいと思います。

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  • ランキング発表されてますね。http://www.atpworldtour.com/Rankings/Singles.aspx
    『30位』
    なんてステキな響き。

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  • 記事アップありがとうございます。

    最後の部分にはとても納得です。
    確かに肩入れしずぎるとポイントの遂行ばかりが気になり中身は二の次。ライブで試合を見るとウィナーよりエラーが多く感じるのに、結果を知ってから見ると逆なことが多い。

    錦織が本当に良い時は特に相手目線で試合を見ると、次どこにどんな球を打ってくるのか想像がつかず、体からリズムがなくなって自分自身が動けなくなってしまうような感覚になります。
    そういう見方がライブ観戦でも冷静にできたら試合ももっと楽しるようになるんでしょうね(^^)

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  • Chrisさん、ランキング情報ありがとうございますm(_ _)m
    圭、やりましたね
    いきなり目標到達だなんて凄すぎます(≧∀≦)
    おめでとう(*^o^)/\(^-^*)
    ドルゴ戦・本当に本当に凄かった…最初の3ゲームを見た時点で、今日はもらったな(‘-^*)okって思ったもん(*^.^*)
    階段を上がったなんてなま易しい表現ではとても追いつかない、まさに突き抜けた大会でしたねぇ〜(=゜ω゜)ノ
    足の怪我が軽症で、無事に残りの大会に出場できることを祈っています(^。^)y-~

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  • 団長さん、みなさん、こんにちは。

    30位、すばらしいですね!!
    30位以内の選手を眺めてみると、そうそうたるメンバーで、この中に我らが錦織圭がいるかと思うと、身震いがしてしまいます。
    各選手の身長を見てみると、圭くんとフェレール以外は全員180cm以上の選手達で、高身長が圧倒的に有利なテニスの中で、本当に良く頑張っていると、心から感心してしまいます。

    私はアメリカで草トーナメントに出場しているので実感しますが、外人たちはとにかくパワーが凄く、打ってくるボールが半端なく重いので、体に来る衝撃がものすごいです。センターを外そうものなら、腕ごと弾かれます。
    しかも手足が長いので、打っても打っても届くし、パスも抜けない。
    サーブは日本で体験していたものとは全く別物で、打点が高い分、異常に弾みます。
    素人でも実感する世界のパワーテニスの中で、テクニックとクイックネス、戦術を駆使してトップ30まで上がった錦織圭くんを、尊敬せずにはいられません。

    彼の頑張りは、まったく別分野ですが、我々のようなアメリカで世界を相手に戦っている日本人にも大きな勇気を与えてくれています(、と思います。私以外の錦鯉を周りにしりませんが。。。)。

    これから先、そう簡単には20位、10位の壁は越えられないかもしれませんが、日本の青年の熱い挑戦をアメリカから応援し続けようと思っています!

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  • mazzaskiiさん、そうですよねえ!

    いつも試合開始前の記念写真の時に、
    みんなデカすぎ~~~~~><って私も思っています^^;

    パワーテニスに対抗するのはホントに大変で、
    実際に対戦されているmazzaskiiさんのご意見は
    とっても貴重です!!

    圭は、日本人が大きい外国人に勝つための
    すべての方法を実践してますよね!

    あ、でもあのビッグフォアハンドは、
    誰でも打てるわけではないか…ww

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  • 圭 大好き!さん、レスありがとうございます!本当に圭くん、超人的だと思います。あのビッグフォアも腕をたたんで体幹の回転を利用して全身で打つからこそ打ち負けないわけで、手首、肘、肩にくる衝撃は相当なものだと思います。

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。