2012楽天オープン準決勝 vsバグダティス 感想

2012 Rakuten Japan Open ATP 500
Semifinals
Kei Nishikori [8] def. Marcos Baghdatis, 6-2,6-2

いやーーーーーーー

いやーーいやーーいやーーいやーーー

いやーーーーーーーーーー!!!

錦織強くない?

なんかもう解説の必要ない気がするんですけど。誰でも見れば分かる強さ。

あれだけ攻めて、あれだけ入ればそれはバグダティスも座り込んで呆れ顔になるってなもんです。

もう私も途中からは以下の5種類の言葉しか発していませんでした。

「うおおおおおおおお」

「すげえええ」

「来た!!!」

「ええええええええええ?」

「なんじゃそりゃ!」

団長の冷静な分析(笑)。なにそれおいしいの?状態です。

昨日のベルディヒ戦は相手の猛攻を受け切ってからの力強い勝利でドキドキハラハラしましたが、今日は最初から最後までずーーーっと圧倒しっぱなしで、相手が誰なのか、本当にあのバグダティスと試合してこんなに勝ってるのか??と不思議な気分になりました。

あまりに試合がサクサク進み過ぎて目の前で起きていることの認識が追いつかず、手書きのスコア(もっとも速い記法のはず)ですらところどころ抜けが生じている状態で、最後の方はバグダティスがショットを決めると、

「そうだようなあ、そりゃあそうだよなあ。それが普通だよなあ。」

とか妙に安心したりして。わけが分からなくなりました。もっと長く試合が見たいと思って多少、もつれることを願ってしまったりもしました(すいません)。

あんまり相性とか簡単に決めつけたくはないのですが、0勝3敗という対戦成績と、大雑把に言うとスピン系よりもフラット系を苦手としている錦織の傾向からしてバグダティスは手ごわい相手という認識がありました。

それでもベルディヒ戦のテニスができれば勝利できると信じていましたが、昨日良かったから今日も良い、とは言い切れないところが対人競技であるテニスの難しいところ。展開ひとつでどちらの流れにもなりうると思っていました。

ところが蓋を開けてみると昨日以上の出来で、バグダティスの良いところを完全に封じてしまった。もう言うことないテニスでした。

と、以上のようなことは誰でも書けるわけで、ちょっとだけ私なりの見解を書かせてもらうと・・・。

錦織は試合後インタビューで、

「試合前に過去の対戦成績が0勝3敗と聞いて、これはやばいなと思いましたが・・・(笑)」

と他人事のようにトボケた受け答えをしていましたが、かなり作戦を練ってきたと思われます。これまでバグダティスと試合するときはバックハンドのクロスを中心に組み立て、その中で打てる球を探して攻撃しようとしていました。

その展開だとバグダティスの回り込みフォアからの逆クロス、あるいはバックハンドのストレートから先に主導権を握られることが多かったのですが、今日は錦織の仕掛け(特にバックのストレート)が非常に早く、またバグダティスのイメージの中にも錦織のこういったラリーパターンはあまりなかったはずなので、対処が後手後手に回ってしまった印象を受けました。試合の流れを最初に引き寄せたのも、バックハンドのストレートへのリターンエース2本でした。

この「早めに仕掛ける」というのはミスのリスクも伴いますが、確率高く実行することができれば誰にでも効果的です。もともと長いラリーや競った試合の消耗戦、プレッシャーのかかる場面での相手ミス狙いなどでは強さを発揮してきた錦織ですから、これに速攻のパターンが加われば鬼に金棒です。

錦織圭になにが起こったか?

それにしても、今大会の錦織圭のすごいテニスにはみなさん驚かされていることでしょう。これまでとは何が違うのか?なぜ急に強くなったのか?と思われるかもしれません。ですが私は大きくは変わっていないし、急に強くなったとも思いません。

ひとことで言うなら「機が熟した」ということだと思います。昨日今日に急に強くなったわけではなくて、やるべきことを毎日やり続けた結果、上手くいかないこともあったが今回、いろんな条件が噛み合って結果が出た、それだけのことだと思います。

勝てないと言われているときでもテニスの内容には常に何か見るべき点がありました。例えばバックのストレートの多用であったりフォア側に振られた時の切り返しの精度だったり、ボールの深さの追及であったり様々です。あの肘の故障からの復帰以降、ランキング上昇の障害となったのは「攻め球のミスの多さ」だと私は思っていますが、それも昨年あたりからぐっと減り、安定感につながりました。反面、爆発的なフォアが見られなくなったとか、サーブの精度が取りざたされるようになりましたが、浮き沈みがありながらも大きい流れとして常にテニスの質の向上があり、あとは結果を待つだけの状態だったと思います。で、ようやくそれが出ました。

明日のラオニッチとの決勝はこれまでのそういった取り組みの成果を出し切るための大舞台です。「今日良かったから明日も良い」。今の錦織には、それを期待してよいと思います。

決勝を現地観戦される方へのお願い

準決勝では錦織の出来が良すぎて結果的に大丈夫でしたが・・・

錦織がミスしたときの「あーーーーーっ・・・・」という観客のため息

これは極力、ナシでお願いします。

確実に、選手はがっくりときます。

代わりに拍手や声援で励ましましょう。

声援が恥ずかしければとにかく拍手です。選手には必ず聞こえます。

さすがに決勝の大一番ですから、声援はこれまで以上に大きくなるでしょう。今までにないくらい、声を出した応援がやりやすい環境が整うはずです。

ここはぜひ勇気を出して声を出して応援してみませんか?

何を言っていいか分からない、タイミングが分からないという人は以下を参考にしてみてください。

・「にしこりー!」と名前を呼ぶだけでもいいです。

・日本人ですので「がんばれー!」でいいです。言われなくても当然頑張っているので、言われたくないのでは?とか気にしなくていいです。日本人の声援の定番です。深い意味はありません。応援してることが伝わればいいのです。

・ポイントを取ったあとは「もう1本」。30-30などイーブンのスコアのときは「先行!」、ゲームポイントのときは「ポイント!」が定番です。「ポイント!」は本来はゲームポイントのみで使われますが、ふつうのカウントの時に言っても大きな問題にはならないでしょう。要はポジティブワードならなんでも良く、恥ずかしがらずに元気よく声を出すことが重要です。

・「声かけ」である必要は必ずしもなく、ポイントを取った時の「よーーーーし!」でも十分盛り上がります。

・勝っている時は自然に盛り上がるのですが、負けているときこそ重要です。葬式みたいにならないように静まってしまうといやな雰囲気が選手に伝わります。こういうときこそ元気を出して前向きになれるような応援をしたいところです。

・他にもいろいろなパターンがありますが割愛します。実際に声を出している人の言っていることを真似るのも一案でしょう。

・ナイスショットを打ったらすかさず「ナイスショット!」です。大きな拍手が送る前がベスト。すかさず言ってください。拍手が鎮まった後も少しだけ声をかけるタイミングがありますが、ほんの一瞬です。遅れると次のポイント準備に入っていますので選手の邪魔になります。

・拍手中ももちろん声援を送ってもOKですが、耳には入りづらくなるでしょう。音量アップ効果が主になります。

55 件のコメント

  • 3戦全敗だったって本当ですか?1セットも取れてなかったって本当ですか?
    ・・世界6位って本当ですか?ついこないだの全米でフェデラーを負かしたって本当ですか?
    (たしか見たんだから本当なんです)
    ・・・それなのに何ですかっ、今日の錦織のテニスは!!!
    あのカバーリング、あの思い切りの良さ、そしてあの剛打力!!

    ・・私には分からない。
    ラムとかいう確か百数十位の選手にスコ負けしたかと思えば、二日続けて大猫とヒ熊をまるで子猫のように可愛がっちゃうあの才能が、私には分からない・・・
    でも、分からなくてもいいんです。
    明日(今日)は夢のような仮想GSの決勝です。
    夢なら、どうか最後まで覚めないで欲しい・・

      引用  返信

  • なんだか夢の中にいるようです。日本で、これが見られるなんて!最初、ブレークした時から、涙腺がゆるみっぱなしでした。すごいです。圭くん!
    決勝も現地で応援します。もちろん、声出して、精一杯応援してきます。

      引用  返信

  • 団長はじめまして いつもblog楽しく拝見させて頂いております
    決勝を前に初コメントさせて貰いますです
    応援のマナー、心の叫び了解しました
    今日の有明で確実に実行します
    どうか圭くんの全てが出しきれますように

      引用  返信

  • 出遅れましたが、、、
    ホントにすごかったですねー。
    毎年、土曜日の日帰り観戦なのですが、土曜日に圭君の試合が見れる事に感動し、内容に感激しつつ夢のような一日を過ごしました。

    バグ戦勝利後、圭君が席に座る前独り言のように
    「ばもーす」
    と口が動いてました。
    今日もばもーすが聞けるようテレビの前で声援送ります。

    そろそろ会場も熱気ムンムンでしょうね。
    会場観戦組の皆さま、声援よろしくお願いします。
    団長、すごいショットが出た時は
    「なんじゃそりゃー」と叫んでみて下さい。
    つまみ出されても責任もてませんが(笑)

      引用  返信

  • 錦織選手、素晴らしいです!決勝は期待の若手対決ですね、是非このチャンスをものにしもらいたいです。

    ため息は100%同感です。自然にでるものとして仕方なくはありますが、「あ~」は本当に残念感が漂いますね。(英語圏の「Oh」だと驚きという感じなのですが。)意識された方は、ため息封印して是非声援を送って欲しいです。

    Go Kei!

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。