錦織圭 引退セレモニー ~ 未来への遺産 ~ 感想

 木下ジャパンオープン最終日の10月6日(火)、男子シングルス決勝の前に行われた錦織圭の引退セレモニーに参加してきました(あえて「参加」と表現)。

 「KEI NISHIKORI TRIBUTE CEREMONY」と名付けられたセレモニーは、大会を通じた「THANK YOU, KEI」のスローガンの他に、「LEGACY TO THE FUTURE」とも題され、「錦織圭の偉大な功績を無駄にすることなく、次の世代に繋がなければならない」、という日本テニス界の意志のようなものを感じました。

 セレモニーにはご家族、現陣営の他、盛田ファンドで錦織圭を支援した盛田正明氏、日本テニス協会関係者、元コーチ・トレーナーなど懐かしい顔を含む多くの方々が参列し、盛大に執り行われました。

【主な参列者】
ご家族
 妻:舞さん
 父・清志さん、母・恵理さん、姉・玲奈さん
現陣営
 綿貫 敬介 氏(2026年7月からコーチ)
 坂井 忠晴 氏(2018年からトレーナー)
 オリバー・ヴァン・リンドンク氏(2008年ごろからマネージャ)
日本テニス協会関係者
 盛田 正明 氏(名誉顧問)
 深澤 祐二 氏(会長)
 松岡 修造 氏(強化副本部長)
 添田 豪 氏(デビスカップ監督)
元陣営
 ダンテ・ボッティーニ 氏(2010年から2019年までコーチ)
 マイケル・チャン 氏(2013年から2022年までコーチ)
 グレン・ワイナー 氏(2007年から2010年までコーチ)
 ゲイブ・ハラミロ 氏(元IMGアカデミーのテニス部門責任者)
 中尾 公一 氏(2013年から2018年までトレーナー)
司会・進行
 石黒 賢 氏
 橋本 みのり 氏

また、セレモニーは以下の順で進行しました(一部、記憶があやふやな点があるので、後ほど確認して順番に間違いがあれば修正します)。

  • 錦織圭 入場
  • 錦織圭 冒頭のあいさつ
  • 現役時代の歩みを振り返る映像の放映
  • 選手(ジョコビッチやナダルら)からのビデオメッセージ
  • ビデオメッセージを見ての感想
  • 恩師2人(マイケル・チャン氏、盛田正明氏)からのスピーチ
  • 日本テニス協会からの「特別栄誉賞」授与
  • インドアコート2階に飾るブロンズ像のため、錦織圭の手型の採取
  • 錦織圭 最後の挨拶
  • 記念撮影
  • 錦織圭 場内一周
  • 錦織圭 退場
  • (番外)セレモニー終了後、錦織が戻ってきてダンテと2ショットなど、個人的な記念撮影

詳細レポート

 コートエンド席上段に設置された2台のモニターと、コート内のモニターに映像が音楽とともに映し出され、盛大な拍手に迎えられ、照れくさそうな表情ながらも笑顔で、いろいろな人に頭を小さく下げながら錦織が入場。最初の軽めの挨拶。

「もう4,5日前の試合後の(セレモニー的なもの)でおなかいっぱいなので・・・」

と、最初からジョークを飛ばします。照れくさい、しんみりした内容にしたくない、そんな気持ちがあるように感じられました。

 続いて、キャリアを振り返る映像が流れます。2008年のデルレイビーチ優勝に始まり、ジャパンオープン優勝、バルセロナ連覇、メンフィス4連覇、リオ五輪銅メダル、そして全米オープン準優勝、栄光の歴史。
 キャリア後半は、怪我との戦いにもフォーカス(キャリア前半もたくさん怪我をした・・・)。その都度、不屈の闘志で復活。特に2020年代は苦しい時期がほとんどだっただけに胸が痛くなりましたが、本当に素晴らしいキャリア、そして頑張りで最後まで闘ってくれたんだなと、改めて思いました。

 さらに、選手たちからのビデオメッセージ。ジョコビッチ、ナダル、マレー、アルカラス、ティアフォー、シェルトン、ズベレフ、フリッツ、坂本、シャン、デミノー、フィス、ベレッティーニ、ドレイパー、ムゼッティ、そしてマイケル・チャン。
 フェデラーのメッセージがありませんが、おそらく11日のユニクロイベントで聞くことができるでしょう。

 これを聞いた錦織圭は「もうちょっとで泣きそうだった」と、ここでもジョークを。とにかく、関係者に、ファンに気を使っていたのかな。少しでも楽しい雰囲気になるように。渡が帰宅後にWOWOWで確認したメッセージ中の表情は、とてもうれしそうでした。

 たくさんの選手がこれでもかとばかりに錦織圭を称賛してくれ、特にバックハンドの評価が高かったのが印象的でしたが、ディミトロフの「君のバックハンドがNo.1だ。聞かれるたびにそう答えている。」には泣かされました。1日の引退試合で泣き尽くしたつもりが。。。

 マイケル・チャン、そして盛田名誉会長のスピーチも感動的でした。チャンからは、錦織の才能だけでなく、「自分の注文に対し、一回も『無理だ』『やりたくない』と言わなかった」エピソードや、「日本語を教えてくれなかったのが唯一残念だったこと」といったジョークも飛び出しましたが、「(コーチがいくら頑張ったとしても)功績は選手のものだ、コートで孤独に耐え、実際にボールを打つのは選手だ(意訳)。」と言ってくれたことに感動しました。間近に錦織圭を見て来た言葉の重みがそこにはありました(ダンテの言葉も聞いてみたかった)。

 盛田名誉会長、「私は大したことはしていない」と、錦織圭が自らの力で道を切り開いたことを強調。いやいや、あなたが「これは面白い子だ」と才能を見抜き、ご両親を説得してくれたからこそ、錦織圭の今があるのです・・・。テニスプレイヤー錦織圭の生みの親と言ってよいですし、盛田名誉会長のおかげで、我々錦鯉もこんなに楽しい応援生活を送ることができました。大変感謝しています。
 また、「彼はまだ若い。人生はこれから。これから彼が何をするか見届けて、応援してほしい。」といった趣旨のことをおっしゃったのも流石です。その通りです。そして、応援なら任せてほしい、もちろん鼻血がでるまで、と心の中で誓いました。
 それにしても99歳にして杖もなく歩き、ハキハキとご発言なさる姿に驚愕しました・・・。いつまでもお元気でいてほしいです。

 手型採取では、うまく行かず一回、手を離してからもう一回押し付けたため、なんともぶかっこうな手型になってしまったのは錦織圭らしくて笑いました。片方の手型は指が6本になっていました(笑)。実際にブロンズ像を作る際には、取り直しになるかもしれませんね。
 手型を取るときは、他の人が上から押さえつける必要があるらしいですね。

 最後のスピーチでは、やはり「もっと結果を残し勝った。悔しさはある。」と。これは引退発表からずっと言っています。やめたくないのにやめるのは、見ていて心苦しいですが、「やりきった」「楽しいテニス人生だった」とも言っているので、もうこれは祝福して第二の人生に送り出すしかないです。
 私も、ずっと引退を撤回してほしいと思ってこの半年間過ごしてきましたが、今はもうゆっくり休んでほしい、そして「必ず何かやります」と要った錦織圭の未来には、どんなワクワクした出来事が待っているのだろうかと今から期待を膨らませています。ゆっくりと場内を一周する錦織圭に、最後の「ありがとう」の絶叫を送りました。みな絶叫していたので、かき消されて本人の耳には届いていないでしょうが、私も、「テニスプレイヤー錦織圭を鼻血が出るまで応援し続けたな」と満足感でいっぱいになったセレモニーでした。

【番外編】鼻血、尿意との最後の戦い

 セレモニー前(ダブルス決勝戦中)、トイレに行こうと東ロビーに出てみると・・・何やら人だかりが。
 メッセージボード前に、先日の、朝日新聞などへのWOWOW全面広告の掲示と共に、警備の人やカメラマンらが誰かを待っていました。
 これは錦織圭だ!と思い、尿意の中待ちます。尿意Lv2、Lv3、Lv4に達しますが、まだ錦織圭は現れません。スコアで言うと、4-6,1-4から5-5に追いついたあたりでしょうか。

※ 鼻血は何を言っているのか、ついにおかしくなったかと疑問に思う方向け:錦織の試合をリアルタイム応援中、度々、尿意に襲われることがありました。それも決まって、いい場面で。
トイレに行くわけにも行かず、尿意を我慢しながら実況を続けていると、錦織が逆転していきます。それも尿意レベルと比例して。尿意レベルが上がれば上がるほど、錦織が強くなっていきます。
そんなことが何回も続くもんだから、「尿意は吉兆」、「この尿意に耐えさえすれば錦織が勝つ」といったジンクスが生まれました。
「鼻血さん、今絶対トイレに行かないで!」なんて、非情な声もかかりました。それが「尿意との戦い」です。汚い話ごめんなさい。

 さあいよいよLv5か、「俺たちの戦いはこれからだ!(ジャンプの連載が終了するとき風に)」と思ったころ、ついに錦織圭登場。
 ボードのメッセージを眺め、新聞公庫国に目を通し、「これはやばいですね」と一言(おそらく、涙を誘うといった感じの意味)。
 そして、ボードにサイン。ちょっとだけ挨拶をして、サインもちょっとだけして、戻っていきました。

 事前にアナウンスしたら人が殺到するから、アナウンスしなかったのでしょう。ラッキー過ぎました。
 「いつでも だれでも ラッキーはくる そう思え」。錦織圭が少年時代に書いた、あいだみつを風の格言です。まさにこれでした。
 観戦中何度も苦しめられた尿意でしたが、私のためを思って錦織圭と巡り合わせてくれたのでしょう(尿意の擬人化)。ありがとう尿意。本当にありがとう。感謝の念とともに、トイレに流しました。

3 件のコメント

  • 素敵なブログをありがとうございます。
    素晴らしいセレモニーでしたね。
    多くの選手からのメッセージを見ていると、どれだけ錦織圭という選手が世界で活躍してきたかがよくわかります。
    ダンテコーチの言葉も欲しかったです。
    せめて列席されて方の紹介をして欲しかったです。
    ご家族のことに触れたのは良かったけど、ツアー中に子供達のお世話をしながら見守ってきた奥様にも一言何か言って欲しかったかな(^-^;
    ずっと錦織圭一筋で応援してきた団長さんにも…😅
    私たちファンはこれからも錦織圭を応援します!
    さらなる活躍する舞台で圭君が楽しみです。
    ですので団長さんもこれから時々で良いので,発信してくれると嬉しいです。
    NYの空港で起きたことのような内容でも大歓迎です😊
    あれば夜中に呼んで大笑いさせてもらいました😂😂

      引用  返信

  • 初めてコメントします。
    ずっと錦織を応援し、負けて落ち込んだ時も必ず勇気づける記事を書いてくれてた団長さんに救われてきました。ありがとうございました。
    私もセレモニー会場にいました。泣くのを我慢できた団長さんは偉い。ティアフォーとの試合後ほどではありませんでしたが、私は家内と二人、石黒さんのオープニングから涙腺が緩みっぱなしでした。
    セレモニーの内容については一つだけ、盛田さんのカンペなし挨拶に触れたいと思います。
    錦織の今までの足跡はスタートアップでこれからの錦織を応援してくれ、という言葉に脱帽でした。これはファンや関係者への今後の応援依頼の形をした錦織へのハッパだと感じました。これを聞いた錦織は「今後も半端は出来ない」と意を新たにしたんじゃないかと思ってます。(事実、その後、何かで必ずhelpすると言ってました)最高の慰労の言葉だと思います。
    初コメなのに長々とすみません。私もこれから録画してるWOWOWをゆっくり見ます。

      引用  返信

  • 団長さん、引退セレモニーの丁寧かつ詳しい報告をありがとうございます。

    私はWOWWOWの画面で見て、涙が止まりませんでした。現地でご覧になった錦鯉の皆さんはなおさらだったでしょう。

    大勢の選手・元選手からの温かいメッセージ、尊敬と感謝の気持ちがあふれていて、感動的でした。
    そして、マイケル・チャンと盛田正明さんのスピーチは心に沁みました。お二人の人柄や個性がにじみ出ていたし、錦織圭が幼い時から今に至るまでどんなに優れた素晴らしいアスリートであったか、改めて印象づけられました。(セレモニーとなると、通り一遍のことを長々しゃべる人も結構いるのに、お二人はお手本にしたい位です。錦織圭というアスリートがそうさせた面もあるでしょうけど)

    本人は「テニスが大好きでまだまだやりたかった、悔いもたくさん残っている」と言いつつ、「小学校からの夢を追ってひたすら努力し、GSを取る・1番になるという大きな目標に向かって突っ走れた」ことを幸せだったとも言っていました。
    この言葉、覚えておこうと思いました。子供の頃の夢を本気で追い求めることは、誰もができることじゃないです。本当に稀有な生き方で、さまざまな困難を乗り越えつつ周囲の支援も得て、たゆまぬ努力でそれを貫いてきた錦織圭という選手は幸せだったと思います。

    感動と感謝で胸がいっぱいになりました。

    30代のまだまだ若い錦織圭。盛田さんのおっしゃるように、人生はこれから!
    彼の後半生を私も錦鯉の端くれとして見守っていきたいです。
    元スポーツ選手でワイドショーのコメンテーターや政治家になっている人もいますが、きっとそうはならないと思ってます、いつも正直で率直過ぎる人だから。

      引用  返信

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

    日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。