錦織圭、苦しみながらもスタコフスキーを退け3回戦進出(2017ウィンブルドン2回戦)

2017 Wimbledon (Grand Slam)
2nd Round
Kei Nishikori[9] def. Sergiy Stakhovsky, 6-4,6-7(7),6-1,7-6(6)

 苦戦は覚悟していましたが、内容が思ったより悪かったです。
 それでもなんとか4セットでスタコフスキーを退けました。とにかく勝利が薬であり、何より大事なことです。悪かったところは3回戦で修正すれば良いです。
 かなりタフな試合で、体力もメンタルもやや削られてしまった感があります。が、左臀部の痛みの影響はなさそうで、ちゃんと走れていたのは何より好材料だと思います。

 スタコフスキーの芝でのテニスはさすがの上手さで、特にドロップショットは相変わらず絶品でした。ストロークも派手さこそないものの粘り強く深く返し、錦織のミスを誘いました。終盤はバックハンドのストレートもよく決まっていました。
 ですが、非常に上手いプレーもあれば122位の選手らしいミスもあり、付け入る隙がありました。そこに乗じて一気に突き放すテニスを、錦織はやりたかったのですが、バックハンドの不調と8本のダブルフォルトによりそれができませんでした。正直、今の力関係で言えばストレートで勝てた試合だったと思います。

 1stセット4−3までは素晴らしい内容で、あとは「完遂力」だけが重要だと実況でコメントしましたが、まさにそこが課題として浮き上がってきました。前のサービスゲームが良くても突如としてミスが固めて出てしまうゲームがあるので、キープが続いてもドキドキしてしまいます。バックハンドを立て直すのに必死になるあまり、配球が単調になり先にスタコフスキーに意外性のあるショットを打たれる時間帯が、第2セットに訪れました。
 そうこうしているうちに、序盤は好調でむしろバックハンドより良かったフォアハンドにも影響が出て、ストローク全体がまずくなりかける場面がありました。3rdセット、スタコフスキーの自滅気味のミスにより事なきを得て、無事にバックハンドを立て直すことができましたが、自らの好プレーで引き寄せた流れではなかったので、スタコフスキーが立ち直った第4セットは再び拮抗した展開になりました。

 5セットはやはり怖いですね。第4セットもタイブレークで落としていたら、ちょっと危なかったと思います。ただ錦織自身に焦りは無かったようで、試合後のインタビューにおいて

「体は全く問題なかった。5セット目に行ったとしても大丈夫だったと思う。」

と語りました。最終的にはファイナルに行っていたとしても勝ってくれたと思いますが、取れる時に取る、30−30やデュースの場面で中途半端なミスで落とすことを極力減らす、サービスゲーム間の出来のばらつきをなくす、などの課題を3回戦、4回戦でクリアしていかないと上位進出は難しいと思います。

 最近、5セットマッチにおける3セット目の重要性を非常に感じます。

 セットカウント2−0で迎えた場合、取れば勝利になりますし、取られて次のセットにひきずってしまうと、あっという間にファイナルセットが意識されるようになります。(直前まで楽勝だったはずなのに)
 セットカウント1−1で迎えた場合、取れば2−1で勝利にリーチ、取られたら1−2で敗北にリーチと、勝負の分かれ目になります。
 セットカウント0−2で迎えた場合、取られたら終了ですが、取ったら、セットカウント2−0の場合と逆で、次のセットに勢いにのってブレイク先行でもしたら、ファイナルセットが見えてきます。相手にプレッシャーをかけることができます。

 もちろん1セット目も2セット目も重要で、重要でないセットなどないのですが、3セット目は流れが変わりやすいので重要度が高いと思います。今日は取ったので、4セット目は苦しみながらもまだ本当の意味で追い込まれはしませんでした。後がないスタコフスキーは大いに追い込まれていたと思います。(そんな中、再びプレーのレベルを上げたのは立派です。)

 もう一つ重要性を再認識したのはスライスです。やはり芝でのスライスは有効です。特に、淺いスライスを上手く使うことができれば、劣勢を優勢に変えることができます。強打を封じる意味でも効果的です。実際、錦織の強打がスタコフスキーのスライスによってリセットされ、錦織は安全に繋ぐショットを選択せざるを得ませんでした。
 スライスに対する対処として自分もスライスを用いるというのは、いいアイデアです。後半、錦織がこれをするようになってから、簡単にはスライスに嵌められなくなりました。錦織は優れたスライスの面感覚を持っているので、今日くらい積極的に使っても問題ないと思います。

 次のバウティスタアグートは素直なストローカータイプなので今日よりはやりやすいと思います。球質がフラットなのでショットには苦労させられそうですが。芝のチリッチはかなり強いと思うので、4回戦は確実に勝てる保証はありません。が、バウティスタアグーとは、錦織が自分の力を出せば高い確率で勝てる相手であると言えると思いますので(4勝0敗ですし)、今日の試合をよく振り返って修正点をしっかり練習で修正し、頑張って欲しいですね。

 さあ、大坂なおみも勝ったし、まずは明日、杉田を応援しましょう。マナリノと2週連続の対戦です。
 

112 件のコメント

  • 杉田選手、ネットププレーがもっとできれば、前に行くタイミングをつかめれば、もっと、もっと上に行けますよね
    本人も周りも分かってるだろうけど、まだまだ、進化、発展途上ですから、ズベレフの兄ちゃんみたいな29から出てくる選手もいますしね

    錦織圭、今日はバックハンドは修正してくるでしょうね
    できれば、今日は競ってもストレートで勝ってほしいですね
    タイブレークがあっても、ストレート勝利を希望します(*^^*)

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  • 杉田選手、この辺りから チームが 形成されつつあると予想いたします。そして トレーナーが 付いて体力維持も出来るようになって スタミナ養成など出来れば 今後コンスタントにシーズンを通過出来ると思ってマス!MSで 32以内必ず リーチ出来るとエナジーを送り続ける杉田ファンがこれ程大勢いるのですから!

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  • お杉ですが、トルコでの優勝とWBの初戦突破おめでとう!!
    素晴らしい活躍をしてくれましたし、今回は負けましたけど。
    お疲れ様でしたと言いたいです。本当によく頑張ったと思う。
    でも悔しかったなぁ。。
    マナリノが良かったとは言え、勝機はあったと感じたので。
    そしてマナリノのネットジャンプは危ないです!気をつけないと足ひっかかったら転倒します
    と言いたいです。
    しかしフランス人はわかりませんわ。(すいません)あんな感じが全員とは言いませんが、
    ちょっとイミフな行動もあり、見ている方は楽しいですが・・
    いやぁ、フランスの選手層の厚さはすごいですね。トップ100まで何人いるんでしょう、
    日本ももっともっとテニスが盛り上がればいいですね。

    そして本日圭の登場ですね。
    虫が心配ですけど、圭のコメント・・・バックの中にも虫が10匹って・・・虫が沢山入ってた
    でいいのにわざわざ10匹くらいって、ほんと癒されます。
    スタコ戦のタイブレは精神的にキツかったので是非その前に勝利を・・・

    今日も全力応援します。

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  • @ぼうず

    お返事ありがとうです。なるほどです。

    ネットダッシュは見ててなんか賭けみたいに見えて

    私は賭け事がきらいなので、やってほしくないのかもしれません。

    いつまでもラリーにつきあうよ!ていうねばねばした錦織をみたいです。

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  • ROM様
    ワシントン参戦ですか、びっくりしました。
    確かに今年の500ではまだ0ポイントだし、稼ぐには良いかもしれませんが、カナダとシンシナティのMS優勝が遠のきそう。ただ、8月の3連戦は昨年こなしたことで自信がついたのかもしれませんね。

    まずは今夜、ベスト16を決めてくれたらWBは満足です。

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  • 昨日の杉田の結果と今日の錦織プレビュー記事を更新しました。

    私がここで自分のブログ更新について言及することに不満がある方から、昨日返信不可能な直接メールをいただきましたが、

    「私はyuriさんへのブログへのリンクがあっても一向に困りませんが(他に、宣伝目的(広告へのクリック目当て)だけで書き込んでいるサイトの人がいますが、削除しています。yuriさんの場合はこのブログの趣旨と合致しているので問題なし)、毎回だと気になる人がいるのかな? まあ、毎回でなければ記事の直接紹介も問題ないと思いますのであまり気になさらぬよう。これは読んでもらいたい!という時には気にせずリンク張ってください。」

    という、団長様のありがたいお言葉を頂いた上での書き込みゆえ、ご容赦ください。
    ためになったと言ってくださる方もいらっしゃるので・・・。
    (あじゃこさん!ありがとう)

    こちらはいろいろな方が書き込むコメント欄なので、興味のない方はスルーしていただければ、と思います。m(__)m

    ということで、杉田は残念でした。
    でも、素晴らしい芝シーズンになりましたね。
    今後の活躍に期待します。

    錦織はアグートと!
    ここは絶対勝って4回戦に進んで欲しいです。

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  • 昨夜の杉田選手、残念でした。、、、が、すばらしい芝シーズンで、私たちに感動を与えてくれましたね。杉田選手に感謝です。だいぶお疲れでしょうから、しばしお休みしていただいて、またすばらしい試合を見せてくれることを期待します♪
    しかし、相手のマナリノ選手いろんなことしましたね〜。途中笑いが出てしまいました😅しかし、圭くんとは当たってほしくないわ!と思ってしまいました。。。

    さあ、今夜は我らが錦織圭とアグート選手ですね。我が家の近くは、いつもあぐー豚売ってるので早速買ってきました♪スペインのカヴァも!早めに夕飯食べて全力応援ですね。

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  • あたる さま:
    ネットダッシュは見ててなんか賭けみたいに見えて

    団長のツイッター、テニスベットの胴元だとは知りませんでした(笑、冗談です)。

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  • サーブ&ボレー…博打みたいに見えますが、相手に警戒心を持たせる為の心理戦…駆け引きみたいなものもあると思います。ネバネバのストローク戦もいいですが、やはりテニスは技術だけでなく心理戦も含めた戦術の上に成り立っている部分も大きいので相手に「え?」と思わせたり、警戒心を持たせる事も大事かと…。
    以上は全てテニススクールのコーチのウケウリです(^_−)−☆!!

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  • 杉田選手、本当にお疲れ様でした。そして感動をありがとう。
    前日に解説をしていた坂本さんが「疲労すると脳に酸素が行かなくなって酸欠状態になり、頭がぼーっとしてテニス脳が働かなくなる。」というようなことを仰ってました。すでに体も脳も限界だったんでしょうね。それでも劣勢を打開しようと、まだ頑張れると、立ち向かう姿に心揺さぶられました。(涙)
    しっかり体を休めて、ハードシーズンの更なる飛躍を期待しています。
    いつも思うのですが、杉田選手は剣道着も似合いそうな雰囲気ですね。

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  • 今晩は。
    遅くなりましたが杉田選手、2R敗退残念でした。
    1st setの入り方、4th setの追い上げられ方、TBの取られ方、ファイナルの隙のつかれ方、これ全てGS、5セット・マッチの戦い方、力配分の仕方のお勉強と思えば。何せまだ、GS本戦にデビューしたてみたいなものですから。

    皆さまが仰るように神尾さんのコメントが全てですね。疲れてる、足に来てるという弱みを見せてはいけない。マナリノ選手のあれやこれやも、これ全て心理戦。含めてGSという舞台で戦うことの難しさと、手札の数の多さの必要性を痛感しました。逆に、グラス・シーズンで沢山のモノを得た杉田選手の今後がますます楽しみに。
    まずは来週、しっかりリカバリー&静養して再来週のウマグ250に備えてくださいね。

    それにしても、こんな戦いを7回勝たなければ優勝できないんですね、GSは。つくづく頂きは高いです。

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  • 連続投稿失礼いたします。
    記事をご紹介したかったのに忘れました(笑) 杉田選手関連の山口奈緒美さんレポート。
    <28歳杉田祐一がたどりついた2回戦、マナリノの驚異の粘りに阻まれる>
    https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/overseas/grandslam/wimbledon/20170707_0024848.php

    WOWOWさんの大会レポート4日目です。
    <炎天下の熱闘3時間33分、杉田祐一あと一歩及ばず>
    http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/news/detail_170706_02.html

    ごく単純に、マナリノ選手のUEの少なさ、これは賞賛に値すると思います。

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。