最後まで集中を切らさず、文句なしのストレート勝利!(2019全仏1回戦 vs. アリス レビュー)

2019 Roland Garros (Grand Slam)
1st Round
Kei Nishikori[7] def. Quentin Halys, 6-2,6-3,6-4

戦術の選択ミス(サーブアンドボレー)やDFが多めということがあり、3ブレイクを許しましたがそれを補ってあまりある素晴らしいプレーの連続。私的には、少々の気になる点は全く不問です!!
それ以上の大・大・大収穫があった試合でした。大会前の不安を吹き飛ばしてくれる快勝でした。

先に課題の方をやっつけちゃいましょうか。
その後は、お待ちかね? の錦織圭大絶賛モードに入ります。

まず2ndセット5-2からのサーブアンドボレー。0-15から出て失敗。確かに、これで取れば楽が出来るしアクセントにはなっている。
しかしストロークでポイントが取れていて、戦術を変える必要が感じられない場面でした。
単純にリスクを高めるだけの選択だったように思いました。

そして30-40からも同じくサーブアンドボレー。
サーブはコーナーに行って悪くはなかったのですが、アリスは完全に読んでいました。
ここも不利なカウントでの選択。首をかしげました。

しかし次のゲームですぐブレイクバックしてセットを取り切る力強さが今日の錦織にはありました。

次はファイナルセットの最初のゲーム、30-15から2連続でDF。そのままブレイクを許しました。

しかし!

これは是非とも知っておいて頂きたい、これまで少ない少ないと申し上げてきた、「フォア側への2ndサーブ」をトライしていました。明らかに。
弱気なダブルフォルトではなかった。

ビッグサーバーではない錦織にとって、このコースへの2ndサーブは今後、絶対必要になってきます。
必要なトライでした。

2本目のDFは、さすがにバック側に打っておいた方が良かったのでは? という意見も一理ある。
ただ、30-30というカウントで、読まれてどかんとリターンが来るのも怖い。どっちが良かったかは結果論かもしれません。
ただ単に、入れれば良かったけど入らなかったと、それだけのことかと。

悪いところは以上。
アレ? これだけ?

しかも悪いところとか言いながら、理由がしっかりあるしリカバリーもできた。

ということで問題なし!

以下、絶賛タイム!!!

今日の最大の収穫はフォアですね。

試合の度に、「フォアが〜」「フォアが〜」と言ってきました。
今日は弱々しいミスは一切無し。攻められてもふつうに切り返すし、甘い球が来たら迷わず中に入って打つし、クロスも逆クロスもストレートもいいコースに行っていました。
なんか、思い出しました。「錦織のフォアってこれだったよなあ」と。
「たまたま調子良かった」という感じでもなかったし、ローマのシュトルフ戦、第3セットでもかなり良かったし、調子自体が上向いているんだと思います。
めでたい。

次はバック。これも良いです。
クロス偏重ではなかった。
ストレートも内側に入らなかった。
ミスはゼロではなかったが、十分な確率で入った。

クロスはいつも以上に切れていた。タイミング早いしボールは速い。角度も付く。引く弾道で突き刺さる感じの、これも「いいときの錦織のバック」。
少々食い込まれてもほとんどミスなく返っていました。

次にスマッシュ。
1本ミスした。でもフィニッシュのショットとして信頼できるレベルだった。

そしてリターン。
課題にあげた返球率は、計算していませんが高かったと思われます。
相手のナイスサーブは仕方ありませんが、触ることができれば大体返っていた印象。
2ndサーブのリターンミスは2,3本かな。でも、攻めてのミスでした。
それどころかエース級のサーブも返すし、1stサーブでも深く返すし、これも「いいときの錦織のリターン」でした。

サーブは、これからビッグサーバーになるのは無理です。
しかしコースの精度を高め配球を工夫すればキープするために十分な武器にはなり得ます。
今日はゲームポイントでエースとか、欲しい所で良いサーブが入った印象。
上述の通り、フォア側への2ndを多めに打ったのも良かった。

以上のような良いショット達を支えたのは、動きです。
ディフェンスもかなり良かった。
ギリギリ追いついたけど、ギリギリネットにかかってしまうというようなポイントがほぼ見られなかった。
ギリギリのタイミングでも、ちゃんと深く返っていた。
結果としてアリスに決められることになっても十分なプレッシャーを与えることができていました。
クレーなのに足もとのショートバウンドの球をクリーンに返してラリーをニュートラルに戻していた。
これもいいときの錦織がよくやるショット。

今年の不調の主要因は、私はフィジカルだと思っているので、動きが戻ってきたことは非常に喜ばしい。
ローマで披露困憊だっただけに、1週間でどこまで戻るかな?と心配していましたが、この動きなら完全回復していると見て良いのでは。
そして今日の試合を2時間くらい、ストレートで追えることができたのは非常に非常に大きい。
中2日空きますので、現時点での消耗はかなり少ないでしょう。

あとは集中力ですかね。
ブレイクされても気落ちは見られなかったし、プレーが弱気にならなかった。
これは凄く難しいことです。
自分のプレーに自信がある、いい手応えを持っている(調子が良い)ということだと思います。
ブレイクポイントを自分のミスで逃し続けるということもなかったし、
ゲームごとの波が非常に小さかった。
逆にその波の大きさで、アリスは敗れた。
3rdセットの彼のプレーは相当良かったですよ。
攻撃はもちろん、錦織のウィナー級をかなり返していた。

そうそう、錦織はそういう風に返されても、決め切りました。
形を作りながら「フィニッシュが弱い」と私が指摘した最近のプレーは全く見られませんでした。

と、どうでしょう。収穫ありまくり、最近の課題を全部クリアした試合だったと思います。

[1stあっさり取ったら2nd競る現象」も出なかったし、
3rdセット取られていたら、全豪1回戦の再来も頭をよぎることになっていただろうし、
とにかく錦織の良い面がふんだんに見られた試合でした。

ただ、まだ1回戦。

次の課題は「上位ラウンドに行けば行ほど良いプレーをする」

です。

それが出来れば、少ない時間で勝ち上がることができます。
目指すはもちろん優勝ですが、それは「自分の力を出し切る」あとに来るもの。

ラッキーで優勝できることはありません。
むしろ自分の力を出し切っても優勝できないことの方が多い。
だから、まずは「出し切る」こと。

グランドスラムで変わる錦織圭のテニスを2回戦以降も楽しみたいと思います。(完)

68 件のコメント

  • stteffiloveさん、AB型さん、コメントありがとうございます。
    でも錦織君は去年もかなりの確率でフランス人といっぱい当たっているし、アウェイ感にすっかり慣れちゃったのではないかな、と個人的に思っています。2015年の試合は、単なる錦織君の自滅だったし、特にツォンガがすごいプレイをしたというイメージがあんまりないんですよね。それに、ツォンガは錦織君に苦手意識を持っているようだし、初戦のようなプレイをしてくれれば、負ける気がしないんですが・・・

      引用  返信

  • ジャガイモが煮崩れるくらいクタクタに煮込んだ
    『トン(豚肉の)じゃが』
    で行こうかな。

      引用  返信

  • 初めまして。こんにちは。
    応援フード、普通にとんがりコーン(ツォンガリコーン)では?

      引用  返信

  • 圭の活躍がセンセーショナルに報道され始めた頃、前に出て、ライジング気味に体重を乗せて打つ、跳ねた球はエアケイというノリ……時間を奪うテニスは効果的だった、そこを思い出すというコンセプトは素晴らしい
    しかし、時間を奪うだけだと、トップクラスだけでなく、中堅どころ、また、しっかりしたコーチをつけた新鋭にも対応されてきている
    カレーニョブスタ、フルカッツなどは、その類いで苦戦を強いられたのだと感じる
    この間、快勝したウジェアリアシムも次は、対応してくるはすだ、
    時間を奪いつつ、(打つ)コースをギリギリまで隠すということがどこまで出来るのだろうか……
    前に入って、前傾姿勢でのヒットポイントとなるだろうが、タイミングが早すぎるとコートをしっかり踏めなくなり、体幹軸がブレるので、ミスが増えるのではないか
    年齢がいくと、衰えるのは足と動態視力というのも定説…ボクサーなどはその典型だ。
    トップとしての選手生命を長らうために、チェンジフォーム中の圭を、長い目で、見守っていきたいと感じる次第。

      引用  返信

  • ヤマトイモさん、私も全く同感です!
    時間を奪うライジングショットと、コースをギリギリ迄隠すような、軸足に乗ったタメのあるショットの両立が、不可欠になっていると思います!
    それと、1stサーブインの確率に余り拘ってはいないのですが、試合にスムーズに入る為にも、1stが入ると入らないとでは大違いです! 2ndサーブでポイントが取れていても、肉体的にも精神的にも削られるものが多いのでは……😓?
    錦織クンの試合を見ながら、もう少しサービスで点が取れたらな~手首にも楽だろう~と、つい思ってしまいます!

      引用  返信

  • 素人考えですけれど。

    最近、2ndサーブでの得点率が低いのが気になっていました。
    ダブルフォールトが増えてもいいから、2ndでコース狙ったり、強いサーブを打つべきじゃないかと思っていました。今回はDF6本で2ndサーブ得点率59%は、少しはそんな方向にしてきたのかなあ??
    ただし2ndの得点率は相手もあることなので、2nd得点率/1st得点率で評価した方がいいのかななんて思います。

    今回アンフォースドエラーが少なかったんですが、なんだか相手のショットに重さがなかったように見えました。錦織選手がうまく対応していたからそう見えただけかもしれませんけれど。
    ということで、調子が上がってきたと見るのは早いかなと思っています。
    杞憂に終わって次のツォンガ戦でもこの調子が維持できたらいいな!

      引用  返信

  • ヤマトイモさん,
    勿論です!!!長ーい目で見守らせてもらいますよ。
    たとえ錦織選手がやめてくれと言っても見守り続けます。見守らせて下さい。(^^)

      引用  返信

  • 初戦、ストレート勝利、ホント良かった!
    サービスゲームの不安はまだ拭いきれないのと、ややしつこいバックのクロスが読まれ始めていたのでラリー戦の攻め方が気になるところでしょうか。

    あとは、ボレーの落としどころ…。
    逆を呼んでなのか、そこにしか狙えないのかがわからないのだけど、決めのチャンスの一打なのに、落としどころが不思議…。よくあるから、簡単じゃないのかな…。

    2回戦の🇫🇷ツォンガ戦、簡単ではないとは思うけど、勝利すると思いたい!
    いや、勝利する!

      引用  返信

  • 1回戦は、アリスのボールが軽そうだったので、錦織選手が上位進出を狙うにはあまり参考にならないと個人的には思います。

    アリス戦で気になったのは、錦織選手は自分が支配している勝ち試合ではガッツを見せますが、競合いになるとその余裕が無くなる点です。
    本来は、競合う試合でこそガッツを全面に押し出して相手を飲み込み観客をひきつけなければならないと思います。

    錦織選手の昔から変わらない傾向として、気持ちよく勝った後、次の試合で相手が変わっているのに、前の試合と同じフィーリングで入ってしまい、必要以上にもつれたり負けたりします。相手はチームぐるみで直前の試合を参考にしているので「しめた!」とばかりに対策を実践してくるからだと思います。

    ツォンガ戦というと、数年前の全仏ではツォンガはバックが弱点なのを忘れて、自分が打ちたいフォアの順クロスを打ち込み過ぎ、大苦戦しました(あの看板のフレームが落ちてきた試合です)。「頭が真っ白でバックを攻めるのを忘れていた。雨で中断しなければ負けていた」と錦織選手自身が話していました。

    次のツォンガ戦、最盛期ほどではないとはいえ、ツォンガのパワーは当たり前ですがアリスと比較になりません。 気持ちを切り替えて臨んでくれることを期待します。
    錦織選手の課題は今大会も変わらず最低限「無駄にもつれない=体力温存」そのためには「要所で凡ミスをしない」。

    ちなみに、全仏で完全にアウェイになる環境はもう慣れているでしょう。

      引用  返信

  • GSを勝ち抜くには、ど素人目線からは「参考にならない相手」や「相手のミスなどに助けられた」と見える様な事も必要だと思います。つまり無駄な体力を温存できるという意味で。

    次戦のツォンガ選手についてはどれだけ復調したのかはわからないですが、やはり怖いのはフォア・・・では無くそこを意識し過ぎて単調になる事でしょうか。

    前回の全仏はむしろDTLを含めたバックのウィナーをかなり効果的に決められて最初の2セットの流れが一気に傾いた印象が強かったですし、要はその辺りの塩梅は錦織選手のセンスと陣営の作戦次第でしょうね。

    ただ、あの時のツォンガ選手は「スーパー」でしたからあれの再現が有るというのは・・・錦織選手次第でしょうね。

      引用  返信

  • ヤマトイモさんの、考察、なるほど、またひとつ、眼から鱗の視点、勉強になります。最後の五行のお言葉に、私も、乗らせてくださいませ(図々しい)
    そして、
    奈良選手、みごと初戦勝利、おめでとう、
    西岡選手、全仏本選初勝利、おめでとう、
    小さな身体の二人のファイターに拍手❗

      引用  返信

  • どんどん相手のレベルも上がっていって
    錦織選手のやりたい事をやらせないように
    してくるでしょうが、大会の序盤で今回の様に
    気持ちよくプレー出来るとその後もだいぶ違うと
    思うんですよね。好感触を得られるし、自信になる。
    もちろん良い感覚に囚われすぎてはダメですが。
    2014全米も大会序盤は、相手のレベルは
    そこまで高くなかったと思います。
    その中で良いテニスのリズムを掴んでいくことが
    結果として準優勝に繋がったのではないかと。
    個人的には今回は良い大会になりそうな気がしますが、
    どう転んでも錦織選手は応援し続けられる選手ですね!

      引用  返信

  • 大坂さん、頑張れ頑張れ頑張れ❗スレチすんません。
    ホントに頑張れ〜〜❗

      引用  返信

  • 大坂さん、思わぬ苦戦してますが、やっと自分のリズムが出て来てる❗
    頑張って逆転して❗❗❗

      引用  返信

  • 奈良選手が勝って、西岡選手も勝って
    大坂選手も逆転勝ち🎉
    起きてられないけどダニエル太郎さんも続いてください!

      引用  返信

  • ROMさん,
    ブロッコリーのフレンチフライ添え
    絵面でツォンガをイメージさせるのは面白いかも知れませんね!
    キャラ弁的に。
    自分じゃ出来ませんが…

      引用  返信

  • 大坂選手、1セット目を0-6で落とし、2セット目、相手選手のSFMを2度凌いで、最後逆転勝ちという試合を初めて見ました。テニスの試合は、諦めなければ勝利の道は必ずあるということを痛感しました。
    応援団が諦めても、最後まで諦めない錦織選手。ツオンガ選手との試合が楽しみです。

      引用  返信

  • 大坂さん、逆転勝利良かった❗身体がガチガチでミス連発、どうなることかと思いましたけどファイナルセット、やっと身体が温まった……暑いぐらいのほうがいいんでしょう、大坂さんは。
    そして、我らの錦織君、フェデラー選手と充実の練習、激しく打ちあったようですね。
    明日の2回戦、センターコートの第2試合です。ツォンガ選手に勝つイメージが沸々❗(強風も、雨もゴメンですよ❗)

      引用  返信

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。

    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。