サーブの種類別特徴まとめ

昨日の記事「サーブの確率を高める5つの要素とは」からの流れで、サーブの種類別に「サーブの入りやすさ」から見た特徴をまとめておきます。

なお、すべて右利きの人を想定して書いていますので、左利きのサーブについては左右を逆にして読んでください。

表 「入りやすさ」の観点から見たサーブの種類別特徴

フラット

スライス

スピン

スピード
(遅い方が入りやすい) 

バウンドの高さ

普通

低い

高い

再現性

打点の高さ

前の打点

物理的入りやすさ

角度

スピード

スイングするパワーが回転に振り分けられるため、スライス・スピンはフラットより遅くなります。

スライスサーブは結構速い球を打つことができます。「どフラット」よりも軽いスライス回転気味のフラットサーブの方が鋭いサーブが打てることがあります。

速いサーフェスではフラットのこの「ライトスライス」サーブが効果的です。

逆にスピンサーブはボールが落ちるという物理的特性以外にも、スピードの出すぎを抑えて確率を高める効果があります。

なお、遅い方が入りやすいため、表ではフラットが△、スピンが◎になっていることにご注意ください。

バウンドの高さ

高い方がいいのか、低い方がいいのかは相手の技術、サーフェス特性によって変わってきます。

スピンサーブで片手バックハンドの高い打点のリターンを打たせるとスライスで返ってくる確率が高くなるので、サーブ&ボレーに適しています。

反面、厚いグリップのフォアの強打を得意とする選手に対しては、中途半端なスピンサーブは格好の餌食になるので注意が必要です。

スライスサーブはこの点、高い打点の強打を防げるという意味では効果的ですが、バウンドの高いハードコートではちょうど良い高さになってしまうこともあります。

繰り返しになりますが相手の得意な高さとサーフェス特性(バウンドの高さ)を見極めた上で効果的な打ち方を探す必要があります。

再現性

「スピンサーブの再現性が悪い」という意見は昨日述べた通りですが、もちろん訓練によって克服することができます。
アマチュアレベルでもスピンサーブを武器にしている人はたくさんいます。

ただ女性でスピンサーブを打つ人があまりいないという現実、スピンをかけにいってフレームショットになってしまっている人を結構見かけることから、技術的・体力的なハードルはフラット・スライスより高いのは確かでしょう。

スピンサーブはストリートファイターで言えば、一旦覚えてしまえば強力な武器になるが、繰り出すためには複雑なコマンドが必要となる昇竜拳を打っているようなものだと思います。

スピンサーブ派の人ごめんなさいね。単純に私が打てないのでひがんでいるだけですwww

フラットとスライスのどちらが再現性が良いか、というのは微妙なところだと思うので同じ評価にしておきました。個人的にはフラットの方が再現性が高いです。

理由としてはフラットはほぼ垂直な当たりをするのに対し、スライスはやや斜めに当てないといけないので、その加減で若干ブレがでるためだと思っています。

打点の高さ

フラットが一番高くなります。スライスサーブはボールを右で捕えます(右利きの場合)ので、その分多少、打点は落ちます。また、スライス回転を多くかけた「横スライド」サーブでは、むしろ打点は低めの方がいいくらいです。

スピンサーブもトスが左になりますし(右利きの場合)、少し打点を落とした方がスピンが掛けやすくなります。

これは盲点だと思います。「サーブの打点は高ければ高い方がいい」のは真実ですが、要は打点を低くしてもスピンが掛けやすくなればトータルでは良くなるという「総合的視点」が必要ということです。

前の打点

これも「打点の高さ」と同じ順列になりますが、それだけを持って優劣をつけるわけではありません。詳しくは次の項で。

物理的入りやすさ

打点が高く、前になるフラットサーブはその時点では物理的に有利ですが、回転の恩恵がなくスピードも出てしまうため、最終的には物理的に最も入りにくいサーブとなります。

スライスサーブはスピードを抑える効果だけでなく、例えばデュースサイドからワイドに打つ場合には比較的ネットの低いところを通りながらも角度のついた場所にロケーティングすることができるので、物理的にも有利です。

スピンサーブはネット上で非常に高い位置を通り、グッと落ちながらサービスエリア内に入って行きますので最も物理的に入りやすいです。スピード超過もありません。

角度

回転の恩恵がなく、スピードも出てしまうフラットサーブは打点と打ち出し角度が全てとなります。これをしくじるとネットかロングになるだけです。

物理的に入りやすいというスピンサーブの特性はそのまま左右の角度につながります。特にアドサイドのワイドへのスピンサーブは効果的です。ライン際のかなり浅い所に入れることができ、しかもツイストサーブにすればさらにコートの外へレシーバーを追い出すことができます。

エドバーグやラフターのこのサーブでは、レシーバーがしばしば画面の外に消えていっていました。

錦織もアクセントとしてこのサーブを使ったサーブアンドボレーを見せることがありますね。

以上で本日のまとめを終わりますが、強調しておきたいのは結局は使い分けだということです。
すべての種類のサーブをすべてのコースに打てることが理想ですが、例えば身長が低いのにフラットサーブを主力にするにはかなりの精度が必要ですし(ただし、無理とは言いません)、昨日言ったようにスピンをかけるために再現性を犠牲にしているとしたら結局は損かもしれません。

昨日、今日は主に「入りやすさ」についてお話ししましたが、実際はもっと奥深くて、次は「入った時にどれだけ効果的か」も考えなければなりません。

以前にも出た式をちょっと表現を変えまして、

ポイントを取れる確率=ボールが入る確率 × そのボールの効果

の、「ボールが入る確率」についてしか昨日、今日で語ってないからです。

この式は極限まで単純化した式なので、実際には1本でポイントが決まるわけではないことに注意してください。でも本質はこの式の積分となります。

いやー、テニスって、本当に面白いですね。
サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。

9 件のコメント

  • スピンサーブは最近年齢のせいか、腰にくるので
    トップスライスでごまかしてる私が来ましたよ。
    素人レベルのスピンサーブって中途半端だと格好の
    打ちごろになりますが、プロのスピンサーブって
    実際に見るとすごいですよね。
    相手の頭ぐらいまで跳ね上がってる時ありますもん。

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  • 今回も最後まで読めました!
    スピンサーブは確かに実現性が問題ですよね・・・
    僕もやろうとしてもできなかったし・・・

      引用  返信

  • スピンこないだ打てるようになったのにテニスサボってたら
    また打てなくなったwwwww

    なんか手打ちっぽく打つとスピンが掛かる気がするんですが…?!
    ぼくの場合一生懸命スピンをかけようとするとスライスになってしまうので…
    高い打点で取ることも非常に大事ですが、やっぱスピンサーブは
    トスが落ちてくるのを待って打たないとスライスになっちゃいますねー…

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  • 一気に読みました。

    トスが定まらない、ボールをきちんととらえられない、
    肩が弱い(?)のでサーブは、苦手。
    なのに、サーブ&ボレーヤーを目指していたりする(無理!)。
    今、読んですごくサーブ練習をしたくなりました。

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  • トップスピンもう打てね~(笑)
    私はお笑い担当なんで、技術論はあんまり口をだしませんが、マニアック技術論をいつもふむふむいいながら見てます。スライスサーブだけではちと足りない今日この頃

      引用  返信

  • 淀川だんちょの講義面白かったです。
    サーブだけ良くなっても、次の手駒が悪いと
    ポイントを取れる確率が
    低いままってのは良くあるコトですからね。
    相手のリターン力vs自分のサーブ力 
    相手の手駒vs自分の手駒
    相手のモチベーションvs自分のモチベーション
    相手のコンディションvs自分のコンディション
    その他、相手との相性など
    全てにおいて相手<自分なら楽勝なのになぁ・・・。
    そーは問屋さんが卸してくンないから面白いンすよねww

    のさサン、上げたトスに合せるンじゃなく、
    自分の自然なスイング(身体に無理がなく再現性が高い動き)の
    なかにトスをひょいっと入れる感じにしてみたら?
    ヒュンヒュンヒュンと調子良く3回ほど素振りしてみてから
    次は3回目のスイングで勝手に当たるようにトスを入れてみて。
    最初はタイミングが取れずに止まってしまうかもしれないけど
    「スイングの流れ重視」で当たるまでやってみて。
    自然にトスは安定するンじゃないかな?
    それが出来たら今度は少し前に上げたりジャンプしてみれば・・・
    ほ~らサーブ&徒歩の入口が見えてきたww

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  • トスが上がらない人の原因トップ5

    ・親指引っ掛けてる
    ・手首スナップさせてる
    ・腕の振りが速すぎる
    ・腕が振り子のように動きすぎ(エレベータの方がいい)
    ・低い位置でボールを離しすぎ(肩の位置くらいまで離さない)

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  • 次点

    ひざを「伸ばしながら」トスを上げている

    ひざを沈み込ませながらの方が良い

    せっかくトスを上げてるのにひざを伸ばして体も上がっていったらいつまでもボールが肩を追い越してくれない

      引用  返信

  • 種丸さん、団長、ありがとうございます。

    サイバーテニススクール、非常に強力です!
    アドバイスを取り入れてサーブへの苦手意識をとっていきたいです。

      引用  返信

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。