フェデラーがまだ終わっていない理由

ウィンブルドンでナダルに敗れたフェデラー。

その後もトロント、シンシナティの2つのマスターズ・シリーズでも早いラウンドの敗退が続き、ついに8月18日付のランキングでナダルにNo.1の座を明け渡すことが決定しました。

この結果を受けて巷では「フェデラーの時代は終わった」という声がかなり聞こえてきますが、果たしてそうなのでしょうか?

まずは事実関係を整理してみましょう。

昨年まで

・ほぼ無敵状態。毎年2つか3つのGSを取り、負けたら話題になるほど。
・全仏のタイトルはまだ取れていないが、ナダルに勝てないだけで、クレーでも強い。

今年

・優勝は2大会で、GS、MSでの優勝がない。
・年明けに単核症を患った。
・全豪はジョコビッチに敗れてベスト4、全仏・WBはナダルに敗れて準優勝。

成績だけを取れば、昨年までより悪いことは明らかです。中堅どころに対する負けも目立ちます。

しかしGSでベスト4、準優勝、準優勝という成績は、No.1としてそれほど悪いものではありません。

ナダルがすごすぎるのでその対比として不調が目立つように見えますが、ナダルもクレーコートシーズンに入るまではしばらく優勝から遠ざかり、「どうした?」と言われていました。

また、ウィンブルドンをフェデラーが勝っていたらどうだったでしょうか?おそらく、かなり評価が違ったのではないでしょうか?あの勝負は紙一重でしたし、大会を通じての内容を見ても、やっぱり芝でのフェデラーはすごい、と私は再認識しましたが皆さんはいかがでしょうか。

トロントでシモンに負けたのはいただけませんでしたが、シモンはその後も勝ち上がり、かなり調子が良かったようです。

シンシナティでカルロビッチに負けたのは、単に確率的事象としてありうることだと思います。
逆に言えばカルロビッチにしてみればあの勝ち方(キープキープで行って、タイブレでほんのわずかの差で勝つ)しかないわけで、そこだけを取ってフェデラーが衰えた、時代が終わったというのは早計だと思います。

今までがすごすぎたのでそう思うのでしょうが、たった1回、1位の座を譲っただけでフェデラーの時代が・・・うんぬんを語るのはおかしい気がします。
サンプラスは93年から98年まで6年連続で年間1位という偉業を達成しましたが、98年はかなりグダグダでした。グランドスラムはWBのみで、マスターズもコレチャに取られました。
年末にようやく帳尻を合わせて1位になりましたが、ポイント的には今のジョコビッチ以下だったのではないでしょうか。

人間は近い過去の傾向がこれからも継続すると思ってしまいがちな生き物です。

100だったものが90になれば、さらに80まで下がってしまうような気がしてしまうものですが、そうとは限りません。

では何で判断したら良いのか。これはプレーの内容以外ないでしょう。

シンシナティでのカルロビッチ戦はプレー内容もあんまりよくなかったみたいですが、ウィンブルドンであれだけのプレーをした人間がこの短期間にそれほど悪くなるとも思えませんし、

フェデラーのテニスはやや感覚に頼っているところがあるように見受けられますから、戻ったら「今までの不調は何だったのか…?」といった印象を受けてしまうこともありそうです。

ちょうど去年のマスターズカップがそうでした。
前の2大会でナルバンディアンに連敗し、マスターズC緒戦でゴンザレスに敗退。フェデラー危うし?の声をものともせず最後はいつものフェデラーでした。

同じようなことが起こっても私は全然驚きません。

今のような状態が例えば今年いっぱい続いたら、さすがに少しどうなのかな、とは思いますが。

それに単核症の影響ってかなり深刻らしいですよ。松岡修造氏は2年間、体のだるさが消えなかったそうです。
これもかなり大きな影響を与えていると思います。

今年のフェデラーが去年までのフェデラーではないのは確かですし、ナダルがものすごく強くて、ジョコビッチも急成長しているということも確かです。

しかしまだ結論を出すには早いと思うけどなあ。

P.S. 本日ナダルがジョコビッチに敗れました。ナダルはさすがに疲れているのではないかと思いました。それに、ハードでのナダルはやっぱり他のコートより多少落ちますね。クレーも芝もイレギュラーバウンドがありますし、「難しい」コートです。そういう条件でほかの選手が100%の力を出せない中、十分な力を発揮できるのがナダルの強さだと見ました。

ある時期すごかった選手が、いつの間にか調子を落とすことなんて頻繁にあることです。
チャンピオン級の選手でもそれからは逃れることができません。「今までのフェデラーがすごすぎた」というのが妥当な評価だと思います。

12 件のコメント

  • 初めてコメントしますがその通りだと思います。
    フェデラーファンではありませんが、、、

    これからもブログ頑張ってください。

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  • お久しぶりです。

    某巨大掲示板ではフェデラーが今年一杯で引退する…だなんて想像もしたくない発言が結構あって驚きました。そして、無駄に不安になってました。

    しかし、この記事を読んでホッとしました。
    自分も確実に「近い過去の傾向がこれからも継続すると思ってしまいがちな生き物」なので、フェデラーの不調がずっと続いてしまうんじゃないか?なんて思ってました。

    私がテニスを始めた4年前の夏には既にフェデラーは世界ランク1位で(ウィンブルドン2連覇、対ロディック戦でプレーに衝撃を受けてファンに)、世界ランク1位といえばフェデラーでフェデラーと言えば世界ランク1位というイメージなので、フェデラーが2位になる日が来るなんて想像もしませんでした。

    でも、ついに来るんですね…(涙)

    次はオリンピック
    錦織選手も久々に登場しますね!
    フェデラーには是非とも金をとってもらいたいし、錦織選手にも頑張ってもらいたいです。世界ランクを考えれば難しいかもですが、メダルなんて取れたら最高ですね!

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  • 最近のフェデラーはフットワークが死んでるとか言われてますね。
    病気の影響と言うならオフにトレーニングができなかったことで基礎体力が落ちているのではないでしょうか?

    全米にはしっかりピークを合わせてくると思いますが、ジョコビッチに勝てる気がしません。
    来年に期待しています。

      引用  返信

  • 北海道から帰京後東京の暑さでぐったりしてコメントもご無沙汰してました。
    マスコミの限界ですが、ニュース性がないと持たないんで何でも大げさに報道しますよね。それに輪をかけてライバルがもっと大げさに書く。まあ、そういう意味で僕はマスコミ報道をあんまり信用していません。だからフェデラーが終わりって書いてても「ああ、そうかい。」って感じで聞き流しています。
    ただ、ここのところの不調はちょっと根が深い感じがしますね。団長の記事のとおり、フィジカル面が大きいんではないでしょうか。少し、休養も取り、完治させないとかえって選手生命が短くなるんでは?って感じ。体調が戻ればまた、強いフェデラーが帰ってくるとおもいますね。

      引用  返信

  • なるほど…。
    オリンピック、USオープンでは、フェデラーの心からの笑顔を見てみたいです。
    錦織が熱望していても、今この時期はフェデラーと対戦しない方が良いかもしれません。
    でも、フェデラーが強い間にあたっておきたいしなぁ。
    団長のフェデラーに対する熱い思いが伝わってきました。

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  • うおぉぉん、だんちょ、ありがと~(感謝!&泣)
    ここは圭君の広場なのにフェデを取上げてくれて~

    フィジカルだけでなくメンタルも揺らいでいるのでしょうね。
    負けず嫌いだからいずれ吹っ切って復活するでしょうが、
    まだ少し時間が必要かもしれないと見ています。

    Takolin師匠の言う通り、マスコミは「話半分」で見たり、
    聞いたりしています。
    ま、商売って誇張したりも無いと・・・ね。
    そーいえば、「たけし」の「フライデー襲撃」なんて
    ありましたね。 うん、懐ちぃ。

    今までのフェデラーの記録が色褪せる事は無いワケですから、
    今の状態にもドッシリ構えていることにします。

    でもUSOも早いラウンドで負けたら・・自分、失踪するかも・・・。

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  • たねさん、前向きに。USOPENでの一週目での敗戦はないない!!フェデラーはきっと厄年ですよ、今年は。

    ジャコビッチが敗れてマレーが勝ちましたね。近い将来、圭くんとの試合がみれればと思ってみてました。

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  • 「フェデラーの時代」というのは、「フェデラーがダントツで強い時代」という意味ではないのですか?
    そういう意味では、終わったというのも間違っていないと思います。

    今までのフェデラーはなんだかんだ言っても最強の存在でした。
    それが崩れたのだから、「時代が終わった」と言われても仕方ないでしょう。

    フェデラー自身は終わっていないと思いますが、「フェデラー最強」の時代は完全に終わったと思います。

      引用  返信

  • みなさまコメントありがとうございました。

    >のざさん
     ありがとうございます。

    >tomさん
     お久しぶりです^^
     いやいや、フェデラー「終わった」可能性もありますよ。
     成績が落ちているのは事実なので。
     ただ、すでに確定したかのような論調には疑問を感じざるを得ませんでした。
     復調しても驚かないし、このまま王者に戻れなくても驚きません。
     まあ、個人的にはここからそれほど落ちるとは思えませんけど。

    >BTBさん
     確かに「このままでは」厳しいでしょうね。
     でもジョコビッチだって今日マレーに負けたし、テニスってのは
     本来「勝ったり負けたり」だと思うんですよ。
     2000年代に入ってから、絶対的な力を持った選手が多く出てきたので皆さん忘れているんじゃないですか?

    (以下、BTBさんへの個人返信でなくて、一般論)

     ・2001年、2002年はヒューイットがかなり強かった。特にマスターズカップではまったくミスらず、何を打っても返ってきた。
     そのパワーアップ版のナダルが出てくるとはそのとき想像できなかったが・・・。

     ・2003年 絶対的なチャンプはいなかったが、フェデラー急成長。今思えば、マスターズカップのころからすでに絶対王政が始まっていた。

     ・2004年~2007年 フェデラーの前にただほかの選手はひれ伏すのみ。除くクレーコートでのナダル。

     ・2007年~2008年 No.3のジョコビッチですら、相当なポイントを稼ぐ寡占状態に。

    2000年以前の20年くらいの歴史をざっと見ても、2000年代よりは戦国時代の様相を呈していました。
     マッケンロー、レンドルはかなり絶対的な王者だった時期がありましたがフェデラーほど長期じゃなかった&支配力も少し落ちるような。
     ボルグはすごかったですね。リアルタイムじゃないのでよく知りませんが。

     まあ、テニスは勝ったり負けたりが普通ですよ。統計的にそれなりに意味のあることを言うには、結構なサンプル数が必要です。

    「強いやつが勝つんじゃない、勝ったやつが強いんだ」というのはまあ、一理はありますけどややエキセントリックな感情論にも私には聞こえます。

    極端な例で言えば、ロシアンルーレットで「当たってしまった」からと言って「拳銃に球が6発入っている」と言っているようなものです。

    問題なのは、「拳銃に何発球が入っているか」であって1回の結果ではありませんからね。

    無論、結果の積み重ねが「拳銃に何発~」を推測する根拠となるわけですから、同じ結果が続けば説得力が出ることになります。

    そういう意味では、今年のフェデラーは確かに去年までと違いますね。

    その一方でチャンピオンレースで2位につけていることも事実だし、これから1位になる可能性だってあるわけですから、「終わった」と結論付けるのはやはり早い気がしますね。

      引用  返信

  • >takolinさん
     同感ですね。マスコミの煽り体質には閉口しますが、メディアも商業的な面があるのでなくならないでしょうね。
     インターネットがこれだけ普及して、以前よりは消費者に選別嗜好が出てきているように思います。以前よりも懐疑的に消費者は見ていると思います。自浄作用に期待したいですね。

    >種丸さん
     フィジカルに端を発した悪循環でしょうね。
     ささいなことの積み重ねだと思うんですけどね。
     何かのきっかけでスパイラルを逆回転させることができれば、フェデ自身の問題は解決すると思いますが、一番の問題はライバルたちがフェデラーを恐れなくなることでしょうね。

    >mimiさん
     近いうちに、フェデラー、ジョコビッチ、マレー全員と試合する機械もあることでしょう。
     そのうち1試合でも2試合でもものにしてほしいですね。
     テニスは勝ったり負けたりですから、チャンスはありますよ!

    >匿名さん
     ご意見ありがとうございます。
     というわけで、返信する前に大体、考えを書いてしまいましたが、
     「フェデラーがダントツで強い時代」では確かになくなっているものの、「これからもそうである」とは断言できないと考えています。

    言ってみれば、確率の話をしており、

    A)100だったものが90になりました。それが80になる確率
    B)80だったものが90になった。それが100になる確率

    この2つを過大評価しがちなのでは?という問題提起でありました。

    現実的にどうなるかは、私には分かりません。
    このままフェデラーがフェードアウトする確率だってあるでしょうが、復調する確率もあるのでは?と言いたかっただけです。

    また、各個人がフェデラーの試合や成績を見て持つ印象まで口を出す四角はありませんので、匿名さんのように「フェデの時代オワタ」という評価もありだと思いますよ。

      引用  返信

  • だんちょ~、みなさん、こんにちわ~。
    フェデラーをはじめてみたとき、なんて柔らかいテニスを
    するひとなんだろ~って思いました。
    特に、相手に背中が見えるほどに回転していくフォアハンド。
    まねしてみましたが、目がまわりました。

    これからは2強の時代に入ってほしいです。
    ゆくゆくは、圭君を入れた3強、4強の時代がくればな~。
    ただ、フェデラーの2位以下に甘んじたときの気持ちが
    心配です。そういう経験が少ないだけに。

      引用  返信

  • どうもです。いろんな意見がおありですが、私もまだフェデラーオワタという気にはなれません。
    単核症、WBでの連勝ストップのショック、いろいろな影響が重なり今の状態では…と考えてます。フェデラー最強時代オワタというのは半分はそうかもしれません。
    ランキングが2位になってから彼の巻き返しを見てから判断できるのではないでしょうか。もう彼はオワタと言われて復活した選手は山ほどいます。マスコミは勝手に選手のピークを決め付けるのが好きなようです。

    結論はまだ早いです。今後も彼のプレーに注目しようじゃありませんか。
    僕はカギはミルカの支えにあると思います。頼んだぞミルカ!

      引用  返信

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     テニスを愛する理系人間。よく理屈っぽいと言われる。  プレースタイルはサーブアンドボレー、というよりサーブ。ストロークは弱い。  2008年2月15日に本ブログを開設。その数日後に錦織圭はあのデルレイビーチ優勝を成し遂げる。  錦織圭の存在を知ったのは2004年。その後2006年全仏ジュニアベスト8で再注目。2007年のプロデビュー(AIGオープン)で錦織の試合を初観戦。その後の活躍を確信し、今に至る。