全米オープンでコーチ助言が解禁される?賛成?反対?

twitterで興味深いお題をいただきましたので、記事にしてみます。

Roger Federer, Novak Djokovic differ on on-court coaching
(見出し訳「フェデラー、ジョコビッチ、オンコートコーチングについて意見分かれる」)

 USオープンの予選で、プレー中のオンコートコーチングが解禁されるプランがあるというものです。コートの同じ側にコーチがいるときは話すことができ、反対側にいるときはジェスチャーでコーチングできる、というとのことです。

 フェデラーは反対、ジョコビッチは賛成のようです。

 そしてこのリンク先記事は導入により錦織に恩恵があるかも?という論調です。

 私は反対です。まず、錦織に恩恵があるかどうかという観点で否定的です。看板の落下による中断から立て直した2015全仏QFツォンガ戦(最終的にはフルセット負け)、雨天順延が明らかに味方した今年の全仏3Rチョン戦など、錦織がチャンらコーチ陣のアドバイスを活かしたと思われる試合があります。しかしそもそも錦織は試合中の修正力や、セットを落とした後の切り替えが抜群に上手い選手。これらの立て直しはもちろん、アドバイスの効果もあるでしょうが、時間を置いたことによる効果の方が大きいのではないかと思います。切り替え力の高い錦織といえども、瞬時の切り替えは難しいもの。十分に時間を与えられれば確実にリセットできるということだと思います。
 よって、アドバイス導入による恩恵は、錦織にもありますが、相対的に他の選手たちに対しての方が恩恵があるのではないかと思われます。

 そもそも、1回だけのアドバイスならともかく、錦織が2ゲームごとのアドバイスをいちいち聞きますかねw 下手をすればノイズになってしまうかもしれません。あんまりあれこれ細かく指示されてうまくいくタイプには思えないんですよね。伝え方をうまくやれば機能するとは思いますが。
 いずれにせよ、錦織に対しては1回ガツンとインパクトのあるアドバイスをすれば、十分にそれを活かしていいプレーをしてくれそうな感じがあります。

 次に、リンク記事中に引用されたフェデラーの発言

試合になれば自分しか頼るものはいない。それが、テニスの持つクールさというものだと思う

 これです。
 まったく共感します。私は、一人で戦うテニス選手の姿にドラマを見ます。これは完全に主観的なものだと思います。コーチと話し合って立ち直る選手の姿にも感動するかもしれませんが、私はラリー中に静かにしなければならないというのも含め、テニスの孤独さ、厳粛さが好きです。また、暑さにも風にも眩しさと戦い、プレッシャーを克服し、きしむ体に鞭打って長時間の試合の末に勝利した手柄は、選手一人のものにしてあげたい。そう思います。コーチとコート上で喜びを分かち合う姿も捨てがたいですけどね。完全に好みの問題ですね。

 皆様はどう思われますか?

58 件のコメント

  • @トントンミー さん
    確かに試合の終盤でコーチングタイムで試合の流れが切られるのは、イヤですね。
    やっぱり認めるとすれば、セット間に限るのが良いような気がします。今でもトイレットブレイクとかで、試合の流れが止まることはあるわけですから。

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  • 基本的には反対ですね~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
    導入するならば、第2セット、第4セット終了時のみで。
    3セットマッチならば、あっても1度。5セットマッチならば多くて2度でm(__)m

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  • 初めて書き込みさせていただきます。

    私の意見としては【大会毎にきめればいいのでは】というものです。

    フェデラーの述べている意見は至極最もで、テニスの素晴らしさはそこにあると感じていますが、昨今のテニス界では、チームのサポート、戦略なども非常に大事な要素になっているのは確かです。(よく選手もチャンピオンスピーチなどでチームスタッフに最初にありがとうを言いますよね)
    コーチングによってチームとしての勝利がより際立って感じられるのではないでしょうか?

    テクニック系選手がパワー系選手を戦略で翻弄していくのは痛快ですが、またそのテクニックをパワーでねじ伏せる豪快なテニスも魅力的です。
    翻弄されていたパワー選手がコーチングによって開き直って強さを発揮することもあれば、パワーに押しきられそうな選手がコーチングによって戦略を駆使してパワーをいなして翻弄していく…選手にとってもメリットがあると思います。

    ですが、やはりフェデラーの言うとおり、コートの上では孤高な部分がテニスの魅力だと思うのも当然です。(私もどちらかに絞るならコーチング反対側です)

    ですので、一律に導入する、しないをATP単位で決めるのではなくて大会単位でTDが決めるとかなら大会選びの選択肢の幅も広がるし、どちらのメリットも追いかけられるので観戦の楽しみ幅も広がるかなと思います。
    ただ、コーチングはそう何回もされると興醒めなので、ファイナルセットの前(3セットマッチなら第2セット終了後、5セットなら4セット終了後)に限定すべきだと思います。
    お互いの力をぶつけ合って互角のセットオールなら、ここでチームの力で勝ちをもぎ取りにいく!というような形なら理想だなぁと思いました。

    長文失礼しました。

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  • あれから色々考えてみましたが、セット間の休憩についての議論がもっと出ても良いと思います。
    youkoさん、遅ればせながら、賛同ありがとうございました。
    最近、具合が悪くなる観客の方が目立つ対策のためにも、考えるべきではないかと。
    セット間休憩が120秒では、観客も迂闊に席を立てません。
    時間内に戻れなければ、最初の3ゲームが見られなくなるのですから、トイレも我慢しがち。炎天下の元、2時間以上野外で過ごすのは危険なのではないでしょうか?
    そこで、1時間を越えたらセット間の休憩を10分取る、というのは如何でしょう。
    その間、選手はロッカールームで自由に過ごせる。
    1セット目でも、縺れて1時間を越えたら、10分休憩を取る。
    このケースは稀でしょうから、3セットマッチの場合フルセットになった時だけ休憩。
    5セットマッチの場合は、フルセットの場合2回休憩が入る感じ。
    その休憩の間、陣営とのコンタクトを許すかどうかは、大会毎に決める。
    これなら、オンコートコーチングによる妙な有利不利もなくなると思いますし、チーム戦のデ杯やエキジビとの違いがハッキリして面白いのでは?
    また、コーチングを認めるのをMSの本戦以上にすれば、コーチ頼みの若手が簡単にのし上がるのも防げると思います。つまり、そこに出られるようになるまでは自力で頑張りなさい、という。。。
    とにかく、観客が自由に試合中に移動できない以上、健康への気遣いが今後必要になるのではないでしょうか。近年の異常な暑さは簡単には解消できないでしょう。
    特に心配なのが東京オリンピック! 
    観客から熱中症患者が続出、なんてありえる話ですぞ!
    コーチングの話は、気候が変わりつつある中での大会のあり方と共に考えてもらいたいです。

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  • 小生の意見はやっぱりテニスは孤独な(ソリチュード)スポーツだと思うので、ジョコが目指す(?)アメフトみたいなヘッドコーチが選手を動かすAI競技にはなって欲しくないです。孤独に時間に追われながらあーでもないこーでもないと頭の中を巡らせるところは、テニスとチェス&将棋&囲碁は似ているところがあると勝手に思っているのですが。日曜日の昼間寝っ転がって、NHK TVの将棋とか囲碁番組を観るのが昔好きだったのですが、(きれいな澄み切った声で)「10秒…20秒…25秒…28秒…錦織八段7回目のサーヴ考慮時間です。残り考慮時間は3分です」なんてことにはならないか(笑)。

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  • WTAのコーチングのルールは、WTAホームページの一番下にあるWTA Rulesからリンクされている”2017 Official Rules”(480ページもある!)p.353のH. ON-COURT COACHINGにあります。ざっと読んだ感じではあまり大したことは書いてないですが、ノートとWTA公認の電子機器は持ち込んでよいとあります。実際にタブレットを使ってコーチングしているのを観たことがありますが、WTA公認のSAPが解析したデータ(アンパイアの電子スコアリング機器、ホークアイ)を見ることができるようです。将来的にはラケット・テクノロジーとかウエアラブルからのデータ収集も行いたいようです。で、実際のどんなデータが見られるのかは、ツイートのハッシュタグ(って言うのでしょうか?)#SAPCoachesViewで調べると、ボールの軌道などかなり詳しい情報が見られるようです。ATPも同様にIBM SlamTrackerからホークアイなどのデータは簡単に供給できるのだとは思いますが(しかし試合中のSlamTrackerの情報、サーヴ1st何%以上入れたらこのセットを取れるとかあまり役に立たない情報しか見せてない気がいつもするのは小生だけだろうか?)。リンクを貼るとなぜか投稿が蹴られるので記事リンクがなくてスミマセン。

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  • NextGen ATPファイナルのトーナメントディレクターのセルジオ・パルミエリ氏がイタリアのミラノ・レプブリカ紙のインタビューで、「試合はサービスコーナーだけでなく全部ラインズパーソンなし。リバウンドを検知するシステムを設置する。シンシナティで試験して、問題なければNextGenファイナル(やATPマスター)に導入する」と言ったようですが、シンシナティのサイトはアナウンスしてないはずだし本当かな。いずれにせよ、ホークアイ、ラケットに付けた検出装置、選手が身につけたウエアラブルなどからデータ収集して、AIでオンライン解析して試合に勝つためのアドバイスを無線やウエアラブルで選手に伝えることは既に十分可能な技術で、かつそのうちにラインズパーソンはおろかチーフアンパイヤ(特に時々ひどく誤った判断する某フランス人審判とか)がおらず、選手二人だけがコートに立っている時代が来るのか?いや最後は生身の選手も居なくなって、時速300km/hサーブを打つアンドロイドが試合しているとか。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。