ラケットのスイートスポットは実は3種類ある(テニスの物理4)

「このラケットは従来モデルと比較して約10%、スイートスポットを拡大させました。」

ラケットの新モデルの広告で、このような宣伝文句を見たことがないでしょうか?

スイートスポット(あるいはスイートエリア)という言葉はよく聞きますが、ラケットメーカー各社はどのような定義でこの言葉を使用しているかについてはあまり語っていません。一般的には

「ラケットフェイスのうち、ボールが最も飛ぶエリア」

くらいのイメージで捉えられていると思います。これはこれで間違いではありませんが、状況はもっと複雑です。

まずスイート「スポット」と呼びながら実際には「エリア(領域)」のことを言っています。まあこれは大きな問題ではないでしょう。

「ボールが最も飛ぶ点とその周辺」を指して「スイートスポット」と呼んでいると解釈します。

次に定義の話に戻りますが、実はスイートスポットというものは物理的に明確に定義されていて、しかも3種類あります。(参考文献:「テニスの法則―科学でゲームに強くなる」 p.22-36)

  1. スイートスポット1:衝撃が最小となるところ
  2. スイートスポット2:手に響く不快な振動が最小となるところ
  3. スイートスポット3:ボールの速度が最大となるところ
いずれの点も、そこでボールを打ったときに心地よい打球感が得られる点です。逆にいえばこれら3点とその周辺を外して打てば、腕に衝撃が来たり、振動が伝わったり、ボールが飛ばなかったりするということです。
そしてこれら3つのスイートスポットはラケットフェイス上の異なる位置にあります。
それではラケットメーカー各社が唱えている「スイートスポット」は上の3つのうち、どのポイントのことを言っているのでしょうか?
答えはラケットメーカーでないと分かりませんが、おそらく1~3すべてを合わせたエリアを総称して「スイートスポット(スイートエリア)」と呼んでいると想像できます。
そしてこれら3点の位置は、ラケットの重量配分、フェイス面積、素材、形状などを変えることによって調整することができますから、
これに対してテニス愛好家は、スイートスポット=ボールがよく飛ぶところというイメージでラケットを購入するつもりでショップに来るわけですから、注意が必要です。
例えばスイートスポットが大きいラケット=よく飛ぶラケット、というイメージを持って購入したのに実はそれほど飛ばなかった(その代わりなぜか手に伝わる衝撃は小さい)というようなことも起こりえます。
ラケットメーカーは3つのスイートスポットの個別の位置や大きさを一般には明らかにしていませんから、同じ面積の「スイートスポット」を持つ2つのラケットの特性が大きく異なるということもあり得るわけです。
同じようなスペックのラケットで大きく打球感が違うことがある原因の一つが、このスイートスポットの問題だと私は思っています。
3つのスイートスポットの位置と大きさは、ひょっとしたら問い合わせたら教えてくれるかもしれませんが、正直、かなり手間でしょう。
テニスショップの店員さんも普通はそこまでのスペックは把握していないでしょうし、そもそもスイートスポットが3つあることも知らないかもしれません。
ショップ経由でメーカーに問い合わせてもらっても、本当に開発に直接携わっている人でもない限り、すぐに答えられる情報ではありません。
それでいて、ラケットの性能を決める重要なファクターなのですから、魅力的な売り文句に乗せられて買うのは控え、しっかりとショップの試打サービスを利用して打球感を確かめた方が良いと思います。

4 件のコメント

  • スイートスポットは私にとって「当たると気持ちのいいトコロ(真ん中辺り)」という感覚しかなく、なぜ気持ちがいいのかまで深く考えた事はありませんでした。
    スイートに当たったと感じるのは、3つの条件の内どれかであって、毎回同じ位置・条件で当たってる訳ではないのですね。
    と言っても気持ちのいいショットはあまり打てませんが。。。

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  • ええーっ?スイートスポット3種類!?
    「テニスの法則」ちょっと読んでみたくなりました。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。