テニスにおけるハードとソフトの考察とコーチの重要性
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コンピュータはCPUやメモリ、ハードディスクなどのハードウェアをOSなどのソフトウェアで動かしていますが、人間についても基本的に同じです。
腕や足などのハードウェアを脳みそに搭載されたソフトウェアで制御して動かすわけです。テニスも同じ仕組みで行われます。
体全体をハードウェアとして考えると動きの速さ、腕力、動体視力などが「スペック」となります。同様に配球、ショットの選択、戦略などをソフトウェアとして考えることができます。
優れたハードウェア(肉体)を持っている人はそれだけで有利です。しかしながら、初級者のころは必ずしもハードが優れた人が勝つとは限りません。ハードウェアのスペックが悪くても優れたソフトウェアを搭載した人が、高スペックのハードを持った人を打ち負かすことは珍しくありません。
テニスが上手くなるにつれ、ハードウェアの重要性が増してきます。イメージがあっても体が動かない、体の近くのボールはいいけど遠い球に追いつけない。これらはハードのスペックが足りないために起こる現象です。
一方で実力が拮抗した人同士の対戦は、ほんのわずかなソフトウェアの性能差が勝負を分けることがあります。メンタルまでソフトウェアの範疇に含めると、優れた思考ルーチン(「割り切り」や「切り替え」など)を持つ人は持っているハードウェアの性能を最大限引き出してくれるでしょう。
プロの世界はどうでしょうか?パワフルなエンジンに高度な制御プログラムが搭載された、まるでスーパーカーのような選手たちばかりです。ハードとソフトはどちらも重要で、どちらかが欠けても勝つことは難しい世界になります。
そのような世界の中でコーチの果たす役割は大変大きいと思います。
コーチの務めは、第一に優れたプログラムを提供することです。打ち方であり、配球であり、戦術です。
精神的な安定剤の役目を果たす必要もあります。これも「プログラム」の一つと考えてよいでしょう。
同時に効果的なトレーニング方法を提示してハードウェアの効率的なスペックアップを図らなければなりません。単にスペックを上げればいいだけでなく、パソコンのパーツのように「相性」のことも考えなくてはなりません。
ネットプレーヤーにはネットプレーヤーがすべき練習なりトレーニングなりがあり、コーチはそれらに関するソフトウェアを搭載していることが求められます。
時速200km/hのサーブと時速150km/hのリターンをコーナーに決め続ければソフトウェアもへったくれもなく勝てるでしょうが、人間にそのような鬼の精度を求めることは不可能です。
テニスは確率のスポーツですから、アベレージを上げつつうまくリスクとリターンをコントロールする必要があります。
元選手のコーチは多いでしょうが、「名選手必ずしも名監督ならず」という言葉はテニスの世界にもおそらくあてはまると思います。選手に求められるものと、コーチに求められるものはかなり異なると思います。選手としての経験は、もちろんあったほうが大きなプラスでしょうが、杉山ママやニック師匠を見ていると、優れたソフトウエアさえ搭載されていれば、100%必要だというわけでもないのかな、と思います。
名コーチへの道は、自身の選手としての経験なり、ノウハウをどれだけ多角的に理解しているか、どれだけ研究熱心であるか、それらの知識をどれだけ明確に選手に伝えられるか(プログラムで言うと「読みやすいコード」が書けるかどうか)、これが鍵だと私は思います。フェデラーのようにフルタイムのコーチがいなくてもやっていける選手はいますが、良いコーチにめぐり合うことがプロの世界ではものすごく重要だと思います。




