ストレート負けでも、3連敗でも錦織圭の復活に確信が持てる理由(2021全豪1回戦 vs. カレーニョブスタ レビュー)

2021 Australian Open (Grand Slam)
1st Round
Pablo Carreno Busta[15] def. Kei Nishikori, 7-5,7-6(4),6-2

勝てません。3連敗です。
これはもう、悲観的に・・・

なるわけないですよっ!

確かに3連敗。確かに勝てていない。
しかし、これほど結果、そしてスコアとテニスの内容が乖離している例も珍しい。

第3セットの体力切れは想定内です。
体力に関する懸念はプレビュー記事で書いたとおりで、下手すれば棄権もありうると思っていました。縁起悪いので書きませんでしたが。

そのくらい5セットマッチは特別です。3セットマッチなら上手くやれば1時間半くらいで終わりますが、5セットマッチでは4時間、5時間とかかることもあります。その間ずっと全力で走り、STOP&GOを繰り返します。

体調万全なら力を出さずとも届くボールに、バランスを崩しながら追いついて、また次の球に走る。
ほんの少しの「変な動き」で体を痛めることがあります。

2週間のホテル隔離後、わずか1週間で5セットマッチはとんでもないハンデでした。
まずは故障せずに終えたことを喜びたいですし、1セット目、2セット目とシード選手と互角の戦いをしたことは収穫です。
収穫どころか行けそうでした。力強さと闘志を感じました。

敗因は体力であるとはっきりしています。テニスの調子自体は復帰直後にしては良いです。
本人も試合後インタビューで、

出だしは凄い良くて、今までにないくらい試合入ってから『勝てるんじゃないか』と思えました。そのくらいボールを捉える感覚と球筋と色々良かった。

出典:錦織「自分にショック。選択ミスあった」全豪OP12年ぶり初戦敗退、復帰後3連敗<男子テニス>(tennis365.net) – Yahoo!ニュース

と述べたほどです。

もっともこの会見では、「自分にショック」などの反省の弁も聞かれたわけですが、これはいつもの錦織節。

試合内容にポジティブ要素とネガティブ要素両方があるというのは事実なので、錦織の発言が両方入り混じっているのは正直かつ正確な感想なのですが、

彼のコメント長年見続けた経験から言うと・・・これは本人にとってもかなりの手応えがあったと見た・・・!!

「勝てるかもと思った」
「(トップ10復帰は)今日の自分のプレーがもうちょっとよくなれば、できそうかなというのが若干見えてきた」

試合後はどちらかというと厳し目の自己評価をする錦織圭。それだけに、こういった発言に対する信憑性は高い。

実際、1、2セットともテニスの内容は見どころがありました。
そしてカレーニョブスタはランキング通り、非常に強い選手でした。フットワークは良いし、ボールは速いし、一番驚いたのは浅い球への反応のスムーズさ。
決めるところは確実に決めてきて、隙を見せてくれない。

ミスの数は39本と、42本の錦織と大差ありませんでしたが、ミスしてはいけない場面でミスをしませんでした。
15-30からミスしない。逆にいいサーブを入れてくる。
これぞ試合勘の差だと思います。

1stセットの序盤は錦織のフォアが浅く、先に攻撃を許していましたがそれを徐々に修正し、1st、2ndセットともブレイクバックで追いつく粘りを見せました。

それでも取れなかったのはミスのせいでもありましたが、ミスの出し方は悪くなかったと思います。

私の考える最も悪いミスは、難しくもなんともない普通の球を、攻撃もせずにミス。
悪いときはこれをやりますが、これは目立たない程度でした。

次に悪いミスは、無理に攻めたミス。
攻めようとしただけ良いですが、確実性の低い攻撃。
これはときどき見られましたが、まあ復帰前にもありました。
特に増えたという感じはしません。

その次が、いい攻めをしたが決めきれないミス。
これが今回は多かったのですが、これは見方によっては「良いミス」にも「悪いミス」にもなります。

何ヶ月も試合をこなし、試合勘バッチリの状態でこれをやると「悪いミス」ですが、
今のように復帰して間もない状態では「良いミス」の部類でしょう。

逆に言えば、その形までまずは持っていくことが復帰時のテーマで、私も注目していたポイントでした。
ATPカップの2試合でもそうでしたし、復帰後の3試合はいずれも「いい感じ」でした。

最終的に決めきれないので勝利やセット獲得には結びついていないのですが、本人としても今の段階ではこれ以上ミスを減らせと言われても、難しかったのではないでしょうか。

1stセット5-5の30-30からの2本のミスがそんな感じでしたね。
プレッシャーがかかってのミスには見えませんでしたが、少しのタイミングの狂いでアウトになった感じです。
錦織としては、「ちゃんと打ったはずなのに、なぜかアウト」の部類でしょう。

これは体力の回復と試合勘の復活とともに、減ってくるミスです。

ミスしたと言ってもショートラリーからの淡白なミスはあまりありませんでしたよ。
何回もラリーして、最終的にミスになってしまうのはカレーニョブスタの上手さ、強さがあってこそで、
もう少しランキングの低い選手と戦っていたら・・・と思わずにはいられませんでした。

セカンドサーブからのポイント率は50%を超え悪くなく、課題は1stサーブからのポイント獲得率です。
試合をこなしてサーブの速度が2019年レベルまで戻ってくれることを祈ります。
1stサーブの平均速度が163km/hでしたから、中には150km/h台のサーブもあり、それらは大体リターンで叩かれていました。
逆に強いサーブを意識的に打ったゲームは簡単にキープしていました。

スライスサーブに適したフォームになり、これまでアクセントとして聞いてきた鼻血サーブ(デュースサイドからのワイド)が今回は甘く入り、逆襲をくらっていました。
今回はスコアをつけていませんが、デュースサイドからはセンターのコースもいまいちだったと思うので、デュースサイドのサーブのコースの改善が必要かもしれません。
アドサイドは比較的ワイドの良いコースに飛んでいたと思います。

とにかく今回の復帰3連戦は、いずれも相手が強すぎました。
3連敗といってもわずか1週間以内のことですし、急に体力が戻るはずもありません。

背景を知らない人が結果だけ見たら、「錦織どうした?」 「錦織終わったんじゃないか?」と思ってもおかしくありませんし、実際にYahooとかAbemaTVのコメントとかを見ると、辛辣な意見が並んでいるようです。
(このブログの読者の皆様は、さすがに温かい声をかける方が多いです。)

でもまあ、今は言わせておけばいいと思っています。
私はむしろ、「錦織終わった」どころか「錦織、また始まるな!!」としか思いませんでしたから。

これを言うのは3回目になりますが、「2018年や2020年の復帰時より良い」です。

また、これを言うのは2回目になりますが、2020年は6試合しかやっておらず、体力も戻らないまま再び治療休養に入ったので、実質的に2019年秋以降、ブランクは1年半になるという解釈のほうが妥当だと思っています。

そして、これを言うのはもう何回目かわかりませんが、2週間もホテルの部屋に閉じ込められて、いきなりトップ10やトップ20と試合はきつすぎるって!!

これだけ(悪い)条件が揃えば、もっとスコアも内容も離されて、手応えどころか自信ゼロのまま3試合を終えることすらありえました。

それが、1回も勝ってないのに「(トップ10へのタフな道が)若干見えてきた」ですよ!

この本人の発言がなかったとしても私は、錦織の大復活をひとりこのブログで予言しておくつもりでした。
それがこの本人の発言により確信に変わりましたので、もう勝ったも同然の気分です。何と戦っているかよく分かりませんが。

そして何ヶ月後かに、「ほら〜、言った通りでしょ?」とブログのスクショ見せながら自慢しまくることを想像して今からニヤニヤしています。

次の試合エントリーは3月1日からのロッテルダムですね。
3週間ほど空いてしまいますので、その間にATP250かチャレンジャーをもう1大会・・・という気持ちにもなりますが、ここは1回フロリダに帰って体力増強が、中長期的に良い選択かもしれません。

開催されるかまだ分かりませんが、オリンピックにピークを持っていくプランでいいと思います。

ロッテルダムにはナダル、メドベージェフ、チチパス、ルブレフがエントリーし、超豪華なATP500となっています。
錦織のドロー運でナダルを引き当てそうな香りがプンプン漂っていますが笑、せめて2回戦にしてほしいですね。そろそろランキング30位以下と戦い、勝利の味を思い出してほしいところです。

57 件のコメント

  • なんで僕のが削減されてましたがそんなに削減されるような内容でしたか

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  • けんじさまがどのようなコメントをされたのか読んでいないのでわからないのですが、消去された理由がお知りになりたいのであれば団長様に直接メールを送るのはいかがでしょうか?
    私も今まで何回か送ったことありますし、その度に丁寧なお返事をいただいております。

      引用  返信

  • 錦織選手の試合が明日のセンターコート第3試合に組まれました。いよいよですね。ドキドキワクワク。
    NB2:30pmですので日本時間22:30以降。

      引用  返信

  • ROMさん
    情報ありがとうございます。
    19年に参戦した時には現地ナイトセッションのオンパレードでかなりハードな観戦環境だった記憶が有ったので、今回は先ずはホッとしました。

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  • わお〜ヽ(´▽`)/ ROMさん!情報ありがとうございます😊
    あっという間に3月が来て、あっという間に錦織選手の試合が目の前!嬉しい😂
    WOWOWオンデマンドでLIVE配信があるってほんとにありがたい🙏
    団長さん、お仕事もあるのに大変そうですけど、プレビューお待ちしております!
    (お仕事「も」ってそちらが本業なのに 笑)

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    ABOUTこの記事をかいた人

     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。